売れる言葉は決まっている?ビジネス書タイトルの「キーワード」戦略

わたしが働く出版社では、あらゆるジャンルの本を出版しています。
文芸書もあり、実用書もあり、語学書もあり…そしてもちろん、ビジネス書だってあります。

外から見ている、つまり一般の読者ですら感づいているはずです。この違和感。
それはなにか?そう、ビジネス書のタイトルです。

出版社の営業として日々いろんな書店をまわっているわけですが、そこで最近よく感じること。

「ビジネス書のタイトルは戦国時代!パクりパクられ大狂乱!」

ひとつのキーワードが当たれば、他版元もすかさずそのキーワードで新刊を出す。
この行動力はすさまじいと思います。

興味深いランキング(「ビジネス書に入っていたら思わず手にとってしまうキーワードランキング」)を逆手にとって、いかにビジネス書のタイトルがパクリで成り立っているかを考えてみます。




パクり合いワードその1「一流」

まず、最近のビジネス版元がこぞって使うタイトルに「一流」があります。
どこからトレンドが生まれたのか定かではないですが、みんな一流になりたいみたいです。

このエントリーはビジネス書批判とも取れる内容です。ですから、悩みました。
でも、やっぱり実際のタイトルがあったほうが、嘲笑いやすいと思うので、実在の本をいくつか列挙します。

いずれも本当に一流になれるのか疑わしいテーマと結びついているところがポイントです。
一流を目指す人は、もはや1周まわってしまったのでしょうか。

パクり合いワードその2「戦略」

これに関しては、「戦略」という言葉を使うべくして使っているのであれば話は別です。

ヒドいのは「戦略」という言葉アリきでタイトルに無理やりねじ込んでるパターン

「そのテーマに戦略ってキーワードは明らかに不自然でしょ…」

いいえ、大丈夫!戦略というキーワードをタイトルに入れるだけでまあ不思議!
それらしくなっちゃうんです!魔法のコトバ!

戦略という言葉をタイトルに持ち込んで大成功を収めた本といえば、わたしの大好きな本の1つでもある『ストーリーとしての競争戦略』です。

競争、というよりは「競争戦略」という言葉と結びついているので、ここでの趣旨とは少し異なりますが。

この本のあとに、楠木さんは『戦略読書日記』という本も出しているのですが、これは完全にカブセてきたパターンですね。
これは個人的にちょっと残念でした。

パクり合いワードその3「ハーバード、スタンフォード」

もうこれ以上の満場一致はない!というくらい諸手を挙げて賛同を得られそうなキーワード。
そして、もはや使い尽くされたであろうキーワード。
それがこのハーバード、スタンフォードなどの超一流大学の名前です。

このエリート大学の名前がビジネス書の売り上げに貢献することが明確になったのはどの本からでしょうか。
わたしが直近で断言できるのはケリーさんの「スタンフォードの自分を変える教室」です。他にもたくさんありそうですね。

数え上げればキリがありませんが、ここ数年で最もビジネス書で使われたキーワードといっても過言ではないと思います。
これからはもっとコアな大学とか、わけわかんない名所が出てきたら面白い気もします。

「サハリン大学のエリートが教えてくれた、北方領土で鈴木宗男に打ち勝つ戦略」

もう意味がわかりません。

パクり合いワードその4「エリート」

日本人が横文字に弱いのは昔から言われていることですが、こうしてビジネス書で使われるフレーズを挙げていくと如実になります。

エリートという、いかにも欧米感覚をまとった言葉。

もっと出世したい…!と願うビジネスパーソンに非常にフィットする言葉なのかもしれません。

これもわたしの感覚ですが、エリートというキーワードが流行ったのはこの本からのような気がしています。
もっと前からあったらごめんさない。

ちなみにこれの実践編(いわゆる続編)はあまり当たらなかったみたいです…ここだけの話。

いまのビジネス書業界を反映したタイトルはこれだ!

ここまで、4つのキーワードを紹介しました。
それらをつなげて、さらに色んな要素を足していくと、今っぽいビジネス書のタイトルが出来上がります。

『ハーバード卒の一流外資系エリートがマッキンゼーとBCGで学んだ成功するビジネス戦略』

このタイトルはイケる!と思った編集の方、ぜひ使ってやってください。

【追伸:本のタイトルについて、実名を挙げて紹介しましたが、あくまでも一例です。決してその特定のタイトルを批判するつもりはございません。どうかご了承ください】