今さら聞けない基本用語!出版・書店業界の超重要ワード5選

どんな業界にも、独自の言葉(用語)があります。
それを使っているだけで「おーなんか業界人っぽいね」なんて言われたりするものです。

出版業界・書店業界もご多分に漏れず専門用語が存在します。
しかしながら、じつは意外と知らない用語も少なくありません。

そこで今回は、いまさら恥ずかしくて人に聞けない出版・書店業界用語を5つご紹介します。




1.出版取次

出版取次(とりつぎ)とは、いわゆる問屋さんのこと。

出版社がつくった本は、まず出版取次(以下、取次)に運ばれます。
そして取次は自社が契約している本屋さんへ本を運搬する仕事をしてくれます。

反対に本の返品をするときは、本屋はまず取次に本を返送します。
そして、取次は出版社へ本を返品するという具合です。

出版社⇔取次⇔本屋」という流れになっているわけですね。

ちなみに取次はおもに手数料をとって収益を上げています。
業界の最大手は日販(日本出版販売)とトーハンの2社です。

2.返品

返品とは、本屋がお店で売れない・売れなくなった本を取次(ひいては出版社)に返すことです。
実務上は、返品という言葉は取次に返すイメージで使われます。

本の返品率はおおむね40%前後と言われています。
これはつまり、本屋は仕入れた本10冊あたり4冊は返品している計算です。

そしてこの返品率は、以前にくらべるとかなり厳しく管理されています。
その理由は日販やトーハンがムダな輸送コストをカットしようとしているからです。

取次は本屋に対して力を持っているので、本屋としては取次に従わざるを得ません。
ですから、出版社としては本屋からの注文を取りにくくなってきています(書店員が注文を出しにくくなっているため)。

売れ筋が本屋に並ぶので売り上げが伸びる可能性はあります。
しかし、品揃えが均一化して本屋ごとの「色」がなくなり、面白さが希薄になることは避けられません。

返品率は業界構造の問題なので、どこか1つを改善すれば解決するわけではありません。

3.面陳・差し・平積み

面陳・差し・平積みはいずれも本の陳列方法を指します。

面陳とは、本のカバーが見えるようにディスプレイすること。平積みまではいかないけど、拡販したいときに使う方法です。

差しは、棚に本を1〜2冊入れることを言います。
仕入れが取次や本部主導だったり、書店員がいい加減な本屋は差しを見ればわかります。
定番書が多かったり、棚の分類がめちゃくちゃなことが多いからです。

平積みは、新刊や注目度の高い本をディスプレイして販売する方法です。
置く場所にもよりますが、多面展開をするとかなりインパクトがあります。

出版社の営業としては、いかに面陳・平積みを勝ち取るか。
書店員はいかにお客さんに魅力的に本を展開するか。

ディスプレイ方法は本屋の色がとても濃く出るところでもあります。

4.版元

版元(はんもと)とは、出版社の別称のことをいいます。
書店員同士の会話で出版社と呼ぶこともありますが、実務では版元という用語を使います。
単純に省略されて呼びやすいというのが理由の1つと考えられます。

この言葉は出版業界人しか使いません。
うっかりお客さんとの会話で使うと「?」を喚起させてしまうので接客においては要注意です。

5.重版・初版

重版とは本をあらたに印刷することをいい、増刷も同じ意味ような意味で使われます。
ある作品の売れ行きが良かった場合に、もっと本をつくることです。

初版とはある本を1番最初に印刷することをいい、「初版部数」という言葉とセットで使われることも多くなります。
出版社が「この本は売れるぞ!」と予測する本は、初版部数を多めにして本屋に多く並べるようにします。
そうすることで機会ロスを回避できるからです。

そのため、なかには新刊の初版部数を目安に注文数を決める書店員もいます。
出版社の営業に「この新刊は初版どれくらい?」と聞きながら、最初の仕入れ数を決めるわけです。

最近は出版業界の売り上げが良くないので一般的には初版5000〜8000部と言われています。
1万部を超えてくると「お、強気だな」と感じますし、さらに多い場合は売れっ子作家の可能性が高くなります。

これは出版社の規模や本のジャンルによっても変化します。
ちいさな出版社や、人文科学系の専門書は初版1000部前後スタートということも少なくありません。

みなさんは、用語をいくつ知っていましたか?
業界が長い人は知ってて当然の用語ばかりですが、新人の人などは新鮮な用語もあったのではないでしょうか。
この機会にしっかりと覚えて、来たる忘年会に備えておきましょう。

番外編:青木まりこ現象

青木まりこ現象とは、本屋に行くとなぜかトイレに行きたくなることをいいます。
科学的に証明されているわけではありませんが、紙のインクのニオイを原因とする説などさまざまな議論があります。

たまにお客さん用のトイレがない本屋も存在するので、立ち寄る際には十分な注意が必要です。
また、神保町の古書街ではさらなる厳戒態勢で臨む必要があるでしょう。

くわしくは、本屋でトイレに行きたくなる「青木まり子現象」のすべてをごらんください。