なぜ読書アドバイザーという資格は広まらないのか?

読書アドバイザー」という資格は、業界にいる人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
でもどうでしょう。業界外にはまったくと言っていいほど知られていません。

もっと広まればいいのにと思っている、読書アドバイザーという資格。
どんな資格?仕事はなにをするの?など、こまかく見ていきたいと思います。

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せっかく良い資格なのに、コンセプトがわかりにくい

個人的にこの資格自体はとてもいいと思うのですが、コンセプトの見せ方がとってもカタイ印象があります。

実際に読書アドバイザーのホームページを見ていただくと、その意味はよくわかってもらえると思います。

なので、読書アドバイザーをホームページのまま説明するとウンザリすると思うので、なるべくわかりやすく、やわらかく解説してみます。

それを踏まえた上で、読書アドバイザーの問題点をちょっと厳しめに取り上げてみたいと思います。

読書アドバイザーとは「もっといろんな人に本を広めよう」という資格

読書アドバイザーとは、一般財団法人出版文化産業振興財団が読書を通した国民の生涯学習推進・読書活動の推進のため、平成5年より「JPIC読書アドバイザー養成講座」をスタートさせたものです。

いかがでしょうか。ホームページには、このようなカタイ定義が掲載されています。

簡単にいうと「もっとたくさんの人に本を広めるために、本に詳しい人を育てよう。」という資格です。

読書アドバイザーの目的は、大きく以下の3つに分けることができます。

  • ・読書を通した生涯学習の新たな分野を開拓する
  • ・読書の楽しみを研究し読書推進活動を実践する
  • ・読書を通して自己表現する活動の場を創造する

と、これまたカタイ内容の説明があります。

噛み砕いてみましょう。簡単にいうと、

  • ・「本を読むことで、人生の新しい楽しみを見つけ提案する」
  • ・「本を読むことの楽しさを、たくさんの人に広める」
  • ・「本を読むことで、自分を表現できる場所をつくる」

という、3つに言い換えられます。

読書アドバイザー講座では何をするのか?

読書アドバイザーは公的な資格ではありませんが、この資格をとるためには「読書アドバイザー養成講座」というものを受ける必要があります。

この講座は次の7つの内容で成り立っています。
内容は読書アドバイザーのホームページより、そのまま抜粋しています。

  • 1.「本」と「読書」について体系的に学ぶ
  • 2.各分野のエキスパートが講師に
  • 3.多彩な実習
  • 4.本好きの仲間と出会える
  • 5.本好きの仲間と出会える
  • 6.充実のオプショナルツアー
  • 7.充実のオプショナルツアー

1.「本」と「読書」について体系的に学ぶ

読書・編集・印刷・装丁・書評・図書館など、本に関わるあらゆるテーマに触れ、つながりを把握し、広い視野で俯瞰的に出版界・読書界を眺めます。
進化・発展する業界の最新情報もお知らせします。

2.各分野のエキスパートが講師に

各分野で活躍するエキスパートをスクーリングの講師に迎え、丁寧にわかりやすくお話しします。

3.多彩な実習

  • ●グループ・ディスカッション……受講生全員がいくつかのグループに分かれて、一つのテーマについて意見交換し、その結果を発表します。テーマは毎回異なり、グループのメンバーも入れ替わりますので、多くの人と様々なテーマについて意見交換ができます。
  • ●本のはなし……受講生1人1人が好きな本を1冊選び、その本について3分ずつアピールします。100冊のブックレビュータイムです。
  • ●装丁実習……文庫本をハードカバーに仕上げます。装丁家の岡本幸治氏の丁寧な指導の下、世界で一冊の本を作ります。
  • ●書評講座……課題本を読み、全員が書いた書評を豊﨑由美氏とともに読んでいきます。書評を書く力、読む力を養います。

4.本好きの仲間と出会える

北海道から沖縄まで、毎年全国から受講生が集まります。みんな同じ「本が好き」という共通点で集まっていますので、和気あいあいとした雰囲気の中で”仲間”になっていきます。
「普段あまり本の話をする機会がなかったけれど、ここでたくさんの仲間と出会えた」
「日々の業務やボランティア活動で悩んでいたことを話しあえる友人ができた」
 そうした出会いが生まれる場所が「JPIC読書アドバイザー養成講座」です。

5.本好きの仲間と出会える

全3巻と電子テキストから成る当養成講座のテキストは市販されていません。専任講師・永江朗氏の監修の下、JPICが編集したオリジナル・テキストです。
 スクーリング内容に沿って『本ってなんだろう』『本と出合う』『読む・調べる・伝える』の3巻に編集し、読み物としても充実した内容になっています。
 127×188mmの四六版でコンパクトにまとまっており、カラフルで洗練されたデザインの表紙に仕上げています。
 ”女性がハンドバッグに入れて持ち歩き、いつでもサッと取り出して活用できる”実用性を重視しています。

