出版社に大きなお金をもたらす!講師派遣ビジネスとは?

いま出版社がこぞって参入を始めているのが講師派遣ビジネスです。
出版不況が続くこの業界で、本が売れない代わりに多くの出版社が新たな収益源を見出そうとしています。

今回は講師派遣ビジネスの仕組みと実際の取り組みについてわかりやすく解説します。




出版社のネットワークとノウハウを活かした講師派遣ビジネス

出版社といえば本をつくって売るのが仕事ですが、じつはそれ以外にもビジネスを展開していることがあります。
その最たる例が講師派遣ビジネス(あるいは社員研修ビジネス)と呼ばれるものです。

これは出版社の持つコネクションやノウハウを使って、企業や団体向けにセミナーを行うことを指します。
企業が会社の福利厚生の一環としてセミナーを開催することあれば、仕事の一環として研修という名目で開催することもあります。

出版社は本を出すときに当然のことながら著者とのつながりが生まれます。
コネクションの最大の強みは、著者とのつながりです。
その著者とのつながりを使って、著者を講師としてセミナーに送り出すわけです。

著者でなくても、出版社の編集長や編集部員を講師として派遣し、社員研修を行う場合もあります。
講師派遣ビジネスを行っているのは、ビジネス書出版社が中心です。以下で具体的なケースを挙げて紹介します。

ビジネス書版元の王様・ダイヤモンド社「ダイヤモンド・ビジネスタレント」

ビジネス書を語る上で、真っ先に名前が上がる出版社といえばダイヤモンド社でしょう。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』や『ザ・ゴール』などベストセラーは枚挙にいとまがありません。

そんなダイヤモンド社の手がける講師派遣ビジネスが「ダイヤモンド・ビジネスタレント」です。
これは先述のように、ダイヤモンド社のネットワークを生かして有名な著者に企業のセミナー講師をつとめてもらうビジネスです。
事実、ダイヤモンド・ビジネスタレントのWebサイトにはこんな記載があります。

ダイヤモンド社は、一世紀にわたる出版事業の歴史を通じて、あらゆる業界の内部に広く、深いネットワークを築いてきました。ビッグネームたちの講演を実現するのは信頼関係です。私たちは、プロフェッショナル達との緊密なつながりをもとに、イベントを成功に導く最適な講師をご提案します。

ダイヤモンド・ビジネスタレント

Webサイトには『伝え方が9割』の著者も

講師陣にはそうそうたる著名人が名を連ねています。
たとえばいまで言えばオリンピック関連の講師派遣が活況のようで、元陸上選手の為末大氏やアトランタオリンピック銅メダリストの有森裕子氏への依頼も可能です。

それ以外にも講師一覧には最近ニュース番組やバラエティで活躍している岸博幸氏、政治の世界では猪瀬直樹氏や海江田万里氏なんていう名前まであります。

講師依頼はそれ以外にもカテゴリーから選択することができます。
講演カテゴリ一覧

リスクマネジメントから食と健康まで網羅している
(ダイヤモンド・ビジネスタレントHPより)

講師の講演料は、実際に問い合わせをして講師リストを手にすることでわかるようです。

講師派遣ビジネスはどれくらい儲かるのか?

ではこうした講師派遣ビジネスは出版社にどれくらいの利益をもたらすのでしょうか?
これについては講師の講演料や、セミナーや研修の規模によって違うためひとくくりにはできませんが、人を集めれば集めるほど利益率は高くなります。

これをスケールメリットと呼ぶべきかはわかりませんが、講師1人にかかる講演料は何人のお客さんを集めようが大きくは変動しません。
ですから、経営的にいえば講師にかかる固定費に対して集客数が多ければ多いほど収益があがるのは当然のことです。

たとえば売り上げベースでいえば、セミナー代が1人あたり5000円で100人集めればそれだけで50万円です。
非常に単純な計算ですが、そこから講演料と人件費と場所代を差し引いた金額が大まかな利益になります。

出版社によっては単純に手数料を抜くかたちで利益を実現しているケースもあります。つまり、出版社はあくまでも仲介をするだけ。
その場合は会場準備や運営はすべて主催者側に任せることになります。

この利益をわずか数時間のセミナーだけで稼ぎ出せてしまうわけですから、出版社にとって大きな収益源になるのは言うまでもありません。
さらに、セミナー会場で本を販売することも考えられますので、そこからの収益にも期待できます。

今後は講師派遣ビジネスに参入する出版社が相次ぐ?

わたしの知る限りでも、「今度、講師派遣ビジネスを立ち上げる」という話を3社ほどから耳にしています。
その出版社の多くが、新しく部署を立ち上げるかたちでスタートさせるようです。

部署立ち上げにかかる初期費用はバカになりませんが、長期的な利益と本から得られる利益が減ってきている現状を考えると、今後は講師派遣ビジネスに参入する出版社が続々登場するかもしれません。