書店員 vs 本屋で本棚の下にある引き出しを勝手に開けるお客さん 【中立なストッカー論】

書店員 vs 本屋で本棚の下にある引き出しを勝手に開けるお客さん 【中立なストッカー論】 書店員

わたしが書店員をしていた頃の話なんですが、本屋の棚下にある引き出しを勝手に開けるお客さんって必ず一定数はいたんですよね。

本棚の下にある引き出しのことをウチのお店では「ストッカー」と呼んでいたんですが、その名前のとおり本の在庫(ストック)を入れるための場所です。

ストック以外にも、什器、ジャンル登録前の新刊、POPなどのディスプレイを入れたりもしてました。人にもよると思いますが、私は「一時避難場所」みたいな感じで活用してましたね。

だから、基本的に棚下のストッカーというのは、お客さんに見せるための場所ではないんですよ。

でも、目的の本が見つからないお客さんが、勝手に開けることが多々あります。

正直、わたしの感覚からすると「いやいや、そこ勝手に開けるなよ」と思うんですよ。感覚的には「自分の家の来客が、本棚とか引き出しを勝手に漁る」のと同じなんです。

おそらく、この感覚って多くの書店員に共通していると思います。特に、棚作りを大切にしていて、売り場を自分の居場所と考えている人ほど、この傾向は強いでしょう。

「知らんがな」というお客さんの反論

さて、これほど書店員目線で価値観を語ると、絶対に反論は出てくるはずです。

  • 「客にとってはストッカーの中も売り場と同じだ」
  • 「わざわざ店員に声をかけるのがめんどくさい」
  • 「開けて欲しくないなら、貼り紙でも貼りなよ」

こんなところでしょうか。反論としては。

たしかに、わたしもお客さんとして本屋に行って目的の本が棚にない場合「もしかしたら、このストッカーの中に…」と思い、ゴクリとすることはあります。

でも、ストッカーを勝手に開けられたときの不快感を知っているので、ぐっとコラえて開けません。気分が乗れば店員さんを呼ぶし、面倒だったらそこでは買いません。

書店員にもお客さんにも”中立的なストッカー事情”を目指すにはどうすればいいでしょうか?

①「在庫をお探しの際は、一声おかけください」貼り紙を貼る

ストッカーに貼り紙を貼って、お客さんに「勝手に開けないでね」とアピールするのはたしかに有効です。

でも、書店によってはストッカーの数が膨大すぎて貼るのが大変ですよね。

あと、ストッカーって位置が低いから足が当たったりして紙が剥がれやすいので、景観もすぐに悪くなる可能性がある。

ラミネートした貼り紙を貼れば綺麗に保てるけど、ストッカーにそこまでコストをかける?という問題も出てきますね。

ストッカーへの貼り紙は現実的な選択肢のようで、意外とハードルが高いですね。

② 棚下のストッカーを廃止する

ほぼ不可能な方法ですが、そもそも棚下のストッカー置かない(封鎖する)という選択肢もあります。

構造上、ほとんどの書店では棚下をストッカーとして利用しているはずですから、現実的ではありませんね。

それに、ストッカーを勝手に開けるお客さんの絶対数は少ないので、そこまでする必要はあるか?と思います。

③ ストッカーに触れると電流が流れるようにする

お客さんが勝手に棚下の引き出しを開けると電流が全身を駆け巡る仕組みにすれば、学習能力のあるお客さんなら、もう二度とストッカーを開けないでしょう。

くだらないですね。すみません。

もし自分が本屋を作ったら、ストッカーも売り場にしちゃうかも

もう思い切って、ストッカーも売り場の1つにしちゃえばいいかもしれませんよね。

「この中にも本があります!ご自由に開けてください!」みたいに開き直っても良さそう。

あるいは「あなたの知らないディープな本はコチラ」みたいに、ちょっと危ない雰囲気を棚下のストッカーに持たせて、購買意欲をあおるのもアリかも。

これを大型書店でやろうとすると大変なことになりそうですが、小規模な書店とか個人書店だったら意外とありなんじゃないかと思います。

お客さんも、ふつうに並んでいる本にはない面白さを感じ取ってくれるかもしれません。

ストッカーを売り場の1つの演出として使う。こんな棚下の使い方、いかがでしょうか?

 

書店員本屋・書店
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アユム

「毎日の洋書」代表。読みやすい洋書や英語勉強法を紹介する記事を書いています。分厚い洋書を読むことを目標に、毎日英語を多読中。出版社や書店員としての勤務経験をもとに、業界についてのニュースも豊富に扱っています。株式会社ミシェルベース代表取締役。抹茶アイスが好きです。

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