蔵書が限界!本が満杯で収まりきらない図書館の悲鳴

本が好きな人にとって、「本で溢れかえった場所」は至極の空間ではないでしょうか。

そんな場所の代名詞でもある図書館が、いま危機に瀕しているようです。
その理由は「本がこれ以上入りきらない」という切実なもの。

図書館が抱える問題から、出版業界が抱える構造的な問題点について考えてみましょう。




想定を超える蔵書に悲鳴をあげる図書館

図書館の悩みは、十勝毎日新聞社のニュース「本、本、本…もう満杯 十勝の図書館“危機”間近」で記事になっています。

「あと4~5年で満杯になる見通し。何か見直しを考えないと」。管内図書館で最も規模が大きい帯広市図書館。想定上の収蔵能力は開架・閉架図書合わせて約50万冊だが、所蔵冊数は50万6000冊(2015年3月末現在)とそれを上回る。同じ種類で数冊ある本などは、年1回のリサイクル市で市民に無料提供するなど「除籍」に努めているが、それでも年間約1万2000冊のペースで増え続けているという

ふだん利用している人にとって、図書館の管理というのはなかなか見えてこないものです。
しかし、図書館の人たちは「どの本を蔵書として置き、どの本を蔵書から外すか」で頭を悩ませています。

記事の中には「いかに貸し出しを増やすか」という点についてもふれられています。

現時点で“打開策”の1つは、いかに多くの本を借りてもらうか。各図書館はその地域ならではの資料充実や工夫で、魅力ある図書館づくりに努める。

 例えば、サンタの町で知られる広尾町は、サンタクロースやクリスマスに関係する本を多くそろえる。他にも、鹿追町はジオパーク関連、清水町は酪農や「第九の町」としての関連資料を重点的に所蔵。帯広では図書館に来られない人のために、移動図書館バス「なうまん号」の運行や、各コミセンや福祉施設への一括貸し出しで利用増を図る。

貸し出すことでスペースをつくり、蔵書を保ち続ける。
なんともギリギリの綱渡りといった感じですが、確かに言われてみれば貸し出せば場所が空くというのは当然の原理です。

そもそも出版業界の新刊点数に問題がある

図書館の蔵書数が増え続ける最大の原因は「新刊点数の多さ」に他なりません。

サイト内でもたびたび取り上げていますが、日本の出版業界では1日に200点、年間でいうと7〜8万点もの新刊が発売されています。

これだけ新刊を乱発していれば、図書館の蔵書が追いつかないのは当然です。

では新刊を減らせばいいのか?そう問われると一概には言えない部分もあります。

新刊が多いというのは、読者にとっては「新しい作品に触れる機会が増える」ことでもあるからです。

一方で書店としては新刊の乱発は迷惑でしかない、という意見もあります。
せっかく棚をつくったのに、次から次へと新刊が出てきたのではたまったものではないからです。

わたしが書店員をしていたころは毎日の新刊が楽しみではあったのですが、さすがに1日30点とかがドサッと来ると辟易しました。

出版社の営業担当も新刊があまりにも多いので自社の本について把握しきれません。
本当は売れたはずの本であっても、営業の力が及ばずに死んでいくこともあるのです。

出版社としては返品ができるから、新刊をどんどん発売して資金繰りをする。
この悪循環から抜け出すことは容易ではありません。

こういった出版業界の構造が変わらない限り、図書館の蔵書問題は永遠に解決しないのではないでしょうか。