読みたい本があるとき、図書館というのは大きな味方になってくれる存在です。
規模のちがいはあるにせよ、欲しい本はたいてい見つかるのが図書館の魅力でもあります。
しかし、みなさんにはこんな経験ありませんか?
「本が汚い」
「書き込みや落書きがある」
「謎のシミが付いている」
「ページが破れている」
せっかく借りた本、借りようと思った本でも破損や汚れが見つかると一気にトーンダウンするもの。
以前に比べると図書館の本の破損件数は増加の一途を辿っています。
破損本を減らすために、図書館はどんな対策を取ればいいのか?
図書館の破損本を展示する試みをしているのが、神奈川県横浜市にある緑図書館です。
破損本を展示して被害状況を知ってもらう
タウンニュースによれば、緑図書館の破損本の被害は深刻な状況だといいます。
約12万冊の図書を所蔵する緑図書館では、昨年度約8千冊の書籍を除籍(=登録抹消)。うち約6千冊が破損などの理由で貸出しに耐えられなくなった本だった(経年劣化を含む)。
昨年度に登録抹消となった書籍8,000冊のうち、約6,000冊が破損を理由に登録抹消となっている状況。
つまり、蔵書12万冊の約5%もの書籍が、破損によって命を奪われているということなのです。
書き込み、水濡れ、さらにはペットの噛み跡までも
破損本には雨水などに濡れた「水濡れ」や「落書き」「書き込み」、ペットの噛み跡による被害など様々なものがあり、図書館では可能な限り修理して再利用することにしているが、程度がひどいものは廃棄処分となる。こうした破損本は年間を通じ発生し、その数は減っていないのが現状だ。(同上)
図書館の破損本について取り上げられるとき、特に目立つのはやはり書き込みです。
借りた人が故意に行っているという悪質性があるため、問題視されているのは事実。
しかし、梅雨の時期には雨濡れが大きく増加し、またペットによる噛み跡被害も出てきています。
故意であろうとなかろうと、図書館で借りた本は同じ状態で返すのが当然です。
図書館の本が公共財であるという意識が完全に欠落しているとしか言えません。
ボランディアによる修理がスタート
被害の増加を受け、職員だけで取り組んでいた破損本の修理が追いつかなくなったことから、同図書館では2010年度から「ボランティアによる図書修理」の取り組みに着手。修理法などを習得する講座を開き、破損本の状態に合わせた手作業による修理の担い手を育成している。昨年度はボランティアが1年間で827冊の本を修理したという(同上)
破損本があまりにも増えてしまったため、同図書館ではボランティアによる修理がスタートしています。
修理方法を学べる講座が開かれるなど、かなり力を入れているようです。
本を大切にしたい人にとっては、修理方法が学べる良い機会とも言えるかもしれません。
しかし、これだけでは問題の本質的な解決にはなりません。
図書館本の破損を防ぐために必要な対策とは?
緑図書館の破損本の展示は、罪の意識が低い市民に対してアピールする狙いがあります。
しかし、借りた本を平気で壊す人にその展示が目に入るかはわかりません。
なにしろ罪の意識がないので、そんな展示には見向きもしない可能性があるからです。
もし今後も破損の被害が拡大するようであれば、返却時に本の傷や汚れをチェックする行程を導入する必要が出てくるかもしれません。
その行程を導入したら、本の状態に変化はないか返却時に窓口でチェックするという作業が発生します。
誤解を恐れずに言えば「犯人さがし」を始めるということです。
もちろん、そんなことをするのは運営側にとっても、本を借りる側にとっても負担でしかありません。
借りた本を平気で壊している人には、自分のその行為が図書館を不便にしているという意識を持ってもらう必要があるでしょう。