書店の倒産が止まらない…太洋社に連鎖して倒産数は前年度18.7%増

過去の記事で取次大手・太洋社の倒産についてくわしく紹介しました。
その倒産によって引き起こされた”連鎖倒産”は結果的に大きな傷あとを残しています。

取次が倒産すると、会社のお金を精算するために書店に残っている支払いを求めます。
まとめて支払いを求められた書店はお金を払えずに倒産する。これが太洋社が引き起こした負の連鎖です。

太洋社が倒産した背景をあらためておさらいし、書店倒産の推移について見ていきましょう。

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書店の倒産件数は2013年度まで減少傾向だったのに…

東京商工リサーチの発表によれば、2015年度の書店倒産状況によれば、書店の倒産は19件となり、2014年度から3件(18.7%増)となりました。

書店倒産状況の推移

出典:東京商工リサーチ

グラフから見ると明らかですが、2009年度〜2013年度は一貫して倒産件数は減少していました。
出版不況と言われて久しいですが、それでも倒産件数は減っていたわけです。

それが2014年度から増加に転じて、2015年度はさらに倒産件数が増えている状況です。

2015年度の倒産のうち、負債額が最も大きかったのは芳林堂書店の約20億円でした。次いで大きかったのは興文堂書店です。
これは冒頭で述べたように、太洋社の倒産が直接の原因となっています。

東京商工リサーチは今後の倒産件数推移について以下のように分析を加えています。

(芳林堂書店と興文堂書店は)それぞれ太洋社からの支援で経営を維持していたが、2016年2月に太洋社が自主廃業を決定して以降、書籍や雑誌の入荷が困難になり、債務の支払いを迫られて事業継続を断念した。 なお、倒産ではないが太洋社に連鎖した書店の休廃業は、17社(個人企業含む)・19店舗に及んでいる。同社倒産の影響はさらに広がる可能性がある(東京商工リサーチ)

取次が書店の物流とファイナンスを兼ねている問題

他の流通業界では、基本的に物流をお金(ファイナンス)は別々で管理されています。
しかし、出版紹介は流通(取次会社)が大きな力を握っています。ですから、取次が倒れれば書店も倒れる仕組みにならざるを得ないのです。

取次業者は通常の卸売業者と異なり、流通とファイナンス機能を兼ね備えている。経営の厳しい書店は、取次業者に資金繰り支援を求め、取次業者は自社シェアを確保するため支援に応じる。この二律背反の関係が深みにはまると、力を超えた支援が取次業者の経営を圧迫することになる。同時に、取次業者の経営破綻は帳合関係にある書店の経営をも直撃する。これが今回の太洋社の破産に伴う連鎖倒産や書店廃業が相次いだ要因になっている。そして、取次業界で資金力が豊富な大手2社の寡占化が進む背景でもある(同上)

取次会社が力とお金を持つことは決して悪いことだけではありません。取次が大きければ、それだけ書店にある本の流動性は高くなり、品揃えや商品循環が良くなるからです。

太洋社の倒産によって取次の在り方を見直さなければいけませんが、今回の事態によって日販とトーハンの影響力がさらに強まることは避けられません。
この二大取次のうち、特に日販は返品率をかなり厳しく制限しています。返品抑止の施策によって売り上げは確保しやすくなりますが、旧態依然とした体制は今後も変えるのがむずかしい現状と言えるでしょう。