全国に広がる「地方文学賞」とは?仕組みと事例を徹底比較

ピース又吉さんの芥川賞受賞でにわかに盛り上がりを見せる文学賞。
本の売り上げを伸ばすためには大きな役割を果たす文学賞ですが、最近は地方でも独自の広がりを見せています。

出版社が主催する文学賞に注目が集まりがちですが、今回は地方自治体・地方団体が独自に運営する文学賞にスポットを当てて紹介します。




地方にはどんな文学賞がある?

それでは地方の団体が運営する文学賞の効果について見ていきましょう。
まずは日本の地方にはどんな文学賞があるのか、ザッと一例をご覧いただければと思います。

  • ・坊っちゃん文学賞(愛媛県松山市)
  • ・京都本大賞(京都府書店協同組合)
  • ・伊豆文学賞(静岡県)
  • ・泉鏡花文学賞(石川県金沢市)
  • ・萩原朔太郎賞(群馬県前橋市)
  • ・奥の細道文学賞(埼玉県草加市)

ここで紹介した文学賞のほとんどが全国から応募を受け付けています。
作家をはじめとする選考委員によって選出されているので、権威は十分。

また、副賞として賞金が贈られる文学賞が多いのも特徴的です。

たとえば「坊っちゃん文学賞」は副賞として200万円の賞金が贈られます。これは直木賞・芥川賞の100万円よりも多い賞金です。

つまり、それだけの予算を割いても十分に採算が取れるという判断が地方でなされているわけです。

地方主催の文学賞にも2パターンある

地方が主催する文学賞のなかにも、十分な歴史を持つものが存在します。

しかし、その性質は大きく2つに分けることができます。

  • ・地方を題材にした文学賞
  • ・作家にゆかりのある地方の文学賞

地方を題材にした文学賞

1つは、主催する地方を題材にした文学賞です。
上の例でいえば、京都本文学賞や伊豆文学賞が「その土地を題材にした作品」が対象となっています。

のちほどくわしく紹介しますが、作品を通してその地方・土地を知ってもらえるのが大きなメリットです。

作家にゆかりのある地方の文学賞

2つ目は、作家が生まれた土地であったり、ゆかりがあることから、その地方団体が主催する文学賞です。
上の例では、坊っちゃん文学賞や泉鏡花文学賞などがあげられます。

地方が主催してはいるものの、あるジャンルについて特定するだけで、広く作品を募集しているのが特徴です。

地方の文学賞にはどんな効果があるの?

さて、ここまでカンタンすぎるくらいに地方の文学賞について概観してきました。

繰り返しになりますが、賞金200万円というのは文学賞としてはかなり高額です。
なぜ地方はここまで文学賞に力を入れているのでしょうか?

その理由は大きく2つに分けることができます。

  • ・単純に本の売り上げに貢献できる
  • ・地方の知名度アップが狙える(経済効果)

本の売り上げに貢献できる

文学賞は規模や程度の差はあれど、競争を勝ち抜いて選ばれた本です。
ですから、受賞作は「面白いはず」なので、読者としては買うことにためらいがなくなり、売り上げにつながります。

主催しているのは地方の団体ですが、多くは出版社が後援しています。
言うまでもありませんが、出版社としては大小問わず文学賞の受賞は売るキッカケになるので力が入るわけです。

地方に経済効果が期待できる

ジャンルを特定するだけのこともありますが、地方文学賞の多くは「地方を題材にしたテーマ」を公募しているところにも特徴があります。

たとえば、京都本大賞などは「京都府を舞台にした小説」が対象です。
作品のなかでは否応なく京都の話が出てきますので、十分な認知度アップが期待できます。

映画化・ドラマ化されればその効果はさらに大きくなるでしょう。
物語の中に出てきた場所を巡りたくなるのは人間の自然な心理です。

極端にわかりやすくいえば、冬のソナタの「ヨン様効果」で韓国のロケ地に行く人が続出した現象と同じことが地方でも起こり得ます(古くてすみません)。

観光客が増えることによる経済効果は大きいですから、地方は文学賞に力を入れるわけですね。