取次の流通網ってスゴイ…静岡県の本屋で感じた物流の大切さ

先日、仕事で静岡県に行き本屋を視察してきました。
場所は伊東市。海水浴や温泉でよく知られた街で、有名な本屋というのは皆無に等しい場所です。

地方の本屋を視察してみて、「取次の流通ってやっぱりスゴイかも…」と感じる部分もあったので合わせてご紹介します。




良い意味で黄ばんでる本を置く「文泉堂書店」

文泉堂書店

正直に言って「こんな場所で本当に本が売れるの?」と一目見たときに感じました。
それくらい人通りも少ない、いわゆる”シャッター商店街”の中に佇むお店です。

意を決してお店の中に入ると、まず正面にあるのは雑誌です。
このあたりは昔ながらの本屋といった感じて、雑誌を前面に押し出しています。店内の陳列は雑誌がメインでお店の半分を占めているほどでした。実用書やビジネス書は一切置いてません。

奥に入ると、経年変化で黄ばみたっぷりの「岩波書店の本」が並びます。
本当に新刊書店なの?というレベルのくたびれ具合をしていて、本を返品できない事情と昔っぽい懐かしさを感じます。

新刊書店の本が黄ばんでいるのは、本来であれば言語道断です。しかし、この本屋に限っては「長年、営業を続けてきた勲章」と受け取れるような気もするのです。

文泉堂書店2

お店を見て感じたのは、やっぱり取次の物流網はスゴイなーということです。
文泉堂書店の帳合はトーハンなのですが、こんな辺鄙な場所にもきちんと本が届けられているのだなと痛感しました。

物流って効率的に運ばないとトラックの配送にムダが生じてしまうわけですが、そういったものも織り込んだ上で本を届ける取次の”デカさ”を感じたお店でした。

出版社や本屋から嫌われることの多い取次ですが、出版業界の物流に大きな貢献をしていると存在であると再認識しました。

堅実な品揃えと回遊しやすいお店「サガミヤ書店広野店」

サガミヤ書店広野店

静岡県の書店チェーンといえば戸田書店(33店舗)、谷島屋(21店舗)が有名ですが、それ以外にもわずか数店舗だけのチェーン店も存在します。

その1つがサガミヤ書店。文房具と書籍・雑誌を扱う地域に根ざしたお店です。
そのうち広野店とデュオ店に訪問しましたが、どちらの店舗も清潔感があって回遊しやすい本屋だったのが印象的です。
さきほど紹介した文泉堂書店とはちがって、店内は明るくジャンルも一通り揃っていて品揃え豊富。

地方の本屋に行くときにチェックしておきたいのはやはり郷土に関する本です。特に、観光地や地域に歴史がある場所だと、郷土に関しての本が多く揃っているので見る価値があります。

サガミヤ書店は郷土に関しての本もきちんと扱っているので、静岡県伊東市に行くときはぜひチェックしてみて欲しいですね。

取次の効率的な物流はやはり偉大だ

取次が本屋に与える影響は非常に大きく、それは都心でも地方でも同じ。特に、今回の視察では辺鄙な場所にある本屋へ本を届ける取次の凄さを感じました。

日販、トーハン、大阪屋さらには自主廃業を決めた太洋社など、取次業者はなにかと批判の的になりがちです。
しかし、取次が機能しないことには本屋は成り立ちません。

それは地方の本屋には特に当てはまることで、非効率なルートであっても本を確実に届けてくれる物流機能があってこその地方書店なのです。

一般読者にはほとんど関知されない取次ですが、出版業界で仕事をする人はもっと取次の流通に目を向けるべきだと思います。
批判と賞賛を交えながら取次の在り方を常に監視することが、業界内の人間にできること・すべきことなのかもしれません。