なぜこんなに?本屋で働く書店員の年収が低すぎる理由

どんな仕事をしていても気になるのが「年収」です。

違う業界で働く友達なんかに、さりげなく給料や年収を聞いてみたり。
でもあんまりガツガツ聞くのもためらわれます。金の亡者と思われるのは避けたいですから…。

それでも気になる書店員の年収!
ということで、今回は本屋で働く書店員の年収事情を徹底検証いたします。

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書店員の年収が低いのは業界のせい?

結論から言うと、書店員の年収は非常に低いのが現状です。
なぜ低いのか?その理由を理解するためには、出版業界の仕組みを簡単に知っておくと役立ちます。

出版業界には主に3つのプレイヤーが存在します。
まず1つが出版社。そして取次。さらに3つ目に書店が存在します。

出版社が本を作り、取次が本を流通させ、書店が読者に本を販売する。
それが出版業界の基本的な構造です。

この出版業界の構造を踏まえないことには、各プレイヤーの利益構造=書店員の年収は見えてきません。

出版社・取次・書店が本を1冊売ったときの利益はいくら?

一般的によく聞かれるのが「書店員は給料が少ない!」という悲鳴にも似た声です。

書店員は出版業界の利益構造のせいもあって給料・年収が非常に低いと言われています。

なぜ出版業界は書店員の給料が少ない仕組みになっているのでしょうか?くわしく見ていきましょう。

結局、出版社の取り分が多くなっている

書店員の給料・年収の低い要因を探るべく、まずは本が1冊売れるといくらの利益になるのかを考えてみます。

例えばここに、1冊1000円の本があるとします。

出版社の取り分は価格の70%なので、1000円の本が1冊売れるごとに700円(70%)の利益。

取次の取り分は価格の10%なので、1000円の本が1冊売れるごとに100円(10%)の利益。

書店の取り分は価格の20%なので、は1000円の本が1冊売れるごとに200円(20%)の利益。

(厳密にはそれぞれの取り分はもっと細かく決まっていますが、ここではわかりやすく説明するためにキリの良い数字を使っています。)

以上のようにみると、出版社が最も多くの利益を手にしていることがわかります。

書店は本が売れても利益がかなり低い

以上の説明をもとに考えてみると、1つわかりづらいことがあります。

それは書店よりも取次の方が利益率が低いということ。
取次は10%の利益ですが、書店は20%の利益を手にしています。

「ということは取次は書店よりも給料が低いの?」

いいえ、違います。

実は取次というのは、本が売れる・売れないにかかわらず、本の流通を行うだけで手数料を得ることができるのです。

ですから、多少利益率が低くてもたくさんの収益をあげることができます。
もっと言えば、取次は本が売れなくても利益を得られるというわけです。

一方の書店は本が売れて初めて利益になります。
売れないと全くお金にならないのです。

「でもそれはどんな商売でも一緒でしょ?」

はい、そのとおりです。

しかし、本の価格の低さと、書店の利益率の低さが書店員の年収・給料に影響しているのです。

本の価格を自由に決められない本屋の呪縛

また、書店は他の小売り業者のように自由に値段を決めることができない(値下げ・値上げ)ができないので、他の書店と差別化を図るのが大変むずかしいのです(再販売価格維持制度)。

1000円の本を1冊売って、200円の利益です。
1日に100冊売っても2万円(200円×100冊)の利益にしかなりません。

こうした縛りも書店員の年収を低くしている一因と言えるでしょう。

書店の平均給与・年収を徹底検証!

それではここからは、お待ちかね「書店員の給料・年収」を具体的な数字を挙げてご紹介します。

まずは書店チェーンごとの給与をみていきましょう。
なお、各データはWebサイトの求人情報等から抽出しています。

  • ・紀伊國屋書店
  • ♦大卒 ¥204,000
  • ♦修士 ¥214,000
  • 賞与は冬季1.5ヶ月+夏季0.5ヶ月
  • (業績により変動)
  • ・丸善&ジュンク堂書店
  • ♦大卒 ¥200,000
  • (賞与は業績により変動)
  • ・ブックファースト
  • ♦大学卒 ¥197,000
  • ♦短大・専門卒 ¥178,800
  • (各種手当て込み)
  • ・宮脇書店
  • ♦大学卒 約¥160,000
  • (賞与は不明)

書店はチェーンによってバラつきがあるものの、一般的な給与に比べるとかなり低いといえるでしょう。
転職の口コミサイトである「転職会議」では、収入についてかなり厳しい書き込みも見受けられます。

大手の書店チェーンでは賞与や手当てが見込めますが、中小のチェーンでは一人暮らしや結婚は厳しいと言わざるを得ないレベルの給与水準です。

また、本部への異動や役職がつくようになっても、残業代がつかなくなるケースも存在します。
私が以前勤めていた新宿の某書店の管理職クラスの人が愚痴っていました。現場の声はウソをつきません。

年収は低いけど、本が好きだから続けられる

給与面ではかなり厳しいといえる書店員という仕事。さらにいえば、今後の出版業界を考えると雇用面でも不安が残ります。

しかし、本屋の書店員は本が好きな人にとっては他に代えられない、かけがえのない仕事なのです。

本は重いです。本はホコリっぽいです。
それでも本が好き。本を売りたい。

そんな人にとって、書店員という仕事は大変だけど楽しさで満ち溢れています。
いつか出版業界の構造が変わり、書店員が報われる日を願うばかりです。

※最初から正社員で書店員になる人はもちろんいますが、本屋バイトから正社員になる人が多いのも書店業界の特徴です。
もし書店員を始めてみたいと考えているのであれば、アルバイトから経験してみるのも1つの方法と言えます。

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