これでわかる!出版社の仕事内容と出版業界の仕組み

出版不況と言われて久しいですが、相変わらず出版社は人気の仕事です。
1996年に売り上げのピークを迎えた出版業界ではありますが、どうやら「オシャレ」とか「カッコいい」というイメージは根強いみたいですね。

ドラマになったりすることも多い出版社の仕事ですが、実態はどうなのでしょうか?
出版社の仕事に就きたい人はもちろん、業界のことが気になる人でもわかるようにやさしく解説します。




そもそもの”出版社の歴史”を簡単におさらいしよう

ここではまず最初に、出版社の歴史について考えてみましょう。

戦前、出版社の数は数十社にしかすぎませんでした。
それが戦後になって言論統制などが解除されることに合わせて、出版社は急激に増加します。

戦後、「言論および新聞の自由に関する覚書」が発布され、言論統制から解放されたことで出版社の創業が相次ぎます。
1965年には「再販売価格維持制度」が実施され、出版社の数は増加していくこととなります。

(再販売価格維持制度についてくわしく知りたい方はこれでわかる!「再販売価格維持制度」のメリットと仕組みをごらんください)

しかし、80年代以降になると出版社の数は次第に減少していき、出版不況と言われる現在に続くのです。
日本には2012年現在、3676社の出版社があり、その7割が東京都に集中しています。

出版社数と売上高は年々減少を続けており、それに合わせて書店数も減少しています。

出版社が多く存在するという事は、それだけ色々なタイプの本が出版されるので読者にとっては大きなメリットでもあります。
しかし、出版社数ならびに書店の数も減少していることを考えると、今後はさらに出版社の数は減少していくことは避けられない状況です。

出版社は本ができるまでどんな仕事をしているのか?

現在の出版業界では1日に200点、年間で約8万点の新刊が刊行されています。

現時点でも十分に多い印象ですが、新刊点数は年々増加傾向にあります。

さて、書店に並ぶ本はいったいどのようにしてつくられているのでしょうか。
本ができるまでの工程を出版社の仕事からチェックしてみましょう。
本ができるまでの流れは以下のとおりです。

  • 1.出版社が新刊の企画を立てる
  • 2.原稿完成後、本のレイアウトを決める
  • 3.印刷所に入稿、ゲラの完成
  • 4.校正作業を行う
  • 5.赤入れしたものを印刷所に再入稿
  • 6.問題なければ校了

まずは企画・執筆依頼を行う

本ができる最初の一歩は企画立案にはじまります。
企画は出版社の編集部員だけでなく、営業部員からの提案によって立案されることもしばしば。

このあたりの企画出しは、出版社の社内体制や社風によってもちがってきます。

企画が通ると、まず編集者は誰を著者にするか依頼し、内容に応じてライターやイラストレーター、カメラマンにも仕事の依頼をします。
それらをふまえ、原稿をどのようにカタチにしていくかを考え、原稿整理をします。

入稿と校正作業

編集者は集まった原稿をまとめ、レイアウトを施し、印刷会社に渡します。これを「入稿(にゅうこう)」といいます。
印刷会社は編集者のレイアウト指示に従って誌面を組み立てます。

そして、校正用紙に原稿を出力し、出版社に戻します。
校正用紙に出力された原稿を「ゲラ」と呼び、ゲラを出版社に戻すことを「出稿(しゅっこう)」といいます。

出版社に戻されたゲラは、著者や編集者によって校正作業が行われます。
校正」は原稿がイメージ通りに完成されているかを確認する作業です。

編集者をはじめ、製作に携わった人たちによってゲラに訂正の書き込みがなされます。
この作業を「赤字入れ」といいます(文字通り、赤色で訂正を行うため)。
赤字入れされたものは再び印刷会社に戻されます。

印刷会社に戻されたものは改めて訂正作業が行われ、このやりとりを数回経て、校正が完了します。
これを「校了」といいます。

下版(げはん)と刷版(さっぱん)

校了となったデータは全紙サイズに面付けされます。それがフィルムに出力され、それを元に印刷用の版がつくられます。この版のことを「刷版(さっぱん)」といいます。

印刷と製本

完成した版をもとに印刷をし、刷り上がったものをページ順に折りたたみます(折丁)。
それを順番に揃え(丁合)、綴じて表紙加工を施します。

これで1冊の本が完成となります。

出版された本を読者に広める書店営業の仕事

ここまで、1冊の本ができるまでの工程を編集者や印刷所の目線で説明してきました。

本の完成後は出版社の営業部員を中心にして本を世の中に広めるために営業活動を行います。

出版営業のメインはやっぱり書店へのアプローチ

具体的には、まず書店への営業活動があります。
出版社の営業部員は、新刊や既刊のチラシ・注文票を持って書店のジャンル担当や仕入れ担当者のもとに向かいます。
営業活動のやり方は様々ですが、書店の立地や客層、過去の売上データをもとに、どの本が売れるかを推測・説明し、担当者と話し合いをした上で本の注文を受けます。

また、売り伸ばしをするために店頭での拡材を検討したり、陳列方法を提案することも行います。

新聞やネット広告を上手く活かした営業活動がカギ

他には新聞広告や電車広告、テレビやインターネットでの宣伝を行います。
書店の立地によって、どの広告媒体の宣伝効果が表れるのかも検討する必要があります。

例えば、新聞広告の効果があまり見込めない店舗に対して、広告に掲載された本を書店から多くの冊数受注しても、本が売れず在庫となってしまうだけです。

広告の効果をきちんと見定めて、その効果が大きく表れる店舗に対して営業活動を重点的に行うなど、出版社の営業には効率的な活動が求められます。

売れ残った本はいったいどこにいくのか?

書店で売れ残った本は、基本的には「返品(返本)」され、出版社に戻ってきます。
返品された本は出版社の倉庫に戻され、カバーなどが汚れている場合は改装されます。

返品された本は基本的に倉庫に回されますが、当然すべての本を倉庫に抱えることはできません。
そのため、出版社は本の売れ行きを考えた上で、特定のタイトルに見切りをつけ本を処分しなければなりません。
この、本を処分することを「断裁(だんさい)」といいます。

断裁となった本は、主に古紙回収業者などにまわされ、再生紙となります。

1冊の本ができるまでの出版社の仕事は幅広い

ここまで、出版社の仕事について紹介してきました。1冊の本ができるまでには多くの人の手がかかっています。

企画にはじまり、読者の手に届くことで完結する本の世界は用語など複雑でわかりづらい部分も多いかと思います。でもきちんと整理すればむずかしさは雲散霧消するはずです。

ぜひ、出版社の仕事と本ができるまでの流れをおさえておきましょう。