わたしは毎日ラジオを聴くためにAIスピーカー「Google Home」を使っています。
「OK,Google。bayFM流して」と言うだけで指定したラジオ局を再生してくれる大変ありがたい存在です。
いまではさまざまなAIスピーカーが登場し、機能もさらなる進化を遂げています。
最近特に勢いがあるのはAmazonのAIスピーカー「Echo」です。EchoにはKindle本を日本語で読み上げる機能があります。
今回はその読み上げ機能についてくわしく解説します。
ついにここまで来た。ながら作業で本が読める!
2018年2月22日にAmazonが、Alexaの読み上げ機能へKindle本の読み上げ機能を追加すると発表しました。
Kindleストアで本を購入したお客様や、Kindle UnlimitedやPrime Readingの読み放題サービスの利用者は、文芸書やビジネス書などの文字主体の書籍*注で読み上げ機能**に対応しているタイトルを対象に、Echoの頭脳であるAlexaに「アレクサ、本を読んで」等と呼びかけるだけで本の読み上げを楽しめます。
本機能を通じて、読書家に限らず、本から遠ざかっていた方や読書を新たに始めようとした方を応援するとともに、視覚障害者の方の読書へのアクセシビリティを向上させ、Amazonはより多くのお客様に電子書籍を気軽に楽しめる環境を提供してまいります。また、Alexaに対応した他社のスマートスピーカーでもKindle本の読み上げ機能をお楽しみいただけます。(アマゾンジャパン合同会社プレス・リリースより
)
Kindle本限定ではありますが、目の不自由な方や目が疲れたときの読書にはありがたい機能ですね。
同じく知名度のあるAIスピーカー「Google Home」ではまだ英語設定のみで、日本語での本の読み上げ機能には対応していません。
また、LINEのAIスピーカー「Clova」では50種類の童話の読み上げ機能がありますが、自ら購入した本などの読み上げはできません。
今のところはAmazonがKindleを生かして先行している状態です。
「アレクサ、本を読んで」
操作方法はEchoに向かって「アレクサ、”本”(もしくは”本のタイトル”)を読んで」と声をかけるだけ。
もし「本」と声をかけた場合は、いちばん最近ダウンロードした本もしくは、いちばん最近読んでいた本を読み上げてくれます。
「本のタイトル」の場合は、その本を読んでくれるのはもちろん、もし前回読みかけで閉じた本を読んでもらう場合は、ちゃんと続きから読み上げてくれるんです。
また、Alexaアプリを使って、Kindle本を検索・選択した上で読み上げを楽しむこともできます。
今のところは、読み上げスピードを変更することができなかったり、読み上げに対応できなかったりする本もあるようです。
しかし、それを差し引いても便利な機能であることはまちがいないでしょう。
紙の本はますます売れなくなる可能性も
さて、この読み上げ機能が出てきたことで心配なことがあります。それは、紙の本離れがさらに加速していくのではないかということです。
紙の本も大切にしたい派にとって、アレクサの読み上げ機能は便利であると同時に、脅威です。
Amazonはプレス・リリースで「本から遠ざかっていた方や読書を新たに始めようとした方を応援する」と表明しています。
今まで本を読むことから離れてしまった人の取り込みが図れることは、出版業界全体にとってもプラスかもしれません。
しかし、そういった人は電子書籍しか買わない可能性も高いですし、紙の本離れを助長することも考えられます。
先行販売する紙の本の広告音声を流すアイデア
Echoを何か紙の本の広告に利用する手立てはないのでしょうか。
たとえば、AIスピーカーの読み上げ機能でこれから発売される本の一部分を読むという広告が考えられます。
紙の本の発売日を電子書籍よりも早くすれば、早く買いたいという人が紙の本を買う可能性もあるでしょう。
または書店のキャンペーン情報を流すようにすれば、書店へ足を向ける機会にもなるはずです。
まあ、紙の本のPRをAmazonが積極的に行う理由はほとんどありませんが。。
Amazonとの共存をいかにして図っていくか
いまや世界最強の企業といっても過言ではないAmazon。彼らは一体どのような未来を描いているのでしょうか。
出版業界にかぎりませんが、Amazonとどう共存していくのかという視点がこれからの企業には不可欠になってくるでしょう。
ひとまず、この読み上げ機能はまだ始まったばかりです。
今後、Google HomeやLINE Clovaでも読み上げ機能が追加されることは容易に考えられます。
早い段階から、どのようにして紙の本と共存していくのかを考える必要があるのではないでしょうか。