『アルキメデスは手を汚さない』犯人云々より、タイトルの謎が解けて最高の読後感

【読書感想】『アルキメデスは手を汚さない』犯人云々より、タイトルの意味がわかって最高の読後感 おすすめの和書

あまり推理小説を二度読み返すことってないんですが、『アルキメデスは手を汚さない』は時間を置いて2回も読んでしまいました。それくらい好きな小説です。

女子高生が死んでしまうところから話が始まります。冒頭でいきなり葬式の話なので、読者を引きつけるという意味ではすごく良い出だしだと思います。

お話は文句なしに面白いのでぜひ読んでもらうとして、全体像のお話をします。

まずタイトルが良いですよね。知的好奇心を誘う感じで、わたしは全然アルキメデスのことなんか知らないけど、タイトルが何を意味するのか?に誘引されて読み進めました。

結果、読み終わったあとに「アルキメデスは手を汚さないってそういうことね!」という最高の読後感を味わうことができます。

なかなかタイトルと小説のオチが上手くリンクする作品って少ないじゃないですか。その快感を味わえる作品という意味で本書は貴重です。

そして、本書の魅力はタイトルだけにあらず。ストーリーのなかでは複数の事件が起こるのですが、それが徐々に1つの答えに収斂していく流れが非常に上手く描かれています。

あと、推理小説といえば伏線の回収が欠かせませんが、この作品は伏線を伏線と思わせないところが良いですね。あとになって、「アレはこういうことだったのね!」とあとで気づかせてくれるから気分が良いです。

あからさまに「この出来事が、後にとんでもないことになろうとは。このときはまだ知るよしもなかった」的な伏線の張り方ってちょっと無粋じゃないですか(笑)きらいじゃないけど。

わたしはけっこうせっかちなので、小説の余計な情景描写が苦手です。それが小説の良さでもあるんですが、「天気とか景色とかの描写は良いから早く本題に関係あること書いてよ」と思っちゃうタイプです。完全に純文学とかは読めないタイプですね(笑)

この本はわりと情景描写が少なめです。ダラダラといまの天気とか風景とかが書かれているシーンはなく、本題に関係のある会話とかが多いので、読むと止まりません。それくらいスラスラ読めちゃいます。

ちなみに、この本は1973年の江戸川乱歩賞作品です。かなり古いですが、文体は全然いまでも読めるので問題ありません。むしろ、古い言葉が出てくるので勉強になるというか「あー、この時代はこんな言い回しをしていたのかー」という好奇心が勝ります。

著者の小峰元さんはこの作品のみのワンヒットワンダー的な受け取り方をされていますが、他の作品も読んでみたいですね。

 

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アユム

1988年、千葉県生まれ。書店と出版社を経て、ライターとして活動中。2017年より株式会社ミシェルベース代表取締役。

【読みたい本が見つかる】をコンセプトに、洋書・和書のおすすめ本をご紹介。「読書が大好きで、洋書も気になるし、英語も身につけたい」。そんな欲張りな人(自分含め)に向けて記事を書いています。

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