最近は荻窪あたりをはじめ、独立系の本屋がにぎわいを見せていますね。
長年、雇われ書店員として働いていた人が、自分のお店を持つ。なんとも夢がありますよね。
書店員という仕事は楽しいことも多いですが、同じくらい苦労もしています。
書店員にとって欠かせない仕事内容はいくつかありますが、そのなかでも特に重要なのが「棚の整理」です。
本屋には本がギッシリ詰まっていますから、お客さんが読んでは戻して読んでは戻してを繰り返すと、やがて大荒れになります。
そのまま放置すると、お客さんにとって探しにくい本屋になります。
そして本来あるべきジャンルの棚にない事態が発生し、売り損じにつながることもしばしば。
業界の外からだとわかってもらいにくいですが、書店員にとって棚の整理はとても重要なのです。
書店員の冷や汗を引き起こす、お客さんの行動とは?
わたしが書店員をしていて、もっとも「冷や汗」をかいた瞬間の1つ。
それは「在庫があるはずの本が見つからない」という事態になったときです。
最近は店頭在庫をコンピューターで管理していますから、いまお店に何冊在庫があるかは明確になっています。
お客さんから本の在庫問い合わせを受けると、場所がわかっていて在庫がある本であればスグに案内をします。
わからない場合は、まずパソコンで在庫を検索します。
お客さんを案内しているときに、もっとも冷や汗をかくのは「在庫を検索し、”在庫あり”になっているのに見つからないとき」です。
在庫僅少ならともかく、数十冊はあると思われるのに、店頭で見つからない…。
やばい、どこだろう。平積みにも面陳にも見当たらない。
いっそ、倉庫にでも見に行ってみるか?いや、それだとお客さんを待たせてしまう…。
こんな感じで、書店員は狼狽し、追いつめられていきます。
あるはずの在庫がないとき、ほとんどの原因がコレ
ある程度経験を重ねると、体が自然に動くようになってくるのですが、数十冊はあるはずの本が店頭にない場合。
その場合、つまりあるはずの本が見つからないときは面陳や平積みの下に埋もれていることがほとんどです。
つまり、一番上だけ違う本が乗っていて、その下にお目当ての本がある状態。これによって、在庫が見つからない事態が発生するのです。
なぜ平積みや面陳の一番上だけに違う本が重なってしまうのか?原因の9割は、お客さんの「テキトー戻し」です。
本を立ち読みして、戻すときにちがう本の上に重ねてしまうことが、”行方不明本の不毛な捜索”につながってしまいます。
ですから、どうかお客様各位には読んだ本を元の場所に戻していただきたいのです。
そのちょっとした心がけが、書店員ひいてはお客さんにとって心地よい本屋をつくることにつながると信じております。