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「小悪魔ageha」休刊からの復刊劇!その理由と裏事情とは?

公開日:2014/05/17  更新日:2016/10/05
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小悪魔agehaはいわゆるギャル系の女性ファッション誌で、「アゲ嬢」という言葉を生み出し一大ブームを巻き起こしました。
キャバ嬢をはじめとする「華美」なファッションを楽しむ女性に支持されています。

そんな小悪魔agehaですが、2014年5月号で休刊を迎えます。多くのギャルが悲しむ事態となったわけですが、一年の時を経て復刊を果たします。

なぜ小悪魔agehaは休刊しなければならなかったのか?そして、なぜ復活を遂げることができたのでしょうか?

休刊と復刊の理由、そして裏事情についてわかりやすく解説します。

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小悪魔agehaを発行するインフォレストの絶頂期と事業停止

「小悪魔ageha」を筆頭に「アイラブママ」「女子カメラ」、男性向けの「Samuraiマガジン」などを発行していたのがインフォレストという出版社です。
順調に売り上げを伸ばしていた同社ですが、2014月15日付けで事業を停止したことを発表。

この発表は出版業界に大きな衝撃を与えます。

そもそもインフォレストは英知出版(2007年に破産)というグラビア雑誌をメインに発行する出版社から会社を分割するかたちで2002年に設立されました。

出版だけでなく、衣料や雑貨などの通販事業も行っていた同社は2008年3月期に年売上高約59億円、通販事業は2009年3月期に年約74億円を計上するなど、絶好調でした。

しかし、多くの出版社が抱える問題と同じようにインフォレストの雑誌も次第に伸び悩み始めます。
いわば売り上げの生命線である「小悪魔ageha」の売り上げが低迷していき、広告収入も減少。

どのメディアでも同じ仕組みですが、発行部数が多い媒体のほうが広告費は高くなります。
雑誌にとって広告収入は大きな収益源ですが、そもそも雑誌が売れないとスポンサーも付きません。

2012年3月期、インフォレストの年間売上高は約43億円まで落ち込み、資金繰りも悪化。やがて限界となったインフォレストは事業停止に追い込まれます。

一見すると十分な売り上げのようにも見えますが、会社とりわけ出版社の経営状況というのは売上高だけでは計れません。

事業停止時の負債額は約30億円にまで膨れ上がり、この数字は大きなインパクトを持って伝えられました。

小悪魔agehaのスゴさとは?

インフォレストの看板雑誌はなんといっても『小悪魔ageha』です。

この雑誌のターゲットはずばり、「キャバクラ嬢」。何とも斬新な切り口で、テレビなどメディアで続々と取り上げられました。

というのも、いままで女性ファッション誌でここまで明確にターゲットを絞った雑誌がなく、なおかつ誌面やモデルの派手な見せ方も印象的だったのです。

小悪魔agehaをつくった「中條寿子」って何者?

小悪魔agehaの初代編集長は当時27歳の中條寿子という人物です。中条氏は大学4年の終わりから、英知出版(のちのフォレスト)にアルバイトとして働き、そのまま社員になります。

中条編集長は小悪魔agehaのコンセプトについてこのように語っています。

「夜のお仕事をしている女の子が同じ境遇で働いている全国の女の子たちのメイク・ヘア・ドレスなどを見て参考にできるような雑誌を作ろう!」と思ったんです。夜の仕事をしている女の子たちはさまざまな理由で働いていて、太陽の光を見ないでお酒を飲んだりしているので、本当に疲れてしまって、段々と病んでくるものなんです。
そんな夜の女の子たちは、ちょっとでも派手な髪型にしたり、きれいなドレスを着たりするくらいしか楽しみが無いんですよ。だからせめて出勤前に髪型やドレスを決めるのに参考になるものを作りたいなと思っていたんです。
【「小悪魔ageha」編集長にインタビュー、世の中には「かわいい」か「かわいくない」の2つしか無い GIGAZINEより引用】

こうした中条氏のコンセプトは見事に夜の女性たちにハマり、社会現象にまで発展。

小悪魔agehaに登場するモデルは「ageモ」「age嬢」などと呼ばれ、2008年の最盛期には40万部発行で実売30万部と猛烈な勢いで売れていました。

ちなみに、いま最も売れている集英社の女性ファッション誌「MORE」の発行部数が34万部です(2014年1月〜2014年3月の発行部数)。

特定のターゲット、それも夜の仕事をしている女性というコアな層に向けた雑誌がここまでの売り上げを伸ばすのは驚異としか言えません。

キャバクラ嬢をターゲットに絞っているにも関わらず、実売30万部というのがいかにすごい数字かおわかりいただけると思います。

もちろん、

中条編集長の解任によって小悪魔agehaの部数は激減

最初にムックとしてスタートした小悪魔agehaですが、販売数が増えることによって次第に編集部員は増えていきます。

好調に見えた小悪魔agehaですが、2008年からはじまった「付録ブーム」によって次第に流れは変わっていきます。

出版社の上層部からは「付録をつければ売れるだろう」と言われ、中条編集長は嫌気が差してきたといいます。

そして2011年に中条編集長は小悪魔agehaを卒業。ここから、小悪魔agehaは付録をつけるようになります。

しかし、付録に関して宝島社などの大手にかなうはずもなく、そして何より読者のウケもそんなによくなかった。

小悪魔agehaが休刊となる直前の2014年3月号は発行部数が13万部と減少していました。

発行部数が13万部あれば十分な数字ですが、インフォレストの経営悪化によって会社の存続が不可能になった、というのが実際のところです。

休刊から奇跡の復刊!小悪魔agehaが戻ってきた

キャバ嬢の社会学』の著者である北条かやさんは小悪魔agehaの休刊時、以下のように分析していました。

『ageha』には、まだまだそれなりに読者もいるので、雑誌部門だけどこかに売却されるのかもしれません。
ただし、しばらくは休刊の可能性もあるでしょう。Amazonや他の書籍通販サイトに『ageha』の次号(14年6月号)が登録されていないからです。『ageha』と同じ、毎月1日発売のギャル雑誌『egg』の次号は既に登録されているので、agehaがしばらく休刊となる可能性は高い。
【BLOGOS 2014年04月16日『小悪魔ageha』の版元が倒産へ、全盛期から何が変わったのか】より

この分析どおり、小悪魔agehaは2014年12月に限定復活という形で『小悪魔agehaメモリアルBook』が発売されます。主婦の友社からの復刊でした。

限定復刊号はわずか1週間で5万部を売る大人気ぶり。やはり小悪魔agehaの読者層が厚いことを感じさせる結果となったのでした。

そして2015年、ネコ・パブリッシングという出版社から小悪魔agehaが正式に隔月誌として復刊を遂げることになります。

編集長には『Happie nuts』や『小悪魔ageha』で編集を担当していた小泉麻理香氏。小泉氏は復刊に際し、以下のようなコメントを発表しています。

「休刊から約1年が経ちますが、皆様のおかげで新しいスタートを切ることができました。これからも、女の子の『かわいくなりたい願望』を手助けできる存在を目指して参ります。皆様今後ともよろしくお願い致します」

移り変わりが激しいファッション雑誌の世界で、独自の世界観をつくり、さらにそれを売り上げに結びつけるのは並大抵のことではありません。

小悪魔agehaにはギャル文化を支える雑誌の一翼として、今後さらに発行部数を伸ばして欲しいですね。

 


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