書店員が出版社へ転職するメリット・デメリットとは?

本が好き。でも給料が安くて、将来的にも不安がいっぱい…
同じ本を扱う仕事であっても、書店と出版社ではその仕事内容や給料は大きく異なります。

わたしも、前職は書店員でした。
実際に出版社ではたらいてみて思うのは、出版社には書店員出身の人がとても多いということ。

ということは、やっぱり書店員のキャリアを考えるうえで、出版社への転職というのは1つの大きな選択肢となると思います。

そこで今回は「書店員が出版社へ転職することのメリット・デメリット」と題して、その良し悪しについて考えてみたいと思います。




書店の現場を知っていると、客観的に本の仕事ができる

書店員を経験してから出版社に転職することの最大のメリット。
それはズバリ「書店員やお客さんの目線に立って本づくりに向き合えること」です。

本をつくって営業をする上で、やはり書店員とお客さんの目線で本と向き合うのは言うまでもなく重要です。
というか、それが生命線になったりもします。

出版営業でいえば、書店員を経験しているとどんな営業が好まれて、どんな営業が嫌がられるかがわかります。
自分で経験しているからこそわかることが多分にあるのです。

どの時間に行くと書店員は迷惑に思うのか、書店員はどんなことをしてもらえると助かるのか。
具体的なことはやはり書店員を経験していないとわからないことばかりです。

出版社の編集に関しては、本の見た目(カバー)を考えるとき、特に書店員としての経験が生きてくると思います。

出版社によると思いますが、カバーデザインのイメージを考えるのも編集者の仕事です。
イメージを考え、デザイナーに意図を伝えるときも常に「書店員・お客さん目線」で考える必要があります。

書店員に「この本は売りたい!」と思わせるカバーはどんなデザインなのか?
どんな配色にすれば書店の店頭で映えるのか?
どんな帯にすればお客さんに食いついてもらえるか?
書店の現場を経験していることが、本づくりに大きく影響を与えます。

出版というのは、大きくとらえると「自己表現」そのもの。
「自己表現」は往々にして「自分がつくりたいもの」を追求しがちです。
でもそれではビジネスは成り立たない。

「自己表現」と「ビジネス」のちょうど真ん中、お客さんが読みたいと思うものをつくって初めて「ビジネスとしての自己表現」が成り立ちます。

わたしがはたらいている出版社でも書店員の意見は求められますし、本をつくるときには欠かせない部分でもあります。

その「ビジネスとしての自己表現」というものを1番よく知っているのが書店員なのです。

色々な本にふれる機会がなくなるのは猛烈に淋しい…

書店員を辞めて出版社ではたらくことのデメリット。
それは「いろいろな本にふれる機会がなくなる」ことです。

書店員であれば、担当ジャンルがどうあれ、様々な出版社の本にふれることができます。
でも出版社に勤めるとそうもいきません。

当たり前のことですが、自分の出版社の本を売ることに専念するので、いろいろな本を売る楽しさは得られないのです。

これは個人的な好みですが、わたしは本の中身以上に「プロダクトとしての本」が好き。
本を触った時の感触とか、あの紙の匂いとかが好きなのです。

その本を自分の感性にしたがって売り場に並べるのはとてつもなく楽しい仕事でした。
極論をいえば、売れようが売れまいが「棚づくり」さえできれば幸せだった。

書店員を辞めると、もうその楽しさを味わうことはできません。
出版社の仕事は楽しいですが、正直いうと書店員としての仕事が1番楽しかったのかもしれません。

書店員の給料と出版社の給料

書店員が出版社に転職する、その最も有力な理由は「お給料」にあると言われています。
これはあくまでもわたしがいろんな人から聞いた話に過ぎませんが、やはり将来のことを考えると書店員としての給料では厳しいのです。

「お金が理由で書店員を辞めるってことは、本への愛情がそこまでってことだろ?」
そんな意見もあるかもしれません。

このへんは本当に難しいところで、好きなことを仕事にする以上、何かを犠牲にしないといけないのでしょう。
よくビジネス書に書いてある「好きなことを仕事にしよう!」みたいなのは、一部のごく限られた人間だけの話。
現実はそんなに甘くありません。

まとめ

本が好きな人が、「本を仕事にしたい!」となったら、やはり書店員になるのが最も有力な選択肢です。
先ほどのように「プロダクトとしての本」が好きなタイプの人は書店員のほうが絶対に向いています。

加えて、いろんな本にふれていたい。いろんな本を売る楽しさを追求したいという人も書店員に向いています。

そうではなく、もっと自己表現をしたい。もっと絞って1つのことを追求したいという人は出版社が向いていると思います。

本への想いは人それぞれです。
自分がどんな角度から本と接していきたいのか。
それは本の仕事を選ぶ上で1番重要なことなのだと思います。

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まずは登録をしてみるところからはじめてみましょう。