大学時代、そして社会人になってからの約4年間書店員として働いた経験があります。
ベテランの書店員さんから言わせると、まだまだ素人同然かもしれませんが、書店員として働いたときの体験はいまでも自分の血肉となっています。
書店員として働けたことは誇りだったし、なによりスゴく楽しかった。
そこで得たことは、あらゆる仕事に役立っていると自負できます。
と、そんなキレイな話はさておき、書店員を経験したからこその習性というものがあります。
それは「本屋の乱れている棚や平積みを見ると整理してしまう」という習性です。
なぜ客として本屋に行っているのに思わず棚をキレイにしたくなるのか?
その理由と、棚を整理したくなる瞬間をまとめてみました。
なぜ、本屋の棚整理の衝動に駆られるのか?
書店員として働いていたころ、売り場づくりは業務のなかでも重要な位置を占めていました。
お客さんの動線を考えたり、POPを作ったり。
もちろん、単純な配置や装飾も大事なのですが、それ以前に必要なことがあります。
それが棚の整理・清掃です。
どんなに配置やPOPにこだわっても、売り場が荒れていたり本が汚れているようではお客さんは買ってくれません。
ですから、売り場づくりの根本として「棚をキレイな状態に保つ」ことを、かなり意識的にやってきました。
さて、こんな習性が一度身につくと、もはや公私混同になります。
いま仕事中なのか、プライベートなのか関係なく棚を整理するようになるのです。
有り体で言えば、書店員は趣味の延長線上でしたので、良い意味で仕事とプライベートの区別がありませんでした。
だから、本屋の仕事が終わった帰り道に立ち寄った本屋では、客として行っていることも忘れて無意識に平積みをキレイにしたりします。
さらにいえば「いらっしゃいませー」という、店員の掛け声に合わせて「いらっしゃ…あ、いま客だった」となったこともあります。
そのたびに、さすがにヤバいとは思うのですが、本屋の売り場がキレイになるならまあいいか、と自分を納得させています。
どんな本屋の売り場を整理したくなるのか?
お客として本屋に行っているのに、思わず棚を整えてしまうというのは「書店員あるある」だと思います。
ではいったい、本屋のどんな売り場を見ると棚を整えたくなるのでしょうか?
- ・平積みが雑然としている
- ・本のスリップが飛び出している
- ・雑誌の銘柄がバラバラ
- ・旧版が棚に残っている
- ・1番上の棚にある本の天にホコリが溜まっている
平積みが雑然としている
本のジャンル、雑誌を問わず多くのお客さんの目にふれるのが「平積み」です。
ちがう本が重なっていると、在庫を見落とすことにつながります。
そもそも、平積みが雑然としていると売り場としての印象が悪くなるので、無意識に整頓しちゃいます。
友達と本屋に行って、無意識に平積みを整理してたら「なにやってんの?」と怪訝な顔をされました。
本のスリップが飛び出している
本のスリップは、立ち読みでパラパラめくるとたいてい飛び出してしまいます。
見た目も良くありませんし、たまに地面に落下している「行方知らず」もチラホラ。
キレイ好きな書店員さんは、本が入荷した時点でスリップを最後のページに移したりします。
自分が客として行った時も、スリップは最後のページに移すことが多いです。
雑誌の銘柄がバラバラ
雑誌は面陳が基本なので、表紙が整然と並んでいないとかなり汚らしい印象になります。
昼休みや仕事終わりの時間が過ぎたあとの雑誌売場は、荒廃地の様相。
早急なメンテナンスが必要です。
旧版が棚に残っている
書店員として働いていたころ、資格書も担当していたので旧版を発見する能力がかなり身につきました。
カバーデザインが似ていると入替えのときにわかりやすいのですが、たまに新版でガラッとカバーデザインが変わることがあります。
そういったときに、旧版を残したまま新版を棚に入れてしまうこともあるわけですね。
旧版を売ってしまうとお客さんに悪い印象を与えてしまうので、確実な入替えを行いたいところです。
1番上の棚にある本の天にホコリが溜まっている
特に文庫売り場に顕著なのですが、棚の一番上はホコリがたまりやすいゾーンです。
商品の入替えや売り上げによる回転がないと、ホコリは溜まっていくばかり。
たまに一番上の本をとったときに「何年分?」というくらい、指に積年の黒いホコリがつくことがあります。
本屋で手が汚れると、ほかの商品も汚れてしまう可能性があるので定期的にチェックしたい場所です。
ホコリを食らうとイヤな気分になるので、最近は本屋に行ってもノータッチになりました。
本屋ではもっと慎重になったほうがいい?
親切心というか、無意識で本棚の整理をしてしまいますが、行き過ぎには注意したいところです。
なかには書店の担当者が意図して作っている売り場がある可能性があるからです。
それを客が勝手に改変するのは、由々しきことでもあります。
客として本屋の売り場を整理するときは、あくまでも慎重に行いたいですね。