集客効果はいかに?「年末年始本屋さんに行こう!キャンペーン」の是非

出典:honya-go.com

クリスマスも終わり、世の中は一気に年末・お正月ムードですね。

今年は、上野動物園でのシャンシャン誕生や藤井四段の快進撃といったおめでたいニュースがありました。

一方、出版業界は暗いニュースが続くばかり。売り上げを支えていた雑誌やコミックスも、売上減少に歯止めがかかりません。

出版科学研究所によると2017年1〜10月までの「雑誌」の累計推定販売金額は前年同期比9.9%減。

コミックス、特に単行本コミックスは前年同月比で15%以上減少する月もあり、10月には同20%強も減少した書店があるなど危機的な状況です。

そんな中、日本雑誌協会と日本出版取次協会は、今年の「年末年始本屋さんに行こう!キャンペーン」をコミック出版社の会と連携して開催します。

キャンペーンの内容と、その効果やデメリットについて考えてみましょう。




年末年始に集客することが最大の目的

「年末年始本屋さんに行こう!キャンペーン」は昨年初めて行われたキャンペーンで、今回は出版社15社が加盟する「コミック出版社の会」との共催となります。

12月29日と翌年1月4日の2日間を「特別発売日」に設定し、雑誌・ムック・コミックスなどの新刊を発売します。

その結果として、年末年始の書店への来客を増やし、売上をのばすことが目的です。

キャンペーン期間は12月29日から来年1月8日までとなっています。

お年玉として「キャラクターしおり」がもらえる

「雑誌・コミックスを買ってお年玉をもらおう」をうたい文句に、店舗で雑誌・コミックスを買うことで『キャラクターしおり』がもらえます。

また、先着でシリアルコード付きのしおりもあり、コード1つにつき抽選であたる、もしくは必ずもらえるプレゼントに応募可能です。

Twitterキャンペーンとも連動

このキャンペーンはSNS(ツイッター)を活用した集客にも力を入れています。

日本雑誌協会の公式アカウントをフォローし、「#年末年始本屋さんに行こう」をつけて投稿するだけで抽選に申し込むことが可能です。

抽選でもらえるプレゼントは以下のとおり。

  • A賞 図書カード10万円 1名
  • B賞 図書カード1万円 26名
  • C賞 カレー1年分(毎日) 1名
  • D賞 カレー1年分(毎週) 6名

売り上げ前年比1.5%増という結果

新文化によると、昨年の特別販売日当日の雑誌売上げ伸長率(POS店約4000店平均)は、前年同日比で17.3%増。

また、12月29日から1月4日の1週間でみると前年比1.5%増という結果でした。

しかし、昨年は特別販売日が12月31日の1日だけだったため、1月4日以降の販売は落ち込んでしまいました。

それを踏まえて、今年の特別販売日は2日間となっているようです。

昨年が初めての開催だったため、今回のキャンペーンの成果を前年比ベースで見る場合には注意が必要でしょう。

年末年始に本屋に来てもらうことの効果とは?

雑誌に再帰してもらえる可能性がある

この雑誌が売れない時代に、短期間でも雑誌販売が伸びることはメリットでしょう。

また、一度雑誌を買うことで、固定のファンになってくれる可能性もあります。

いつも書店へ行かない人や雑誌や漫画を紙では買わない人でも、特典に魅力を感じて書店へ足を運ぶことが考えられます。

期間限定に弱い人間心理

私も限定のお菓子などをついつい買ってしまいますが、人間の心理として”期間限定”という響きはつい手が出てしまいます。

また、お正月は、世の中がSALEムードでお財布の紐も緩みやすいですし、購買意欲向上による売り上げアップに期待できるでしょう。

小さなお子さんを連れた親子の場合には、親が「本ならいいか」と、つい子どものためについで買いをしてしまうこともありそうです。

Twitterを活用することでキャンペーンの存在がひろまり、結果としてあたらしい来店客が増えることも十分考えられます。

本当に費用対効果があるのかは慎重に考えるべき

良いことづくめに思わえるキャンペーンですが、費用対効果についてしっかり測定する必要があります。

人件費をはじめとした運営費をペイできるのか

まずは、キャンペーンの運営にかかるコスト、さらには書店や取次の人件費について考えるべきです。

売上げ減少などから、ただでさえ上がっている輸送コストは一体いくらかかっているのか。

また、書店のなかには1月1〜2日のアルバイト時給を割増にするお店もあります。

同じように割増があると考えると、昨年とまったく同じ売上げだとして、果たしてもろもろのコストはまかないきれるのでしょうか。

一過性の売り上げにコストをかけすぎてはいないか

このキャンペーンの、より大きな目的は「お客さんが紙の本を書店で継続して買ってくれるようにする」ことです。

キャンペーンを行えば、一時的に本を買ってくれるかもしれません。しかし、その一過性の売上げにコストがかかりすぎるということも考えられます。

Twitterは書店に無関心な人も集めてしまう

Twitterキャンペーンについては、まったく本は買わない、本屋にも行かないという人が抽選に当たる可能性も捨てきれません。

キャンペーン期間すら来店しない人が、当たったことをきっかけに書店を訪れるでしょうか。

転売されてしまい、あたらしい来店客の確保という目的が果たされない可能性もあります。

年末年始の集客だけで満足してはいけない

個人的には、キャンペーン期間中に本屋には行かないと思います。そもそも、ふだんから書店に通っている身としては、わざわざ混んでいるときに行く理由がないからです。

また、図書カードは嬉しいですが、宝くじと同じように「どうせ当たらないだろう」と思いが先行するので、応募はしないでしょう。

しかし、まだ2年目のあたらしいキャンペーンですので、短期間の成果だけで評価するのは時期尚早なのも事実。

まだまだトライ・アンド・エラーの時期でしょう。実際、昨年の反省をいかし、今年から特別販売日を増やしていたりと進化していることは評価されるべきです。

これからの時代を考えれば、SNSを活用した集客ノウハウを培うことは大切だと思います。

まずは書店を盛り上げようという雰囲気づくりが大切です。

今回の施策を一過性の効果だけで良しとするのではなく、継続して集客することにつなげなければ意味がありません。

そして「なんか、最近の本屋っておもしろいみたいだよ」という口コミを広げることができれば、本屋へのイメージは変わるでしょう。