【本屋の話】新宿にある残念なブックカフェ

なんというんでしょうか、本はそこにあるだけで知的な印象を与えるといいますか、きっと本をインテリアにすることで全体的にまとまりのある空間をつくることができるのでしょう。

以前、ファッションブランドのniko and…と未来屋書店がコラボ!でも紹介しましたが、こうした雑貨や洋服のお店と本屋がコラボする業態が多くなってきている気がします。

本がいろいろなフィールドで活躍してくれるのは嬉しい限りです。
でも、その一方で本が単なる「お飾り」として空間に使われることも増えてきている気がします。

その急先鋒が「ブックカフェ」です。
ブックカフェは文字通り、本とカフェを融合させることで居心地の良い空間を提供しています。
今回はそのブックカフェを辛辣なコメントとともに実例を挙げて紹介し、ブックカフェの在り方について考えてみたいと思います。




実例「Brooklyn Parlor 新宿」

わたしがブックカフェの在り方に疑問を持つようになったお店が「Brooklyn Parlor(ブルックリンパーラー)新宿」です。
このお店は新宿駅南口から徒歩7分の新宿マルイアネックスの地下1階にあります。

ブルックリンパーラーのコンセプトは「人生における無駄で優雅なもの、ぜんぶ」。
さすがに言うだけあって内装はかなりオシャレ空間です。

ブルックリンパーラー新宿

Brooklyn Parlor新宿
提供:Brooklyn Parlor HP

本棚が配置されていて、店の真ん中にはいかにも重厚そうなソファが。
なかなかここまで趣向をこらしたインテリアを揃えるお店は少ないでしょう。

本を「飾り」に使うだけで、本を楽しむ空間とは程遠いお店

このお店には2回ほど行ったことがあります。

行った時の第一印象はなんといっても「混雑」。
時間帯が悪かったのもあるのでしょうが、入るのに並んで30分くらい待ちました。

ようやく席について一息…つきたいところですが、店内がとにかくうるさい。
音楽と女性のおしゃべりの声があいまって、かなりの喧騒につつまれています。

あとは席の間隔がかなり狭い。周りの人との距離がかなり近いのです。
回転率を重視しているのでしょうか、近すぎて落ち着きません。

上の写真では非常にゆったりとした空間っぽく見えますが、実際はまるでくつろげない空間に仕上がっています。
ついでに言うと、店員の接客もかなりヒドイもんです。

ブルックリンパーラー

と、ここまでBrooklyn Parlor新宿についての批判じみたこと書いてきましたが、メインはここからです。

このBrooklyn Parlor新宿は典型的なブックカフェスタイルをとっています。
店内には店を囲むようにして本棚が設置されていて、雑誌や本がたくさん。

私はこの本とカフェの素敵な空間を夢見てBrooklyn Parlor新宿を訪れました。
でも足を運んでみて思ったこと。

それは、

「本なんか誰も読んでないし、そもそもこんなうるさくて本なんかに集中できねーーー!!」

ということです。

お店をオシャレで知的な空間に見せるために本を使うのは別にかまいません。
でもそれは実態がともなっていての話です。

最初に紹介したように、このお店はゆったりと本を読んで過ごせる空間になっていません。
それなのに本を飾って空間を満たしている。本がただの「お飾り」になっているのです。

本は使いようです。別にどんな風に使っていただいてもかまいません。
本を飾ったり、買ったりするだけで満足する人が増えているのでしょう。
でも、本を売ることで生計を立てている本屋や出版社の立場からすると、気に食わない。

本は集客力があります。だから、本を一緒に販売する業態が増殖しています。
だけど、もう一度本が本来持つべき姿について考えて欲しいのです。

本はコーヒーや雑貨を売り伸ばすためのお飾りではない。
本が都合の良いように使われることにはどうしても賛同できません。

これはかなり偏った意見なのかもしれません。
「別に本がどう使われたっていいだろ?」
そういう意見があるのもわかります。

でも、こう上手く言葉で表現しきれない何かがあって、ブックカフェをはじめとする業態への不満につながっているんです。

numabooks代表でブックコーディネーターとして活躍する内沼晋太郎さんは自身の著書でこのように語っています。

当たり前のことですが、飲食店にはふつう、人は飲食をするために訪れます。そういう場所の隅にひとつ本棚を作ったところで、よほど店主が話しかけて本を勧めたりしない限り、多くの人にとってはただの風景になってしまう(『本の逆襲』P36)。

今回紹介したBrooklyn Parlor新宿はこうしたブックカフェの氷山の一角にすぎません。
全国には同じような業態のお店がたくさんあります。

本を単なる「飾り」としてしか見ていない、そういうお店の経営とは真っ向からぶつかっていこうと決意する日なのでした。