以前、日販が文教堂の筆頭株主になったという記事をご紹介しました。
これに合わせるかたち、というわけではないのでしょうが、トーハンがあおい書店の株式を取得し、19店舗を運営することになりました。
経営が厳しい書店を取次の資金力でバックアップするという流れが、さらに加速しています。
トーハンのあおい書店取得について、くわしく見ていきましょう。
トーハンの子会社があおい書店を取得する仕組みとは?
まずは新文化の記事をもとに、今回のトーハンによるあおい書店の取得についておさらいしておきましょう。
トーハンは10月17日に行った取締役会で、同社100%子会社で中間持株会社である(有)ブックス・トキワが(株)あおい書店(本社=東京・中野区、八木隆司社長)の発行済株式の全株式を取得することを決議。10月25日に株式譲渡契約を締結した。
あおい書店(東京)は9月1日、名古屋市熱田区に本社を置く(株)あおい書店から分割により設立。資本金1000万円。同社は東京、愛知、神奈川、京都、岐阜、静岡に19店舗を展開。売上高は約50億円という。
一方、名古屋に本社を置くあおい書店は3店舗を運営。トーハンでは、「今後、(東京の)あおい書店に代表取締役社長を派遣して経営を行う」と話している。譲渡金額については非公表。 ブックス・トキワは1970年に設立。社長はトーハン副社長である近藤敏貴氏。らくだ書店を運営する(株)らくだの株式を所有している。
ここでポイントとなるのは、中間持株会社です。トーハンのウェブサイトにも情報が載っていない(有)ブックス・トキワが今回、あおい書店の株式を取得するかたちになっています。
中間持株会社ってなんだよ、という話ですが、今回の例でわかりやすくいえば
- トーハン → 親
- ブックス・トキワ → 子ども
- あおい書店 → 孫
というイメージです。ブックストキワはトーハンの書店事業を効率的にまとめるために設立された会社、と考えるといいのかもしれません。
親と孫の間に入って、円滑なやりとりをする役目といえます。
ブックストキワ自体は実態がないので意識する必要はないのかもしれませんが、やや複雑な株式の取得だったのでまとめておきました。誤りがありましたらご容赦ください。
取次が書店を支配することは良し悪しありますが、あまり行き過ぎるのもどうかなと思います。いくら効率化が図れるとはいっても、書店の独自性が保たれなくなるのでは?と心配です。