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担当ジャンルに生活を捧げる!名物書店員に学ぶ「あたらしい働き方」

公開日:2016/10/28 
カテゴリ:書店員向け
書店員の担当ジャンル

”プロ”とは何でしょうか。
一般的にプロと呼ばれるのは、仕事の対価として「お金」をもらっている人のことを指します。

もちろんそれがプロの大前提ですが、もっと色々な解釈があるのも事実。
お金をもらうだけでなく、その道を極めようとする人こそがプロだ、という見方もできますよね。

そんな”プロ”について、今回は「あー、これこそがプロだわ」と、思わず感心させられた書店員の話について書きたいと思います。

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担当ジャンルの異動で一人暮らしを始める書店員

出版業界の人ならご存知であろう新文化。言わずもがな、出版業界専門紙です。

その新文化に「こじらせ系独身女子の新井ですが」というコラムが掲載されています。書いているのは三省堂書店池袋本店の新井見枝香氏。

知っている人も多いかもしれませんが、今回書かれている内容というのが何とも書店員としてのプロ意識を感じさせる内容です。

一部抜粋してご紹介したいと思います。

実家が山手線の駅から徒歩5分という好立地のため、ずっと両親と暮らし続けてきたが、あるきっかけで「今か」と思い立ったのだ。えー、オホン。わたしくごとですが、10月より文芸書担当から、実用書担当になりました。(中略)作って食べたことのないレシピは自信を持って勧められない。健康法だって、メイクだって、なんでも試してから売りたい。(中略)実家にいては栄養士と調理師の免許を持ったハイパーマミーがキッチンを牛耳っているため、私が立ち入る隙はない。料理をしないのではなく、できない状況なのだ(新文化10/20号「36歳の”自立”」より)

かいつまんで言ってしまうと、担当ジャンルが変更になり、それを機会に一人暮らしをはじめたという内容となっています。

実用書というのは生活に密着したジャンルですから、そこに書かれた内容の良し悪しを判断するには自分で試すしかない。そのためには、生活環境を変える必要がある。そこで思い立って実家を出て一人暮らしを始めようというわけです。

レシピ本をもとに自分で料理をして食べてみる。流行りのメイク本があれば、自分でお化粧して実践してみる。これは生活と仕事を結びつける生き方といえます。誰にでも真似できることではありませんが、多くの書店員が参考にすべき姿勢です。

「36歳という年齢を考えるといいキッカケになっただろ」と見る向きもあるかもしれませんが、実家を出て一人暮らしを始める理由が「実用書担当になったから」というのは大きな決断だと思います。

書店員は本の中身まで把握する必要があるのか?

個人的な考えですが、頼りになる書店員というのは本当に少数だと思います。

ここでいう頼りになるとは「本の内容にどれだけ答えられるか?」ということです。

かなりマズイ対応なのですが、書店員業界ではお客さんが書店員に本のことで質問をすると「本の内容のことまではわかりかねます」という回答をするケースが非常に多い。

これはこれで、下手な接客を避けるという意味でリスクヘッジになります。接客のルールを明確にしたい書店にとっては好都合かもしれません。
しかし、どうでしょう。こんな接客対応を食らったお客さんの中には「大きな失望感」が生まれるはずです。

そもそもお客さんは書店員のことを「本のことなら何でも知っている人」という捉え方で見ています。だからこそ、お客さんの期待に応えることは重要なのです。

これだけ本屋で本を買う人が減っている現状において、インターネット書店や電子書籍との差別化を図るために何ができる?その大きな要因となるのが「書店員の質」に他なりません。

お客さんが書店の店頭で質問をして、その書店員なりの精一杯の回答をする。これだけで「やっぱり本屋っていいな」と思ってもらえるはずです。

さきほど取り上げた新井さんの例でいえば、本の内容を自分で実践してそれに応じてレコメンドをする姿勢です。この意識の高さは、店頭の陳列にも表れるでしょうし、お客さんへの対応も親身かつ正確なものになるでしょう。

少なくとも自分の担当するジャンルのことは最低限答えられるようにする。これは書店員にとって重要なスキルと心がけです。

「本の中身のことは答えられないんです」という最悪な接客はいますぐ辞める。
そうすることで、お客さんはもとより、書店員自身の仕事の楽しさにもつながるでしょう。

 


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