日販による雑誌の値引きが本格化?書店が80誌136点を100円引きで販売開始

雑誌の売り上げ低迷が出版業界に与える影響は大きく、その売上規模はついに書籍を下回ってしまいました。

大型書店よりも、特に中小の書店は雑誌の占める売り上げ割合が非常に大きいので深刻な事態となっています。

それだけ雑誌が読まれなくなっているわけですが、書店にとって雑誌は大きな商材であることに変わりはありません。

雑誌の返品率を低くし、もっと実売数を上げるための施策を日販が書店と雑協の協力を得て本格的にスタートさせます。
それが「雑誌夏トクキャンペーン」です。

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日販の本格的な雑誌値引きのスタートとなるか

今回の日販によるキャンペーンの概要は以下のとおりです。

 7月1日以降に発売し、時限再販指定された80誌・136点を対象に、8月1日から書店で値引き販売ができるようにする。価格設定権は書店に移るが、日販では100円引きを推奨している。今回参加する出版社では、書店の割引原資として1冊当たり100円の報奨金を用意する。参加書店は350店(40法人)になる見通し(新文化 7/21号より)

期間は8月1日〜9月30日まで。
いままで日販が雑誌を時限再販で販売したことはありましたが、それに比べると今回のキャンペーンはかなり本格的なものです。

以前、小学館が一部の雑誌を時限再販で100円値引きしたことが大きな話題になりました。

いつもより雑誌が安く買えるわけなので、お客さんは飛びついて当然とも言えるのですが、実売は2〜4倍に増えています。

有隣堂など4法人101店舗となっていた小学館の施策ですが、今回の日販による雑誌の値引き販売は350店(40法人)と大幅に拡大しています。
参加する出版社は34社にのぼり、講談社や小学館、その他中堅出版社が名を連ねます。

ちなみに、割引販売が可能になるのは以下の要件を満たした雑誌です。

7月1日〜15日発売された雑誌は8月1日から割引販売が可能になる。以下、同様に7月16日〜31日発売分は8月16日から、同1〜15日発売分は9月1日から、8月16日〜31日発売分は9月16日から時限再販フェアの対象となる(同上)

雑誌発売日当日から値引き販売をするのではなく、一定期間が経過した銘柄のみを対象としています。

これは、言ってみれば在庫解消を狙った施策ともいえ、書店の返品率を減少させることに一定の効果が期待できます。

あくまでも”劇薬”としての値引き販売にすぎない

以前の記事「書店の実売が大幅アップ!小学館が雑誌を100円値引きで販売するワケ」でも書きましたが、個人的には雑誌の値引き販売(時限再販)は、あくまでも一時的なキャンペーンとして行うべき性格の施策だと思います。

そもそも、雑誌が安く買えることが事前にわかっている状況で、通常価格での購入をためらう人が出てくることは十分に予想されます。
また、安くなったら買おうと思っていたお客さんが値引き期間にもう一度書店を訪れてくれるとは限りません。

もちろん、さきほど説明したように小学館が行った時限再販が一定の成果を上げているのは事実です。
加えて、日販のWebサイトには、以下のような記述もあります。

日販では今期、時限再販による雑誌8誌の値引き販売を全国700書店で実施し、該当誌の販売部数を大きく伸ばすことができました。その実績を受け、今回は出版社34社ならびに日本雑誌協会との連携の元、対象雑誌を大幅に拡大して、夏の時限再販フェアとして「雑誌夏トクキャンペーン」を実施します

こうした効果的な施策は、雑誌が売れない時代に大いに歓迎です。
でも、この値引き販売が当たり前になったときに、再び雑誌の売り上げは落ちるのではないかと思っています。

なぜなら、値引き価格で買えることが当然になってしまうと、単価ダウンによる利益率の低下は避けられないからです。

雑誌の時限再販はあくまでも瞬間的なキャンペーンだからこそ有効なのであって、これを毎月のように、いわば”制度”として採用するのはむずかしいでしょう。

もはや、本当に時限再販に頼るしか残された手段はないのか?
値引きすれば売れて当然です。値引き販売によらない雑誌の売り方を、最後まであきらめない姿勢は取り続けるべきだと思います。

【追記 7/29】
二大取次のもう一つの担い手であるトーハンも、雑誌の時限再販を行います。
展開する書店数は日販に比べてやや少ないですが、期間や取り組み内容はほぼ同じです。

発売から一定期間を経た雑誌を書店が自由に値付けできる「時限再販」制度を8月1日~9月30日に実施すると25日、発表した。集英社や講談社など24社の雑誌56誌が対象で、全国約240書店で実施する。書店は発売から半月~1カ月たった雑誌について、値引き販売したりポイント還元したりできる。割引により売れ残りや返品を減らす(日経新聞「トーハンも時限再販」より)