意外と知らない「書店員の仕事内容」とは?

書店は私たちが本を買う場所として欠かせない存在です。
出版社は本をつくり、取次配本をし、書店は本を販売します。

そこで気になるのが書店員の仕事内容です。
書店の仕事と1日の流れ、そして出版流通の図をもとに基本的な仕組みと役割について見ていきましょう。




本屋さんの1日の仕事を見てみよう

それではさっそく、書店員の1日の仕事の流れを順番に追ってみましょう。

1、入荷・検品

書店の1日は、その日に入ってきた本の検品と分類から始まります。
取次から届けられた荷物の数を送り状と照らし合わせて、入ってきた本に間違いがないかを確認します。

荷物の確認をしたあと、書籍と雑誌をバラして(荷解き)、取次から送られてきた伝票に載っているタイトル・価格・冊数を確認(検品)します。
商品が届いてなかったり、品違いや誤送品など送り状と実際に入ってきた本にちがいがある場合(いわゆる事故)、取次販売会社へ連絡を行います。

検品後は、新刊、注文品、補充品、客注品などに分け、店頭分はジャンル別に分けます。
雑誌の付録などは、この時にセット組みを行うか、レジの空き時間に行います。

2、商品の陳列

書店員のセンスが問われるのが本をならべる作業。
お客さんに興味を持ってもらうための売り場づくりを、限られたスペースでおこなわないといけません。
毎日のように新刊が入荷してくるので、創意工夫が必要です。

関連する本を近くに並べるのはもちろん、あえて矛盾するテーマの本を近くに並べて読者を良い意味で混乱させるのも1つの手です。
どのアイテムをどのように並べるかは書店員の腕のみせどころ。

混乱する本棚

混乱する「語学書」の棚
(@KoooSeeeashoreさんのTwitterより)

「結局、英語は何なんだよ!」と思わずツッコミたくなる、混乱を呼ぶ棚の一例です。
でも、「これが英語だ!」っていう答えを書店が提示するのではなくて、あくまでも読者に判断をまかせるところに面白さがあると思います。
こういう棚があると、自分の頭でいろいろと考えるようになりますよね。

なにはともあれ判断基準はいろいろありますが、ある一定期間(2週間とか)で動きのないアイテムは見切りをつけて面陳・平積みから外したり、返品にまわしたります。

3、商品の発注業務

注文品にも色々な種類があります。
書店によっては、取次の定番品(売れ行きが良好なもの)で自動発注を行いますが、基本的には書店員が売れると思ったアイテムを店頭に並べるために本の発注をかけます。

他には読者からの注文(客注)、フェア用のアイテムの発注を行います。
お店の立地や、流行のアイテム、文学賞への対応など、発注業務は書店員の資質が問われるポイントでもあります。

4、返品(返本)

商品の入れ替えしたときに、見切りをつけた(もう売れないと思った)商品は取次への返品にまわします。
返品する商品が返品期限を過ぎていないか確認する必要があります。

多くの商品は返品了解が不要(フリー入帳)ですが、出版社によっては返品期限を設けていることがあります。

返品期限が過ぎてしまった場合は、出版社へ連絡をとり返品了解(返品してもいいですか?と出版社に確認すること)を得る必要があります。
出版社に返品できなくなってしまった商品は不良在庫(書タレ)となってしまうので注意が必要です。

5、読者(お客さん)への対応

レジだけでなく、売り場においてもお客さんへの対応が求められます。
店頭に来たお客さんからの問い合わせが合った場合、探している本の在庫はあるのかを確認し、どこに本があるのかを迅速に案内しなければなりません。
お客さんに問い合わせをうけて、スムーズに本を見つけられたときの、あの感覚はたまらないものがあります。

店頭に在庫がなければ、取次や出版社から取り寄せをする必要があります。
また、新聞広告や電車広告をたよりに本を探しにくるお客さんも多いので、新刊情報や書評に掲載された本をきちんと頭に入れておくことが大切です。

6、出版社への対応

書店員は基本的に自分の担当ジャンルがあります。
その担当者のもとに自分の会社の本を案内しにいくのが出版社の営業の仕事です。

書店員は店内作業の合間をぬって、出版社の営業の対応を行います。
基本的には出版社の営業担当から新刊や売れ行き良好書の案内を受けて、自分の店に必要な本だと判断すれば注文を出します。

自分の店で持てる在庫をきちんと把握しなければいけませんし、返品率にも気を配る必要があります。
ですから、出版社の営業の提案をすべて受け入れていてはお店に売れない本ばかりが並ぶことにもなりかねません。

本を取捨選択ができる力、いわば「断る力」も重要になってきます。

ただ、出版社の営業は発注の出ないお店には行かないことが多いので、断ってばかりいると出版社の営業がお店にほとんど来なくなります。
書店員が自分一人の価値観や情報だけで仕入れた本が果たして売れるでしょうか?

売れる店づくりをするためには、いろいろな書店をまわっている出版社の営業の情報力はどうしても必要になります。
たくさん注文をくれて、たくさん売ってくれる書店員のところに出版営業の人気が集まることも確かなのです。

書店はどんな仕組みで本を仕入れているのか?

出版流通の仕組み

書店の本は基本的に取次から仕入れます。店頭で売れそうな本は取次に発注をし、本を依頼します。
取次に在庫がない場合は、書店から直接出版社に注文を出し、取次経由で書店まで届けてもらう事もあります。

出版社が本を書店に直接納品するケースも

基本的には取次を経由する本ですが、まれに出版社が本を直接、書店に届けてくれる事があります。これを「直納」と言ったりしますが、主に大型書店などに対して新刊を早く届けるために行うものです。

書店側としてもわざわざ直納してくれた本を無下に扱うわけにもいかないので、自ずと販売に力が入ります。
他の書店では売っていない新刊を先行販売できるので、メリットがあります。

いま書店に求められていること

インターネットによる本の販売が普及し、電子書籍の台頭によって全国の書店の数は年々減少傾向にあります。
そんな中、書店はどんな対策を打っていく必要があるのでしょうか。

まず一番に挙げられるのが、実際に本を手に取ってもらう事ができるという強みを最大に生かすことです。
Amazonでは最初の数ページだけ立ち読みできる「なか見!検索」のような仕組みが存在しますが、やはり実際に全てを確認してから購入できるのは書店の大きな強みになるでしょう。

思わぬ出会いを演出するのが本屋の役割

インターネットによる書籍の検索は、目的買いには適しています。しかし、検索をかける時点である程度自分の頭の中にある興味から派生しているため、どうしても決まったジャンルの本を求めてしまいがちです。

しかし、書店では普段読まないような本も店頭で目につくため、今までふれてこなかったジャンルにふれる機会を与えてくれます。
これが書店が特に力を入れるべき点です。未知との遭遇をいかに演出できるか。それが書店の棚づくり、売り場づくりにかかっているのです。