書店員は閲覧禁止!出版営業で役に立つ「5つの雑談術」

書店員の人に読まれると、今後の出版営業に支障を来たすかもしれません(笑)

営業に関するビジネス書は数多く存在しますが、私の知るかぎりでは出版営業について書かれた営業本は見たことがありません。

私が出版営業として書店をまわる中で感じた「この雑談をキッカケに担当者と仲良くなった」「これをやったら受注がたくさんとれたよ!」という営業トークをご紹介します。

出版営業にしか生かせないけど、出版営業の人が実践したら絶対に営業がしやすくなるエッセンスをギュッと凝縮。




会っていきなり本の案内をはじめる出版営業はたいてい嫌われる

これはどんな営業の仕事にも言えることですが、クライアントと会っていきなり本題を切り出す人は上手くいきません。

初対面の担当者はもちろんのこと、面識のある人にたいしても多少の雑談は必要です。

いわゆる「アイスブレイク」というやつです。
アイスブレイクとは、初対面の人同士が会ったときに緊張をほぐし、関係を円滑にする技術のことをいいます。

アイス=緊張
ブレイク=溶かす

と、こんな解説は必要ないかもしれませんが。
要するに初対面の冷たい関係を溶かすということです。

どんな人でも初対面の人にたいしては警戒心を持ちます。
初めてあった書店の担当者に警戒心を持たれたまま、自社の本を案内しても上手くつたわりません。

無理やり本を注文させられるのではないか…。

この人は本当に良い本、売れる本を案内してくれるだろうか…。

そんな精神状態で出版営業をすすめても上手くいくはずはありません。
だから、どんな些細なことでもいいので多少の雑談が効果的なのです。

ちょっとした会話から、その人の印象を見ることができます。
そこで共通の話題が見つかろうものなら、話は早いですよね。

雑談が大切だっていうけど、一体なにを話せばいいのよ?

雑談の重要性はなんとなくおわかりいただけましたでしょうか。

さて、問題は「雑談とはいっても何の話をすればいいの?」ということ。

ビジネス書でも会話術や雑談に関するものはたくさん出ています。
それらの本は非常に勉強になりますが、そうした本と同じこと書いていても意味がありません。

なんといっても、このサイトは出版業界ではたらく人にフォーカスしていますので。

ということで、最初に述べたようにかなりニッチで出版業界以外ではまったく役に立たない!
でも知っていると、出版営業がやりやすくなる!

そんな、「営業のときに使える雑談術」を5つに分けて紹介したいと思います。

1、天気の話をしてお客さんの入りを聞いてみる

これは超初歩的な方法ですが、やはり天気の話は万能です。

あまりのも使い古された方法ですが、名刺交換をしていきなり本の提案を始めるよりはよっぽどマシです。

かくいう私も、なにも雑談が浮かばないときは天気の話に逃げます。

しかし、天気の話だけで終わらせてはさすがに気まずい雰囲気が流れます。

「今日は暑いですねー」

「はあ、そうですねー」

このあとの沈黙は相当きついです(笑)

なので、天気のあとに必ず付け加えたいのが「お客さんの入り具合」です。
書店は天候によってかなりお客さんの数が左右されます。
雨の日は特に客足は遠くなります。

雨の日であれば「今日は雨ですけど、お客さんの入り具合はどうですか?」
そこから、平日と休日の客足を聞いて、客層を聞いてみるというのが王道パターンです。

そして、1番の理想は天気の話から始まって、季節の話題にシフト。
そこからその季節ごとに動く本の話につなげることができればスムーズに営業トークをはじめることができます。

2、お店のブックカバーについて聞いてみる

これは先日、わたしが実践してみて盛り上がった方法です。

レジの近くで担当者の人と話をしていたのですが、その人がレジに入って戻ってきたときにこう聞いてみたのです。

「こちらのお店のブックカバー、かわいいですよね」

そうすると、その担当者の人はお店のブックカバーについて簡単に説明をしてくれました。
そこから、どこのチェーンのブックカバーはオシャレだとか、地方の〇〇書店のブックカバーはかなり変わってますよ、なんて会話につながりました。

