アマゾンが日販への発注を停止!本の物流は取次を介さない直接取引へ

アマゾンが出版社の直接取引を本格化し、取次を通さない配送システムを本格化させようとしています。

以前、「書店と取次は大打撃か?アマゾンが本の直接集配で出版社との直取引を本格化」の記事でも紹介したとおりですが、今回は日販(日本出版販売)という具体的な社名まで取り上げられていることがポイントです。

アマゾンジャパンは(東京・目黒)は一部の既刊本について出版取次大手の日本出版販売(日販)への発注を6月末で取りやめる。日販に在庫がない書籍を調達する際に、アマゾンが出版社から直接取り寄せる方式に順次改める。【日本経済新聞朝刊 2017年5月2日】

ご存じのように、アマゾンは一部の地域を対象に最短即日配送をスタートさせており、いかにお客さまに早く商品を届けるかにこだわっています。

それを実現するためには、日販から仕入れていたのでは到底間に合わないという、アマゾンの本音が見え隠れするようです。

一部の書籍が集中的に売れる実店舗と異なり、ネット通販では少量でも長期にわたって売れる商品が多い。こうした書籍の供給について、アマゾンが求める調達のスピードに、日販とずれががあったとみられる

アマゾンが日販に不満を抱く気持ちは、実際に本屋で本を注文したときのお客さんの気持ちと同じように考えることができます。

実店舗である書店で本を注文すると、ほとんどのお店では「1週間ほどお時間をいただきます」と書店員が伝えています。

実際、わたしが働いていた書店でも「1〜2週間ほどお時間をいただきます」とお客さんに伝えるマニュアルがありました。

実際は2〜3日で書店に届くこともあるのですが、取次の搬入日は信用できないという、いわば出版業界の常識があるため、日数は多めに伝えるのが当たり前になっているのです。

ネットで注文すれば遅くとも2〜3日で本が自宅に届く時代に、1週間以上も待たされる実店舗を使うメリットはもはやどこにもありません。

いまや、出版取次業界は日販とトーハンの二強時代ですが、今回のアマゾンの取り組みは日本の出版取次の物流スピードの遅さをあらためて露呈することとなりました。

アマゾンは、物流施設の拡充をするために赤字に耐えながら先行投資をしてきました。当初は株主をはじめとするステークホルダーから批判の声が上がっていましたが、結果としてアマゾンの先行投資は功を奏したことになります。

アマゾンの戦略に先見の明があったといえばそれまでです。しかし、日本の出版を支える取次が、長い間続いてきた体制にあぐらをかいてきたと思われても仕方がありません。

書店という小売りがアマゾンに奪われつつあるなか、今度は取次という物流までもがアマゾンに奪われてしまうのか。

モノを売ることにスピードが求められる時代。出版取次は大きな転換を迫られます。