出版翻訳の仕事―外国の本が日本で刊行されるまで

みなさんは翻訳本にどんなイメージを抱いていますか?

なんとなくオシャレなイメージや難しいそうなイメージでしょうか。
独特な言い回しが多いし、翻訳者によっては上手く日本語で言い表せていないこともあるので、あまり好まない人も多いかもしれません。

それでも、言葉がわからなくても海外の本を読めるのはありがたいことだし、見識も広がります。

そんな翻訳本はいったいどのようにして生まれるのでしょうか。
一般にはあまり知られていない翻訳本のアレコレについてわかりやすく解説したいと思います。




あらゆるジャンルで繰り広げられる出版翻訳

出版翻訳とは外国の本を日本語で読んでもらうために行われる翻訳のことをいいます。

翻訳される本にはたくさんのジャンルがありますが、いわゆる出版翻訳家と呼ばれる人が活躍するのは小説、ミステリー、ロマンス、SF、ホラー、ファンタジー、児童書、映像作品のノベライズ、ノンフィクションなどです。

実用書や専門書に関しての出版翻訳は少数で、エンターテインメントの要素がある本が翻訳書の中で大きな割合を占めます。

ただし、文芸作品の中でも純文学については、テーマとなる時代背景や文学全般に関しての理解や専門性が求められます。
そのため、専業の翻訳家だけでなく、外国文学の研究者や作家が手掛けるケースが多く見受けられます。

文芸以外のジャンルでは専門書、一般教養書・自己啓発書といったジャンルの翻訳本があります。
そのジャンルは多様で科学・健康・哲学・ライフスタイル・レシピ・ビジネス・政治経済など。

翻訳された文芸作品を刊行する出版社としては、早川書房やみすず書房などが有名です。
一方、ビジネス書に関しては大和書房やサンマーク出版などが翻訳ビジネス書でヒット作を数多く刊行しています。

専門性が高いものは、それぞれのテーマに関する深い知識が必要なので、学者、研究者、経済誌の編集者、テクニカルライターなどが翻訳に当たることも多くあります。

外国の本が翻訳されるまでの流れ

翻訳を担当する出版社には、版権エージェントから新刊や近刊が大量に持ち込まれてきます。
版権エージェント(著作権エージェントとも)とは、著作権を持つ外国の著者や出版社などと日本の出版社の間に入って仲立ちをする人たちのこと

版権エージェントは翻訳書の印税の一部を手数料として受け取ります。これが、版権エージェントの収入となります。
そのため、版権エージェントは外国の書籍をたくさん読み、日本で売れそうな本を出版社に売り込む仕事が中心です。

こうして紹介された本を出版社が版権を獲得して翻訳するわけですが、実際に版権を獲得するのはごく一部の作品です。
版権を獲得する本はシノプシス(要約)を読み、それをもとに出版する価値のある本と出版社内部で判断される必要があります。

出版されることが決まると、出版社は翻訳家に翻訳を依頼します。
この依頼は出版社から翻訳家個人に出されることが一般的ですが、翻訳会社や翻訳出版プロダクションが受注するケースもあります。

翻訳家に求められるのは英語ではなく日本語の能力!

出版翻訳の仕事は通常、出版社から翻訳家に直接依頼されるため、仕事を得るには何らかの方法で、出版翻訳を手掛ける出版社にコネクションを持つことが必須となってきます。

翻訳した作品を持って出版社に売り込むのも1つの方法。
翻訳学校の生徒であれば、プロの翻訳家である講師から仕事を紹介してもらうという方法も。
あるいは出版社が実施する翻訳コンテストで優勝し、翻訳家デビューを果たすケースもあります。

プロの翻訳家として活躍するためにはどんな能力が必要なのでしょうか。
それはズバリ「日本語力」です。

いくら英語をはじめとする外国語が得意でも、それを適切な日本語に翻訳できないことには仕事になりません。
どんなにイイ作品であっても、日本語がちぐはぐになってしまっては読者が離れてしまいます。
プロの翻訳家になるためには、優れた翻訳家が関わった作品の研究するとともに、様々な日本語に言い回し学ぶ必要があるといえそうです。