図書館の暴挙?新刊本の貸し出しで出版社の悲鳴が止まらない

図書館が出版社や書店の犠牲の上に成り立っているとしたら…。

図書館はみんなが等しく本を読める場所です。
誰もが利用できて、ニコニコしながら、気分よく本が読める場所ですよね。

しかし、そんな図書館もやり過ぎてしまうことがあります。
それはズバリ「人気の新刊本をたくさん貸し出してしまうこと」です。

出版社や書店、さらには著者が反発する理由と今後の対策は?




『火花』の貸し出し予約が3500件という衝撃

ベストセラーが出てくるのは嬉しい限りですが、そこには必ず図書館と出版社の軋轢が生まれます。

出版社としては売れる本はとことん伸ばしたい。
一方の図書館は貸し出しが伸ばせる本はどんどん貸したい。

こうした思惑が交錯するわけですね。

結果的にどうなるかといえば、図書館がベストセラーをどっさり購入して貸し出すことで出版社の売り上げが減少するわけです。

大阪市立の図書館ではピース又吉さんのベストセラー『火花』が3500件を超える貸し出し予約が発生しています(日本経済新聞、2015年12月7日時点)。

仮に、3500人が貸し出しまで律儀に待機した場合、3500冊分の売り上げが失われることになります。

追加購入によって待ち時間を軽減しようとしたものの、依然として予約件数は増えている状況。
図書館の担当者によれば「手元に届くのは約2年後」とのことで、貸し出しの人気ぶりがうかがえます。

まずは書店で売ってから図書館で貸し出すべき

図書館としても貸し出しを増やしたいというのがホンネですが、過去には人気小説を大量購入して貸し出したという事例もあります。
批判を浴びたことによって、図書館が1つの作品を大量購入することは少なくなりました。

しかし、図書館にはもう1つ、貸し出し本が増える要因があります。
それが「一般市民からの寄贈」です。

図書館がタダで手に入れた本を、タダで貸し出す。
この寄贈によって出版社と書店の売り上げに悪影響を及ぼします。

こうした状況を踏まえて、新潮社は「まずは書店の売り上げが伸びるように見守りたい」という立場を表明しています。

また、著者にとっても図書館ばかりで本が読まれては困ることがあります。
印税、つまり収入が確保できないことです。

せっかく売れる本を出しても、貸し出しばかりが増えて本が売れないようでは著者も生活ができなくなります。

それはつまり、長い目で見た時に著者が駆逐されてしまうことにもつながるのです。
引いては出版産業の衰退にもつながる恐れがあります。

公共性とビジネスのバランスを保つこと

一見すると「図書館 vs 出版社」という構図に見えがちですが、それだけで片付けてはいけません。

なぜなら、図書館には誰にでも等しく本が読める機会を提供するという役目があるからです。

出版社は「お金を出してでも読みたい本」をつくること。
図書館は市民の意見、貸し出しの統計などをもとに購入冊数のバランスを保つことが大切です。

「ベストセラーの新刊貸し出しは禁止」と一律に決めるのではなく、出版社と図書館が協働して読書の普及にあたる必要があるでしょう。