本屋のブックカバーについては本屋さんのオシャレなブックカバーをランキングにしたコチラの記事をごらんください。

大手の書店チェーンの場合は、シンプルなものが多いので少し難しいかもしれません。
でも、ブックカバーという書店特有の話題は盛り上がる可能性は高いといえます。

3、書店の店頭で大きく展開している本の話題を出してみる

書店に入って、担当者に挨拶するまえにわたしは書店をぐるっとまわってみます。
それは会話のネタを見つけるため。

何もいい話題が浮かばない時は、店頭で大きく展開している本のことについて話してみます。

そうすると、

「いやー、正直なところ本部から入っただけなんです」

「すごい売れてますよ。ウチの店はああいうジャンルがよく動くんです」

なんていう、貴重な情報を入手することができたりします。

以前、わたしが担当する書店で、ある「ゆるキャラ」の本を大々的に展開していました。
その話題を雑談の中で出したところ、ゆるキャラの話でかなり盛り上がり、営業がかなりやりやすくなったのを覚えています。

4、棚のつくりを見て、在庫をどれくらい持てるのか聞いてみる

書店の中を見渡してみて、そこで目に入ったものを話題に出してみるのはとても簡単でオススメです。

特に、棚のつくりを見て「その店がどれくらいの在庫を持てるのか」を聞いてみてください。

書店の棚には大きく分けて2つあります。

1つは平積みができて、棚の下に引き出しがあるタイプ。
もう1つは全面が棚になっていて平積みのない、いわゆる「ジュンク棚」。

(「ん?ジュンク棚?」って方は「なぜ人はジュンク堂書店に集まるのか」をご参照ください)

私は以前、2年間ほど「ジュンク棚」のお店で書店員をやっていたのですが、はっきり言ってジュンク棚は在庫を持てないので大変です。

その経験もあるので、ジュンク棚のお店に行ったときは自分の経験を話しつつ、ジュンク棚の大変さを共通の話題に出しています。

多くの場合、「たしかに!在庫が持てないので大変なんですよね」なんていう感じで盛り上がります。

そこから、その書店がどれくらいの在庫を持てるのかを何となく把握できるので、書店の立場に寄り添った営業を行うことができるのです。

5、担当者の人が好きな本を聞いてみる

書店員である以上、よほどの人でないかぎり本が好きなはずです。

初対面でいきなり「好きな本は何ですか?」と聞くのはなかなか難しいですが、わたしはある程度盛り上がったところでさりげなく「◯◯さんは普段、どんな本を読まれるんですか?」と聞くようにしています。

そこで盛り上がったら、思い切ってその場でオススメの本を買って帰ります。

毎回これをやっていては予算的に大変ですが、特に懇意になりたい書店員の人がいた場合は効果があると思います。
次にお店に行ったときには、本の感想を話すところから始められるという自然な流れがあるので、営業がしやすくなります。

雑談は必ず、本題の前にすることが大事

こうした雑談をする上で、1つ大切なことがあります。
それは「必ず最初に雑談をすること」です。

担当者に会ってすぐに本題を切り出してしまっては、なかなか注文数は伸びません。

最後のほうに、共通の話題や雑談で盛り上がっても、すでに注文書には注文冊数が記入されてしまっています。

以前、私にもこうしたケースがありました。

去り際にその担当者の人に「注文数少なくてゴメンね」と言われたのです。
最初に雑談できちんと盛り上がっていれば、もっと受注がもらえたかもしれないと思うと悔しい気持ちになりました。

もちろん、書店の担当者の人とは長い付き合いになることが多いので、最後に盛り上がることも大切です。
ただ、注文数だけに目を向ければ、最初に盛り上がったほうが確実に効果はあります。

あとがき

ここまで、出版営業に役立つ5つの雑談術を紹介しました。いかがでしたか。

こうした雑談をすることで注文数を増やせるという効果があります。
しかし、本当に大切なのは注文数ではありません。

大切なのは雑談をキッカケにして仕事を楽しくすること。
これはキレイごとではなく、けっこう本気です。

同じ出版業界に生きる書店員と出版営業が同じベクトルを向いて話ができれば、こんなに楽しいことはありません。

本が好きなもの同士、仕事を忘れて本の話で盛り上がりたい。

そのためにも、出版営業の人はぜひ雑談術を身につけていきましょう。

けっこう具体例をあげて書いてしまったのですが、書店員の人が読んでいないことを心から祈っております(笑)
「うわ、こいつ本当に実践してるよ」と思われるのは痛恨の極みですし、雑談なんて時間のムダと思う書店員の人も多いはずなので。