2014年に起きた出版業界ニュースまとめ

1年を振り返るのにふさわしい時期となりました。
今回は初の試みとして、2014年に出版業界で起きたニュースをまとめて紹介したいと思います。
こうして振り返ってみると、「これって今年だったの?!」という驚きがあったりします。なかったりもします。
独断と偏見の出版業界ニュースまとめ、それではスタートです!




第150回芥川賞と直木賞が発表されました

1月には第150回芥川賞直木賞が発表されました。
芥川賞には小山田浩子氏の「穴」が選出。
直木賞に朝井まかて氏の『恋歌』(講談社)、姫野カオルコ氏の『昭和の犬』(幻冬舎)が選ばれました。

第150回芥川・直木賞

授賞式会場にて姫野氏(左)と朝井氏(右)【写真:新文化】

⇒関連記事:第151回芥川賞・直木賞の候補作が発表されました

紀伊國屋書店が出版社別売り上げランキングを発表

1月30日に紀伊國屋書店が出版社別の売り上げランキングを発表しました。
集計期間は2013年1月1日〜12月31日。
売り上げランキングTOP5は以下のとおり。

  • 1位 講談社
  • 2位 KADOKAWA
  • 3位 集英社
  • 4位 小学館
  • 5位 学研マーケティング

CCCが過去最高の売上高を発表

TSUTAYA、蔦屋書店を経営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の売上高が1130億円となり、過去最高となったことを発表しました。
この数字は書籍と雑誌の販売金額の合計で対象は742店舗。
「蔦屋書店仙台泉店」、「MORIOKA TSUTAYA」、「函館蔦屋書店」などの大型書店の出店攻勢が大きく寄与したと見られます。

佐村河内守氏の本が店頭から消える

耳が聞こえない作曲家のフリをして、ゴーストライターを雇っていたことが発覚した佐村河内守氏の著者を出版各社が自主回収するという騒動。

2月5日、講談社は同氏著『交響曲第一番』(発行1万6500部)を絶版・回収。NHK出版は『魂の旋律 佐村河内守』(同7000部)の販売を停止し、返品を呼びかけている。また幻冬舎は2月6日、『交響曲第一番』の文庫版の販売を停止。世界文化社も、同氏が手がけたとされる楽曲を収録したCD付「家庭画報」3月号の出荷を取りやめた。(新文化より引用)

いずれの本も佐村河内守氏を肯定的に紹介する本だったこともあり、「やばい!」と思った出版各社が自主回収に走ったかたちです。

明屋書店とセブンイレブンがコラボで新業態

愛媛県に本社を置き、東京から鹿児島まで80店舗を構える明屋(はるや)書店がセブンイレブンとコラボしました。
明屋書店石井店(愛媛県松山市)は店舗面積220坪の明屋書店に45坪のセブンイレブンが併設されるかたちでオープン。

明屋書店とセブンイレブン

明屋書店とセブンイレブン(写真:愛媛のいいところ探し)

それぞれ入り口を設けていて、店内からも行き来ができるようになっています。
店内には共有のイートインスペースも併設。

B5判で統一した雑誌「超刊号」を出版9社合同で刊行

4月12日にB5判で統一した雑誌「超刊号」が一斉発売されました。
この頃は書店に行くと大々的に展開されていて、出版営業をする身としては非常に複雑な心境だったのをおぼえています(場所がなくなる)。
雑誌超刊号

「超刊号」は店頭で大きく展開されていました(写真:高桑書店HP)

参加している出版社は学研ホールディングス「mer+」、講談社「Rillia」、光文社「Sprout」、集英社「ON Y VA」、主婦と生活社「GIFT LEON for KIDS」、小学館「オモタメ」、世界文化社「Begin LADIES」、ダイヤモンド社「子どもと一緒に海外旅行!」、文藝春秋「おいしいものは日本中から取り寄せる!」の9社で、雑誌の需要を掘り起こすのを目的として実施された施策です。

村上春樹の短篇集が発売される

4月18日に文藝春秋より村上春樹の短篇集『女のいない男たち』が発売されました。
初版はなんと驚異の20万部(!)。さらには発売前に10万部の重版が決まり、合計30万部からのスタートとなりました。
雑誌「文藝春秋」に掲載された作品が中心で、1編の書き下ろしも収録されています。

マンガ大賞2014に「乙嫁語り」が選ばれる

書店員や各界の選考委員が面白いマンガを決めるマンガ大賞2014の大賞に森薫の「乙嫁語り」(KADOKAWA エンターブレイン)が選ばれました。

「進撃の巨人」が初版275万部スタート

2014年は進撃の巨人が一挙に頭角をあらわした年でもありました。
4月9日には「進撃の巨人」13巻が初版275万部で発売。これは講談社史上過去最高の数字。
劇場版アニメ映画「進撃の巨人」も公開され、実写映画化も決定しています。

