名著と呼ばれる本には「読みたいけど、むずかしい」という作品がたくさんあります。
心理学にも名著はたくさんありますが、それをすべて読もうとするのは大変だし、そもそも何を読むべきなのかもわかりませんよね。
『世界の心理学50の名著』はその名の通り、心理学の有名作品をまとめて紹介した本なのですが、これがけっこう読みやすくて良かったので紹介します。
心理学50作品を要約でザックリと理解する
この本は、副題にもあるようにそれぞれの作品のエッセンス(要約)をまとめています。
ですから、たとえば以下のような人におすすめです。
- ・心理学の名著をザックリ知りたい
- ・学校の授業の理解を深めたい
- ・なんでもいいから古典作品を読んでみたい
わたしは最近、古典作品を読みたい願望に駆られていて、この本を手に取りました。
自分で古典作品をさがすのは手間がかかりますし、そもそも古典作品って内容がむずかしいんですよね。
だから、この本を「古典作品のガイド」として位置づけて読んでいます。
気になった本は実際の作品を読んでみますが、たとえ読まなくても、この本で解説されている内容だけでも大いに役立ちます。
要約本が嫌いな人の気持もよくわかります
なかには「名著の要約だけを集めただけの本なんてけしからん」という人もいると思います。
本は実際の作品を読んでこそ意味があるんだ、というご意見。よくわかります。わたしも、以前まではそっち寄りでした。
でも、古典作品を読むための最初の一歩として要約本を読むのは、すごく良い方法だと思うんですよね。
さきほども言ったとおり、本書を「古典作品のガイド」として捉えて読んだことで、要約本のおもしろさと利便性に気付かされました。
この手の本があることで、これまで古典作品を敬遠していた人も引きつけることができるのではないかと思います。
要約本を読むと、作品ごとの”結論(核)”が理解できる
要約をまとめた本書がいいところは、「その本は結局なにを伝えたいのか?」という結論部分がわかるところです。
どんな本にも言えることですが、1つの結論を言うために問題提起とか関係なさそうな話とかがいっぱい出てきます。せっかく結論はすごいこと言っていたとしても、本筋に関係ない話をダラダラされると読んでてイヤになりますよね。
でも、前提知識やその本が伝えたいことが頭のなかにあると、読み進めるのが圧倒的にラクになります。
「この部分って全然関係なさそうだけど、◯◯という結論につながる話なんだな」と思えるかどうかは、本を読む上ですごく重要です。
1作品あたり5〜6ページで終わるので、読みやすい
1冊に50作品を詰め込んでいるので、1作品あたりのページ数は5〜6と少なめです。
わたしとしてはこれくらいのページ数がかなり心地よくて、ちょっとしたスキマ時間にサラッと読むことができます。
たとえばテレビを見ながら読んだりしています。CMとかつまらないシーンはこの本を読むようにしているので、400ページを超えるボリュームにもかかわらず、読了まであまり時間がかかった感覚がありません。
まあ、自分にとって必要性を感じないページはバッサリ読み飛ばしているので、そのせいかもしれませんが…。
最初から最後まで通読してもいいですし、気になる作品や著者のページだけパラパラ読んでみるという使い方も良さそうです。
2段組は好みが分かれるかもしれない
この本は2段組です。2段組で書かれている本って少ないので、慣れてない人も多いと思います。
わたし個人の印象として「2段組の本 = むずかしい」というのがイメージとしてあるのですが、みなさんいかがですか?
2段組の本も慣れの問題かなと思いますし、本書はけっこうわかりやすく書かれているので、読みやすいと思います。
これは予想に過ぎませんが、おそらく本書の翻訳者である米谷敬一さんの訳が上手なんだと思います。
というのも、本書の著者であるT・バトラー=ボードンが最近出した新刊は、びっくりするほど読みづらかったからです(笑)
翻訳書あるあるですが、同じ著者だからといって、他の作品が読みやすいとは限りません。海外作品は翻訳者で良し悪しが大きく変わりますからね。
全体的には読みやすんですが、本書もところどころ内容がむずかしい箇所もあって、そこは容赦なく読み飛ばしています。
いずれにしても、心理学50の名著についてはおすすめできるので、ぜひ一度手にとってみてください。