なぜ必要?コンビニの成人向け雑誌<有害図書>に目隠しカバーをする理由

大阪府堺市が市内にあるファミリーマートと提携して、店内で売られている有害図書(成人向け雑誌)に目隠しカバーをする方針を取ったことが議論になっています。

具体的には、成人向け雑誌の表紙に高さ12cmの緑色の半透明カバーをかけることで、表紙を見えなくするというもの。
この方法によって、コンビニに来る子どもや女性客に配慮をする狙いがあります。

一見すると合理的な”目隠しカバー”ですが、見方を変えれば明らかな表現の自由の剥奪ではないか?そういった議論が起きています。

果たして、堺市の有害図書指定は過剰な規制と言えるのでしょうか?
賛成と反対、両方の意見をもとに考えてみましょう。

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なぜ堺市は成人向け雑誌にカバーをかけるのか?

堺市は市内にある全84店舗のファミリーマートのうち、直営1店舗とFCの10店舗で同施策を実施。
反応を見て、今後も目隠しカバーの対象店舗を拡大していく方針です。

使われる目隠しカバーは堺市が公費として95万円を計上していることから、本腰を入れて取り組む施策であると考えて良いでしょう。

コンビニの成人向け雑誌に〈目隠しカバー〉は許されるのか(【追記】あり) 園田寿    個人   Yahoo ニュース

さて、堺市はなぜそこまでして成人向け雑誌を囲い込もうとしているのでしょうか?
その目的は大きく分けて3つあります。

  • ・来店する女性客への配慮
  • ・子どもを性表現から守る
  • ・訪日外国人への配慮

確かにこうした理由は合理的にも見えます。
しかし、日本雑誌協会と日本書籍出版協会は”包装は過剰な規制”であると猛反発。両協会は竹山修市長に公開質問状を送り、即刻解除を求めています。

成人向け雑誌への包装に賛成の立場の意見

コンビニの雑誌売場に行くと、やはり成人向け雑誌というのは目に付きます。
男性であればそこまで抵抗なく受け入れられるかもしれませんが、やはり女性や子どもにとって刺激が強いことは否定できません。

来店する女性客が気分を害することなく買い物ができる環境をつくるため、そして子どもを性表現から守るためにも必要な措置と言えるでしょう。

また、堺市の担当者が述べている「日本では成人向け雑誌がむき出しの状態で売られている。子供の教育という観点とともに、訪日外国人も増えており、今回試みることにした」(産経WESTより)という説明も、日本のイメージを保つためには必要な措置と言えるかもしれません。

このあたりは一理あることであり、表面的に見れば十分に価値のある施策であると言えるでしょう。

成人向け雑誌への包装に反対立場の意見

一方、両協会が猛反発しているように、いかに成人向け雑誌であるとしても、表紙をカバーで覆うというのは表現の自由の剥奪であるという意見もあります。

ポイントになるのは、堺市が95万円の公費を計上して取り組んでいるところです。
公権力が大きく介入していることは明らかであり、大阪府青少年健全育成条例を超える過剰な規制であるという意見があります。

また、弁護士の園田寿氏も堺市の取り組みについて「従来の法的規制を超えるものである」と説明しています。

(青少年健全育成条例の)規則第6条2号は、「ビニール包装」か「ひも掛け」のいずれかによって有害図書類の閲覧が防止されていればよいと規定していることから、規則は表紙までを隠すことは求めていないと解されます。つまり、区分陳列とは、出版物の内容の閲覧を制限する措置であり、表紙は「内容」とは区別されるものであると解されるのです。もちろん、業者自らが表紙も隠して陳列することは構わないと思いますが、行政として公権力がこのような陳列方法を業者に要求することは、従来の有害図書規制を逸脱するものではないかと思います。

有害図書規制の目的・根拠は、「青少年を取り巻く社会環境を整備し、及び青少年をその健全な成長を阻害する行為から保護し、もって青少年の健全な育成を図ること」にあります(条例第1条)。ここには、訪日外国人に対する社会環境の整備といった目的は含まれていません。この点も過剰な規制であると言わざるを得ません。

カバーで覆われていようと、成人向け雑誌を買う人は必ず買う

ここからは個人的な見解ですが、結論から言うと成人向け雑誌のカバーには賛成です。
その理由は、成人向け雑誌のカバーを覆ったところで、さして売り上げには影響がないと思われるからです。

成人向け雑誌を買う層というのはある程度決まっており、買う人はカバーが付いていようと買うでしょう。

もちろん、表紙の真ん中が隠れてしまうので、肝心の部分が見えなくなることによる売り上げ低下は懸念されます。
コンビニに立ち寄って目についた成人向け雑誌の表紙を見て”つい買ってしまった”お客さんの売り上げは損なわれる可能性もあるでしょう。

しかし、カバーによって表紙全面が隠れてしまうわけではありません。タイトルや雑誌のテイストは表紙を見れば十分にわかるものになっています。

過剰な規制で性犯罪が増える懸念

一方で、反対の理由を挙げるとすれば、子どもを性表現から守る行為が行き過ぎるとそれはまた別の問題を引き起こすことが考えられます。

もし中学生や高校生の男子から性表現を一切取り上げてしまうと、内側に歪んだ妄想を膨らませる一因になります。つまり、本来持つべき一般的な好奇心とは別の方向にベクトルが向いてしまう可能性があるということです。
すると、過剰な欲求が膨らんでしまい、ややもすると性犯罪につながる可能性も考えられるでしょう。

とはいえ、この規制が過剰に進んでいき、コンビニ全店舗が対象になったり、表紙全面を覆ってしまう、さらには成人向け雑誌の販売禁止にまで発展すると過剰と言わざるを得ないでしょう。

成人向け雑誌の表現の自由と、そこから生じる問題をどのように対処するか。このあたりのバランスが大きく崩れることは避けなければいけません。