本のスリップが最後のページに挟まっていると購買率が下がる理由

本屋に行くと、整然と並んだ本の美しさにウットリさせられることがあります。

書店員の人が心を込めて、時間をかけてつくった棚は、パッと見た雰囲気だけで伝わってくるものです。

意図もなく雑然と本が並んでいる本屋の雰囲気や空気感って、どこかゴチャゴチャしていて良い印象を受けません。

だから、やっぱり本を丁寧に扱って、なおかつ意図を持って思いを込めて本を並べることって大切なんだと思います。

それは、入荷してきた本をどのように扱うかにも大きく表れます。その1つの例が「本のスリップ」です。短冊ともいいますね。

本のスリップが果たす役割はいくつもありますが、新刊として販売されている本にはほぼ100%スリップが挟まっています。

コンピュータで在庫管理をするのが当たり前になった時代において、このスリップの必要性は失われつつあるんですが、いまだにスリップで在庫管理をしているお店があったりして、そういうのは個人的に大好きです。

スリップは書店員の味方になることもありますが、けっこう迷惑な存在だったりもします。そして、それはお客さんにとっても同様です。

立ち読みをしたことがある人なら、こんな経験があると思います。

「っんだよ、これ、邪魔クセェな」

せっかく気分良く立ち読みをしていたのに、本の真ん中にスリップがあるせいでページをめくれない現象。けっこうイライラしますよね。

ここでは、これを「スリップ妨害」と呼ぶことにしましょう。

スリップ妨害が起こると、立ち読みをしている人はどんな行動に出るでしょうか?

  • ・スリップを取って、適当なページに挟む
  • ・最後のページへスリップをキレイに移動させる
  • ・その場にスリップを捨てる
  • ・他の本に混入させる

みなさんにもスリップを取って、他の適当なページに移した経験ありませんか?これは立ち読み時の常套手段といえるかもしれません。

なかには、挟まっているスリップを最後のページにキレイに移す人もいます。これは、かなり律儀なお客さんです。

最悪なのは最後の2つ。たまに本屋のフロアにスリップが落ちていることがありますが、あれは非常に良くない。偶然落ちたにせよ、意図的に床に捨てたにせよ許されることではありません。

このように、スリップ妨害によって人はさまざまな行動に出て無意識のうちに快適な立ち読みを継続させようとします。

さて、ここでわたしが注目したいのは2つ目の「最後のページへスリップをキレイに移動させる」という行動です。

一見すると、見た目もキレイで悪くないように思えますが、わたしはこういう本を買う気になれません。最後のページにスリップが移っている本に対する購買欲が激減するのです。

なぜか?理由はかんたんで、誰かがすでに本を開いて読んだという厳然たる証拠がそこにあるからです。

わたしは潔癖というわけではないのですが、なるべく誰の手にも触れられていない本を買いたいと考えている人間です。

そんな人間にとって、スリップが最後のページに移っている本というのは、どうも購買欲が起きないんです。スリップがページの間に挟まっていたりする本は当然NGです。

書店員さんのなかには、入荷してきた本を1冊1冊開いて律儀にスリップを最後のページに移動させる人もいます。

スリップが整えられた本の並ぶ書棚の景観は美しいですし、なによりお客さんがスリップ妨害に直面することもないので棚がキレイに維持できます。

しかし、です。わたしのように「誰の手にも開かれていない綺麗な本を買い求めたい」という願望を持っている人にとって、スリップの移動はマイナスでしかありません。

なんと言うのでしょうか、”完全なる未使用感”というものに惹かれるのかもしれません。

無論、少数派でしょうが、むしろスリップ妨害に遭うのを楽しむ人間がここにいることも事実なのです。わたしはスリップが真ん中にキレイに収まっている状態の本が好きだなぁ。