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HIPHOPの歴史をイラスト図解!ラップの重要曲がわかる『The RAP YEAR BOOK』が超面白い

公開日:2017/02/08 
カテゴリ:おすすめの本
HIPHOPの歴史がわかるラップイヤーブック

音楽のことを深く知るには、曲を聴くことはもちろん、そのアーティストやジャンルのことについて知ることが求められます。

わたしはラジオを聴くことが多いのですが、ラジオパーソナリティの音楽知識の深さには毎日のように驚かされます。

効率的に、かつ体系的に音楽のことを調べるにはどうすればいいか?そうです、わたしたちには本という武器があります。

さて、前置きはこのへんにして、今回はHIPHOP、とりわけ「ラップ」についてのお話です。

紹介するのは『The RAP YEAR BOOK』。ラップの歴史や重要曲を知るにはうってつけの1冊です。

『The RAP YEAR BOOK』ってどんな本なの?

『The RAP YEAR BOOK』とは、1979年〜2014年におけるラップの重要曲を1年に1曲紹介している本です。

この形式をとっているおかげで、なにせ読みやすい。ダラダラと時系列が続く内容とは一線を画していて、その年ごとに1曲紹介されるスタイルなので明快でわかりやすくなっています。

また、1年に1曲という取り上げ方をしているおかげで、ラップの歴史におけるその曲の位置付けや重要性が読み取りやすいのも大きなメリットです。

取り上げられているのは洋楽のラップなんですが、日本人にとってその曲の歌詞や題材ってほとんど見えてこないですよね。聴く理由はほとんど曲のリズムだけ。そんな人が大半だと思います。

でも、この本では「この曲はいったい何について歌っているのか?」そして「なぜこの曲が重要なのか?」がしっかり記載されています。

つまり、リズムだけで聴くラップから脱却して、リリック(歌詞)まで踏み込んで曲の世界に入り込むことができるのです。

さらに嬉しいことに、この本はイラストによるビジュアルが多用されています。文字ばっかりだと眠くなっちゃう人にはピッタリかもしれません。

ラップイヤーブック

ラップイヤーブック

ラップイヤーブック

誰もが知っている”ブレイクビーツ”が生まれた理由

ラップの曲を思い起こしてもらうとわかると思いますが、基本的には同じリズムがずっと続くんですよね。

サビの部分は盛り上がってリズムが変わるけど、それ以外は基本的にずっと一緒。これがラップ曲の特徴でもあります。

ではなぜこのような、言ってみれば単調なリズムが生まれたのか?これが本書にはわかりやすく書いてあります。

まず、あなたが必ず一度は聴いたことがあるであろうこの曲を聴いてみてください。

これは1979年にシュガーヒル・ギャングというグループがリリースした「Rapper’s Delight」という曲です。『The RAP YEAR BOOK』で最初に紹介されている曲でもあります。

「ブレイクビーツ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?わからない人のために簡単に説明しておくと、ブレイクとは、歌い手が歌うのをやめて演奏だけになる部分のことをいいます。つまり、ドラムを中心としたリズムだけになるパートですね。

ブレイクビーツはラップ曲の根底を成すリズムなわけですが、本書によれば、「Rapper’s Delight」という曲がブレイクビーツのはじまりなのです。

シュガーヒル・ギャングのメンバーにクール・ハークという人がいます。この人がブレイクビーツを生み出した流れについて、本書では以下のように書かれています。

ハークが重要なのは、初めて曲からブレイクを抜きだし、他の曲に含まれる同種のブレイクとをブレンドした最初の人物だったからだ。

元来、ブレイクはほんの短い部分にすぎなかったが、クール・ハークが2台のターンテーブルを使って、1つのブレイクから、次のブレイクへと切り替えていく方法を考えだすと、ブレイクは引き伸ばされた。さらに、彼がそれを、ずっと長く引き延ばし、もはやブレイクではなくなってしまった。つまり、それが、この切れ目のないリズムに、この新たな生命体になったのである。

言葉を使って思いを伝え、不満をぶちまけ、野望を語るには過剰な楽器の音色は邪魔でしかありません。単調なブレイクビーツのほうが、ラップを載せやすいわけです。

いままで気づかなかったブレイクの使い方をクール・ハークが広めたことで、この手法を使った音楽はどんどん広まっていきます。つまり、ブレイクビーツが生まれたことでラップが生まれた、とも言えるわけです。

ちなみに、「Rapper’s Delight」はChicの「Good Times」をサンプリングしたものです。この曲も超有名ですね。

ラップの名曲から歴史を学べる画期的な1冊だと思う

こんな感じで、本書はラップの歴史を曲の成り立ちから知ることができます。

HIPHOPやラップの歴史を解説している本は他にもありますが、ここまでビジュアルに富んだ本は他に類を見ません。

とりわけイラストがキュートなので、持っているだけでも満足感が大きいですね。

強いて言うなら、翻訳が下手というか不自然な日本語の言い回しがちょいちょい出てくるので、ちょっと気になります。マイナスポイントはそれくらい。

日本国内でもフリースタイルダンジョンなどの勃興でラップブームが再燃しています。いまこそラップの歴史を振り返りたい!という人に、『The RAP YEAR BOOK』はオススメの1冊です。

ラップ以外にもUKロックとかメタルとか他ジャンルも欲しいですね。『The ◯◯ YEAR BOOK』でシリーズ化して欲しいくらい良い本だと思います。

 


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