「紙の本や雑誌売り上げが過去最大の落ち込み!」と煽るメディアを信用してはいけない

出版科学研究所が2015年の推定販売額を発表しました。
2014年比5.3%減(845億円減)の1兆5,220億円となり、減少幅は昨年の4.5%減を上回り過去最大の落ち込み。マイナスは11年連続です。

出版物のバッドニュースがあるとメディアはこぞって取り上げるわけですが、その論調はどこも同じ。

「もう紙の本はダメなのかもしれない」
「雑誌はいよいよ終わりを迎える」

ニュースは悪ければ悪いほど拡散効果や人の印象に残りやすいもの。
その効果を狙った報道はどの世界でも同じですから、それをとやかく言うつもりはありません。

問題なのは、そのニュースを受取る私たちの態度です。

たとえば、今回の紙の出版物の売り上げが落ち込んだニュースにはきちんとした背景があります。
それは電子出版の市場規模です。

つまり、紙の出版物の販売額が落ち込んだ代わりに、電子出版物の売り上げも伸びているということ。
この背景を理解せずに「ああ、もう紙の本はダメなのね」と考えるのは何ともマズイ。

今回から調査対象に加えた電子出版の市場規模は1502億円で、14年比31.3%増と大幅な伸びとなった。電子化する書籍の点数が増加し、米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」向けなどの電子書籍が伸びたほか、NTTドコモの雑誌の定額読み放題サービス「dマガジン」の売り上げが市場拡大を支えた(「紙の出版物、15年の販売額5.3%減 減少率は過去最大」)

紙の落ち込みをカバーするほどの伸びではありませんが、電子出版物の売り上げは大きく伸びています。

つまり、本や雑誌が売れないのではありません。
本や雑誌が、紙から電子に取って代わられているというのが正しい捉え方です。

ニュースの見出しはなるべくセンセーショナルな表現を使いたがります。
そのほうが印象に残りやすいですし、読んでもらいやすくなるからです。

ですから、わたしたちは見出しに踊らさせるのではなく、そのニュースの背景・本質までしっかり読み取らないといけません。

紙の本が売れなくなっているのは事実です。
その事実を今後の出版業界、引いては書店業界にどのように反映させていくか。これが喫緊の課題といえるでしょう。