出版営業の私が書店から大量の返品を食らって学んだ大切なこと

出版業界っていろんなチャンレンジができるところだよなー。と今日あらためて思いました。

書店員、出版営業のみなさんにとって、1番のやりがいは何ですか?
わたしにとってのやりがいはズバリ、「書店の店頭で大きな仕掛けを勝ち取る」。これに尽きます。

「なんだい、あんたも所詮、人の子のかい」

そうなんです。実は普通の家庭で育ったんです。

書店での大きな仕掛けとはつまり、お店の一等地で100冊・200冊単位で大きく本を並べてもらうこと。
注文書に「100」「200」という数字が書店員によって書き込まれる瞬間は、何度味わっても爽快なものです。

もちろん、これは単純に大きな受注ができた喜びもありますが、その書店員さんとの関係性がきちんと出来ているからこその結果でもあります。
ですから、数だけではない、意味の深い経験となります。




書店で大展開をゲット!で、実売は?

さて、大展開の恍惚をここまで書いてきましたが、そんなことよりもっと肝心なことがあります。
それはなんだと思いますか?

そうなんです、実売なんです。

先にもあげたように、100冊・200冊での展開は書店でかなり目立ちます。お客さんの目に否応なく入ります。
ですから、どんな本であってもある程度の実売は伴うはずなんです。

ところが、です。
これだけ大展開をしても、動かない。おかしい。おいどうしたパブライン!Win!トーネッツ!

そうです、これだけの大展開をした後に出版社の営業が最も恐れるのが「実売が伴わないこと」です。

必死の思いで書店員を口説き落とす。ようやく手にした大展開。ああ、あの時は良かった。もう一度あの瞬間に戻って自分にこう言ってやりたい。

「思いなおせ!その口説き方は間違ってる!」

しかし、もうどうしようもないのです。うむ、書店員さんに合わせる顔がない。
こんなときばかりは出版業界の再販制度に感謝するばかりなのです…。

まずは売り場のケア。そして大展開の失敗を生かすこと

結局、100冊入れて30冊しか売れなかった。なんてことはよくあることです。
30冊だけを見れば売れたような感じもしますが、これでは消化率が30%と散々です。

こういう失敗はハッキリいって、痛いです。
出版社・取次・書店それぞれにとってメリットは1つもありません。ただただ、返品が増えるだけ。

まず出版社の営業がとるべき行動は、拡材などで売り伸ばしができないか試行錯誤すること。

しかし、これだけの大展開をしているのに売れないということは?という視点でこの失敗を考えると、話は変わってきます。

要するに、これだけ大きな展開をしているのに売れないということは、その本がよほどヒドいか、あるいはその書店の客層に合っていない可能性が大です。

これはもう、動かない事実。この大々的な失敗を次に生かさない手はありません。

ここまで明らかな失敗の過去があれば、担当の書店員さんとのコンセンサスは充分にとれているはず。
次回からの提案では、売れない本を大胆にハズすことができます。

この本が売れなかったということは、こっちの本なら売れるのではないか?
つまり、その書店で売れる本の傾向がよりハッキリと見えてくるのです。

何事もとらえかた1つで別の世界が見いだせる

皆さんは、こんな言葉を知っていますか?

ものごとを裏表の両方から見ることができれば、世界から戦争はなくなる

これは、近所に住むオバさんの言葉です。

失敗は成功のもと。今までイヤというほどこの言葉を聞かされてきましたが、やはりこれは真理なんだと思います。
この失敗からそれはもう、痛いほど感じることができます。

さ、グラゼニ読んで明日からも出版営業がんばります。

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