6.充実のオプショナルツアー

国立国会図書館や印刷博物館など、本にまつわる場所を見学します。
普段なかなか目にすることのない流通や印刷の現場、工夫とこだわりを持つ街の名物書店を巡る書店ツアーなどを企画しています。

7.充実のオプショナルツアー

当講座を修了した受講生たちが自主的に集まり、有志で作った団体「JPIC読書アドバイザークラブ「JRAC(ジャラック)」も、既に20年以上活動を続け、修了生の増加とともに全国でその活動の幅を広げています。
継続的な勉強の場を持ちたい、交流し続けたい、という修了生の願いから作られたJRACは、「JPIC読書アドバイザー」となった修了生を、修了期を超えてつなげ、新たな出会いを生み出し続けています。

以上が、読書アドバイザー養成講座の内容です。

この講座は合計4回、8日間の日程で行われます。なお、オプショナルツアーはここには含みません。

料金はテキスト代込みで一般58,000円、JPIC賛助会員53,000円となっています。

名前と料金を変えれば、読書アドバイザーはもっと広がる

ここまでご覧いただいた印象はいかがでしょうか。
カタイところもありながら、講座はなかなか面白そうな内容が並んでいます。

しかし、それでもなかなか広まらないのには理由があるはず。
そう考えて、ここではその原因は2つあげてみたいと思います。

運営元の名前がカタすぎて近寄りがたい

まず、この資格を運営している「JPIC 一般財団法人出版文化産業振興財団」という団体。
名称が長すぎて、何なのかよくわかりません。

読書アドバイザーの目的である「読書を広める」というのは、本を読まない人にも本を読んでもらおうという意味合いがあるはずです。

それなのに、漢字が16文字も続く長ったらしい団体名が運営しているのでは、受け入れてもらえるわけがありません。

ふだんから本を読んでいる人は興味がありますから、多少団体名が読みづらくても何とかなるでしょう。

でも、潜在的な読者層まで読書を広めたいなら、まずこの団体名を改めるべきです。

講座の料金を見て「うーん…」となってしまう

この講座の料金は、一般で申し込むと58,000円かかります。

実際の講座を運営するのには、それだけのコストがかかるのでしょうから、仕方がないかもしれません。

料金は実際に運営をしたうえでの損益計算があるのでしょうから、とやかくは言えません。
でも、本音を言えばもっと安くしてほしいなあ、と思います。

繰り返し言っているように本当の意味で読書を広めたいのであれば、この料金設定には疑問が残ります。
一般の人がもっと気軽に参加できるような料金にしなければ、資格をさらに広めるのはむずかしいでしょう。

JPIC読書アドバイザーを広めるために提案したい2つのこと

読書アドバイザーに対して批判的なことを言ってきましたが、個人的にはもっと広めたい、良い資格だと思っています。

だからこそ、「もったいない」と強く感じてしまうのです。

斜陽産業と揶揄される出版業界にもこんなに良い資格があるのですから、もっとたくさんの人に広まるべきだと思います。
きっと、読書や本が好きな人にとってはかなり心が躍る講座となっているわけですから。

まずは書店員の資格に対する認知度を上げるべき

もっと、コンセプトをわかりやすく「読書と本の楽しさをたくさんの人に広めるための資格」というくらい砕けて表現したほうが良いように思います。

また、これは少しはみ出してしまうかもしれませんが、この資格自体を「書店員」に広めるべきだと考えています。
資格名も読書アドバイザーだけではなく、「読書アドバイザー◯級」とする。

こうすることで、書店員は本と読書について勉強するキッカケになります。
そして、この資格を取得した書店員は「読書アドバイザー◯級」というバッチを名札のところにつけることができるようにするのです。

そうすれば、書店員のモチベーションや責任感も上がりますし、客観的な証明にもなるので、お客さんも信頼を寄せてくれるはずです。

読書アドバイザーのテキストを市販するべき

読書アドバイザーのホームページには「テキストは市販されていません」と、誇らしげに書いてありますが、テキストは市販するべきです。

市販化されたテキストで勉強をして、毎年数回、読書アドバイザー試験を開催すればいいのです。
イメージとしては簿記やFPのような、手軽に受けられる感じです。

市販して読書アドバイザー検定を開催すれば、試験料収入も見込めます。
就職活動に役立つことをもっとPRすれば、受験者数も一定数は確保できるはずです。

コンセプトをやわらかく、そして資格自体をもっとたくさんの人に取得してもらえるような仕組みをつくることが、本当の意味で読書を広めることになるのではないでしょうか。