丸善丸の内本店に「手塚治虫書店」がオープン

4月7日に手塚プロダクションと共同で丸善丸の内本店3階に手塚治虫書店がオープン。
手塚治虫関連の本はもちろん、無料でマンガが閲覧できる電子図書館サービス「TEZUKA SPOT」なども併設されました。

手塚治虫書店

丸善丸の内本店の手塚治虫書店(写真:TezukaOsamu.net/jp「虫ん坊」)

本屋大賞は和田竜『村上海賊の娘』に決定

2014年の本屋大賞は和田竜『村上海賊の娘』(新潮社)に決まりました。
年間ベストセラー総合ランキングでは日販で6位、トーハンでは4位にランクインしました。

関連記事

インフォレストが事業停止

2014年の出版社事情で特に話題になったのがインフォレストの事業停止でした。
同社の看板商品である「小悪魔ageha」の売り上げ不振と広告収入の減少で売り上げがダウン。
出版業界の浮き沈みの激しさを物語るトピックとなりました。

⇒関連記事:『小悪魔ageha』の出版社が倒産…いったい何があったのか?

ブックオフとヤフーが資本・業務提携

ブックオフで買い取った商品を「ヤフオク!」で出品する事業をスタートしました。
また、ブックオフの店頭に「ヤフオク!」の買取窓口を設けて買取を強化。
自分の商品がヤフオクで落札されると、指定した金融機関に買取額の25~45%の手数料を引いた金額が振り込まれる仕組みです。
9月26日には「ヤフオク!」と「BOOKOFF」がコラボする旗艦店「ヤフOFF! フラッグシップストア 渋谷センター街」を東京・渋谷にオープンしました。

ヤフオフ

ヤフOFF!フラッグシップストア渋谷センター街のエントランス(写真:ITmedia)

紀伊國屋書店新宿南店の洋書売り場が拡大

5月29日、紀伊國屋書店新宿南口の洋書売場が「Books Kinokuniya Tokyo」として新装・拡大されました。
同店の6階がすべて洋書となり、在庫冊数を約2倍である12万冊に増加。
2020年の東京五輪に向けた店づくりをスタートさせたかたちです。

第151回芥川賞と直木賞が発表されました

7月には第151回芥川賞と直木賞が発表されました。
芥川賞には柴崎友香氏「春の庭」が選出。
直木賞に黒川博行氏『破門』(KADOKAWA 角川書店)が選ばれました。

第151回芥川・直木賞

授賞式会場にて黒川氏(左)と柴崎氏(右)【写真:新文化】

夏目漱石『こころ』が700万部を突破

新潮文庫の『こころ』が7月30日の重版で186刷・701万500部となりました。
同作は3000タイトル以上ある新潮文庫の中で最も売れている作品です。

レシピ本大賞が決定

9月19日に「料理レシピ本大賞」が決まりました。
料理部門は『常備菜』、お菓子部門は『まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本』となり、主婦と生活社のダブル受賞となりました。

年間ベストセラー発表「ふくらはぎ」がダントツ

日販トーハンの発表する取次年間ベストセラーが発表され、総合ランキング1位はアスコム『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』となりました。
100万部(40刷)を発行していて、消化率も94%に至っているという売れっぷり。

⇒関連記事:2014年の年間ベストセラーランキングが発表されました!

2014年の出版業界を振り返って

本が売れない時代と言われながらも、増収増益を叩き出している企業は必ず存在します。
ということは、その分だけ食われてしまっている書店や出版社、取次が存在するということでもあります。
出版業界のパイが小さくなってきている以上、生き残っていくためには他社とは違うことをやる、あるいは他社と最低限同じことはやる、といった姿勢が必要になってきます。

個人的な予測として、2015年は思いもよらなかった業態が生まれてくるのではないかなと思っています。
カフェと本屋が併設されたお店が斬新とされた時代がありましたが、いまやそれも昔の話。
本というプロダクトの可能性を広げてくれるような新業態、あるいは企画、本づくりが生まれることを祈りつつ、本年の記事を締めくくりたいと思います。

今年もたくさんの方に本サイトを利用していただきました。
Facebook、ツイッター、メールなどを通じて多くの方からメッセージをいただいたことが、大きな励みとなっております。
来年も皆様に読んでいただける、意義のある記事を多く配信できるよう精進してまいります。
今後とも、コトビーを宜しくお願い申し上げます。よいお年を!