取次の報奨付き本が書店に大きなダメージを与える理由

日販トーハンをはじめとする出版取次
書店と出版社をつなぐ重要な役割を果たしている出版取次

いつも頭が上りません。
でも今日は少しだけ、取次様の施策について苦言を呈したいと思います。




返品率、ああ、返品率

まず、取次は返品率を気にします。
返品率とは、書店が本を入荷した冊数のうちどれくらい返品にまわしたかを示す数字です。

わかりやすくいえば本を10冊仕入れて、そのうち2冊しか売れなかった。あとの8冊は返品へ。
この場合の返品率は80%となります。

この数字が大きければ、書店はそれだけムダな仕入れをしたことになるので改善しなければいけません。

そのために取次は報奨などの施策を使って、返品率を下げようとしています。
日販にはいろんな施策があります。正直なところ、ハイプロフィットやらPPIやらMD企画やら訳がわかりません。

書店の担当者も「ハイプロ銘柄が多すぎて把握できないよ」と嘆いている始末。

本来であれば書店の担当者の意識付けとしての役割を果たすはずの報奨。
しかし、この銘柄が多すぎて、仕組みが複雑すぎて書店の担当者も辟易しているのが実際のところです。

「報奨もらえるの?わーい!」

なんていう雰囲気はありません。まあ、担当者の懐に入るわけではないので仕方ないのかもしれませんが。

もちろん、これらは報奨や返品率を片方から見た意見にすぎません。
当然、メリットはたくさんあります。

でも報奨銘柄が増え続けてしまうと、コワイことが起こってしまうかもしれません。

返品率偏重で書店文化に亀裂が生じている

こうした状況が続くと、あまり好ましくないことが起きてしまいます。

報奨がつく本が当たり前になってしまうとどうなると思いますか?
そうなると、報奨がついていない本を売ろうというモチベーションがはたらきません。

同じ金額の本だったら、当然、報奨付の本に力を入れます。

こうなってくると、報奨をつける体力のない出版社の本が書店に並ばなくなってしまいます。

「これ、どこの版元?聞いたことないし、報奨もつかないなら即返品だよね」

なんていう会話が当たり前になってしまう日がいずれやってきます。

小さな出版社の本の存在を排除してしまうと、特定の思想などが流布する可能性も。
極端な話ですが、現実に起こらないとは言い切れません。

まとめ

取次の繰り出す施策については、はっきり言って中小の出版社はノーと言えません。
ちゃんと乗っからないと、締め出されておしまいです。

返品率を下げるためには報奨を使うのではなくて、売れる本の選別能力が高い書店員を育てるような取り組みが必要なのではないかと感じています。

理想論なのはわかってます。
でも、やはり報奨企画で本を売ることにはどうしても納得できません。