わずか4%…図書館で電子書籍の貸し出しが増えない残念な理由

図書館を使えばお金がなくても本が読めますし、「買うほどじゃないかな」という本でも気軽に読むことができます。

意外と知られていませんが、図書館では電子書籍の貸し出しも行っています。

しかし、残念ながらほとんど普及していないのが実状です。なぜ図書館による電子書籍の貸し出しは広がらないのでしょうか?




導入率、わずか4%の現実

主に地方自治体が設けている公共図書館で、電子書籍の導入が進んでいない。東京都千代田区立図書館が国内で最初に閲覧サービスを始めてから今年で10年になるが、全国での導入率は4%にとどまるとの調査結果もある(日本経済新聞夕刊2017年7月3日)

まず現実問題として、電子書籍の貸し出しは全国の図書館で4%程度しか導入されていません。

そもそも電子書籍を図書館で借りられることを知らない人が大多数ですし、図書館自体がそこまで力を入れていないことも大きな要因となっています。

また、電子書籍の導入に必要となるコストも導入が進まない理由の1つです。

紙書籍よりも割高な費用のため、紙書籍のみで蔵書構成する場合よりも提供冊数は減少する。購入費のほかに、継続的なサーバ維持費が必要な場合があり、低迷する資料費がさらに圧迫される(「図書館に関する情報ポータル」より)

一見すると電子書籍のほうが紙の本よりも安く購入できると感じますが、実際には維持費が発生するためトータルコストが高くつきます。

そのため、「読まれるかわからない電子書籍にお金を使うより、紙の本を買って蔵書にしたほうがいいよね」と考える図書館が圧倒的に多いのが現状なのです。

少ない蔵書、使いづらいサイト

さきほど紹介した千代田区立図書館は、非常に使いやすく開かれた場所としても知られています。

以前、「快適すぎて住みたいレベル!千代田区立図書館は読書に勉強にパソコンも使えて超便利」の記事でも紹介しましたが、千代田区民じゃなくても利用登録して本を借りることができる素晴らしい図書館です。

しかし、電子書籍の貸し出しとなると話は別。理由は3つあります。

  • 1. 千代田区在住、在勤、在学の人しか使えない
  • 2. ウェブサイトが古くさい(使いづらい)
  • 3. 電子書籍の蔵書数が少ない

1. 千代田区在住、在勤、在学の人しか使えない

千代田区立図書館で紙の書籍を借りたり、自習スペースを使うには利用登録さえすればOKです。区外の人でも使うことができます。

しかし、電子書籍の貸し出しとなると話は別。公式サイトにも「(対象者は)千代田区に在住・在勤・在学(小学生以上、社会人大学院生を含む)で千代田区立図書館利用登録済みの方です」とあります。

つまり、図書館自体は開かれているのに、電子書籍となると一気に閉鎖的になってしまいます。

コストを考えると仕方ないのかもしれませんが、もっと公共性を持たせないと電子書籍を借りる人は増えないでしょう。

2. ウェブサイトが古くさい(使いづらい)

千代田区立図書館で電子書籍を借りる場合、千代田Web図書館というところから借りることになります。

閲覧してみて感じたのは、その古さ。「昔ながらのレンタルブログ?」と目を疑うようなデザインで運営されています。

千代田Web図書館の電子書籍【随時更新】

運営コストやリニューアル費用を考えると仕方ないのでしょうが、本当に電子書籍の貸し出しを増やす気があるならこのまま放置するのは避けるべきです。

デザインだけならいいのですが、スマホ表示未対応というのはかなりマズイ。スマホで「千代田区Web図書館」のサイトを表示しても、パソコンのレイアウトのまま表示されます(2017年7月4日現在)。スマホでご覧の方は、ぜひ開いてみて下さい。

正直なところ「千代田区立図書館でもこのレベルか…」とガッカリしました。

これでは電子書籍の貸し出しに興味を持った人がいても、サーッと興味を失うでしょう。

3. 電子書籍の蔵書数が少ない

公式サイトによれば、「コンテンツ数は約7,700タイトル(2016年2月現在)」とのこと。

そもそも、出版業界全体に占める電子書籍化の割合が少ないことを考えると仕方ないのですが「7,700タイトルのなかに自分の読みたい本があるだろうか?」と思わず考えてしまいます。

図書館の電子書籍貸し出しを増やすために

今回は千代田区立図書館を例にあげましたが、図書館だけに問題があるわけではないと思います。

そもそも出版業界全体がまだまだ電子書籍に本腰を入れていないですし、中小出版社の本はほとんど電子化されてないケースもあります。

そう考えると、まず必要なのは電子書籍を安く導入するためのインフラづくりではないでしょうか。さらに、図書館が電子書籍を低い費用で維持できるシステムも必要です。

まず出版社が安く電子書籍を提供できるインフラがあって、そのあとに電子図書館がついてくるというイメージでしょうか。

アメリカ国内の公共図書館のほとんどが電子書籍の閲覧サービスに対応しています。電子図書館の導入にはまだまだ時間がかかるでしょうが、導入が進むことに期待しましょう。