出版社がWebメディアを立ち上げて新しい収益源を手にする方法

出版業界の縮小傾向を考えると、あたらしい収益の柱が必要になってきます。Webサイトの活用を一言で表すと「自社サイトのメディア化」です。

事実、多くの出版社がWebを活用したマネタイズを行い、あたらしい収益源を確保しています。

Webを活用して新たな収益源を確保することで、紙媒体の売り上げ減少を補填するだけでなく、自社の広告宣伝費用を大きく削減することにもつながります。

そして、他の出版社がやっていない分野に早い段階から着手をすることで先行者利益を得ることも可能です。

今回は出版社がWeb(インターネット)を活用してあたらしい収益源をつくるための指針をご紹介します。




自社メディアを持つと、どんなメリットがあるのか?

まず、出版社がインターネットを活用することのメリットについて簡単にふれておきましょう。

メリットは大きく分けて3つあります。

  • ・横一線のライバル他社から一歩抜け出し、差別化を図る
  • ・自社メディアでPR、販売するためのチャネルが増える
  • ・販売物や広告などから新しい収益を得ることができる

横一線のライバル他社から一歩抜け出し、差別化を図る

少しずつインターネットを活用した展開が増えてきたとはいえ、中小の出版社においてはまだまだ弱いのが実状です。

紙の本だけをコツコツすることに比べると、当然ながら人的資源をはじめとするリソースは割かれます。

しかし、古い体質のまま出版を続けているのでは、他の会社との差別化は図れません。

今後ますます本の売り上げが落ちていくことを考えると、先手を打つことは非常に重要です。

自社メディアでPR、販売するためのチャネルが増える

インターネットを使った展開をすることで、紙媒体とは比べ物にならないほど多くの消費者にリーチすることができます。

それも、すでに自社の本に興味を持っている層だけではなく、潜在的な読者にもアピールできるのがWeb展開のメリットです。

自社メディアを持てば、紙の本や雑誌のPRにも使えますし、そこで販売することも可能です。

販売物や広告などから新しい収益を得ることができる

自社でメディアを持つと、そこで出版物を販売することはもちろん、PV(ページビュー)を増やせば広告収入によるメリットも受けられます。

もちろん、そこに到達するまでにはSEO対策やSNSの上手な活用が求められますが、将来的に発生する利益を考えれば先行投資するメリットは十分にあるでしょう。

Webの活用は大きく分けて3つの柱で成り立っている

Webといっても、そのカタチはさまざまです。質の良し悪しはあれど、多くの出版社が自社のホームページをすでに持っています。

ここで紹介するのは、自社サイトを含めた多角的な活用です。

  • 1、自社サイトの品質を上げ、競争力を高める
  • 2、SNSを活用。紙の本・電子書籍ともに販売促進
  • 3、オリジナル記事を配信し販売物や広告から収益を得る

出版社とひとくちにいっても、そのジャンルはさまざまです。小学館や講談社のようにあらゆるジャンルを武器に持つ出版社もあれば、みすず書房のように人文書に特化した読書好きに好かれる専門出版社もあります。

いずれにしても、「紙媒体依存からの脱却」を図るには、最終的に3番に到達する必要があります。

ここでは、Webメディア展開で大きな成功を収めている東洋経済新報社の「東洋経済オンライン」のビジネスモデルを参考にし、自社メディアを持つために取り組むべきこと、そして課題点を取り上げます。

1、自社サイトのリニューアル

  • ・ホームページを刷新。新刊や既刊のジャンル構成を分かりやすくする
  • ・自社サイトからの本の販売を伸ばすために、購買につながるデザインに見直す
  • ・利用者のサイト滞在時間を長くさせて、広告収入や販売を伸ばす
  • ・商品だけでなく、記事を読んでもらえる「メディア」としての価値を提供

大前提として、数多あるWebサイトのなかに埋もれないためにもデザインや見やすさは重要です。

そのうえで、利用者が商品を買いたくなるような見せ方、そして広告に興味を持たせる動線などを考えていく必要があります。

2、SNSを活用して情報を拡散させる

出版社にかぎらず、いまやあらゆる企業がSNSを使って宣伝活動をしています。

しかし、残念ながらその多くは埋没しているのが現状です。それもそのはずで、多くの出版社は自社コンテンツのPRだけで終始しているからです。

誰でも宣伝は嫌います。ですから、宣伝だけではなく「シェアしたくなる何か」が必要不可欠になります。それはズバリ、自社のWebコンテンツ(具体的には記事)です。

新刊に絡んだテーマの記事でも良いでしょうし、女性誌がやっているような美容系の記事も参考になります。

読んだ人の役に立つ、シェアしたくなるコンテンツを紙媒体とは別に作る必要があるのです。

3、オリジナル記事の配信

自社ホームページを作って、新刊情報をSNSだけで拡散するのでは効果が見込めないのはここまで説明したとおりです。

必要なのは、自社のWebコンテンツ。紙媒体とは別の、インターネット集客(PV)が見込めるコンテンツのことをいいます。

  • ・本の内容に絡めた、興味を引くオリジナル記事を作成
  • ・広告と絡めた役に立つコンテンツを意識(ネイティブアド等)

Webメディアでどのように収益を生ませるか

重要なのは読む人の役に立つコンテンツです。それをつくり、広げ、さらに収益を得るためのステップは以下のとおりです。

  • 1.本の紹介とネット販売を絡めた記事を配信する
  • 2.検索エンジンとSNSから集客
  • 3.PVを増やして広告や販売物から収益を得る

それ以外にも、特定の企業とタイアップをして、広告枠を販売したり、記事広告を作成するという方法もあります。

さらに、月額など有料課金型であれば定期購読者から購読料を得ることができるので、出版社としての資金が安定的に確保できるでしょう。

出版社のWebメディアにおける課題と問題点

もちろん、出版社がインターネットを活用して事業の幅を広げるのは簡単ではありません。

事業を立ち上げるまえに、費用対効果、そしてなにより経営資源をどれだけ割けるのかを十分に分析する必要があります。

  • ・自社サイトの作成に費用がかかる
  • ・Webに関する知識やノウハウが少ない
  • ・コンテンツ(記事)を誰が書くか、誰に依頼するか
  • ・収益化するまでに時間がかかる
  • ・人員をどうするか
  • ・無料でオープンにするか、有料購読にするか
  • (完全オープン型、一部無料型など選択肢は複数ある)
  • ・ターゲットをきちんと設定して、収益が上がるか測定が必要
  • ・広告主の選定をどのようにするか
  • (広告出稿を誤ると自社のイメージダウンにつながる恐れ)

正直なところ、出版社がWebメディアを立ち上げるのは資金的にも人的にもハードルが高いことは事実でしょう。

しかし、多くのコンテンツという財産を持っている出版社がWebを活用しないのはどう考えても機会損失です。

まだまだWebへ一歩を踏み出せない出版社が多いのが実状ですから、なるべく早くスタートさせたほうが確実に先行者利益を得ることができます。

せっかくのコンテンツを死蔵させないためにも、出版社にはぜひともWebメディアに取り組んで欲しいものです。