こんにちは、アユムです。
「ジョブ理論」と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、じつは営業やマーケティングの仕事においてはめちゃくちゃ重要な知識だったりします。
というより、なにかモノを売ったりサービスを提供している人は、絶対に知っておくべき理論です。
さて、そんなこんなで「ジョブ理論」についてなるべくわかりやすく、ざっくり説明していきます。
ジョブ理論は「解説本 = 副読本」がおすすめ
いきなりですが、ジョブ理論を学ぶうえでおすすめの本があるので紹介しておきます。
ジョブ理論はクリステンセン教授が書いた、その名もずばり『ジョブ理論』(原題『Competing Against Luck』)という本があります。
ただ、内容が深すぎてわかりづらい部分もあるので、サクッとわかりやすく解説してくれている『実践「ジョブ理論」』がおすすめです。
最初はとりあえずこれを読んでおけばOK。
ジョブ理論は「お客さんが商品を買う理由をハッキリさせること」
ジョブ理論をわかりやすく言うなら、「お客さんがなぜその商品を買うのか?」をはっきりさせて、その理由や動機を明確にすることをいいます。
あなたがなにか商品を買うとき、「これを買おう」と思って買いますよね。たとえば、スタバでコーヒーを買うとき「コーヒーを買おう」と思って買うはず。これは当然のことです。
このとき、コーヒーを買う理由はなんでしょうか?理由は人それぞれだと思いますが、
- ・コーヒーを飲んでリラックスしたい
- ・コーヒーを飲んで眠気を飛ばしたい
- ・友達と会話を弾ませたい
- ・買い物で疲れたから休みたいだけ
このような理由でコーヒーを買っているはずです。
これってつまり、あなた自身の欲求や悩みを解決するためにコーヒーを買っているということですよね。
コーヒーを買って飲むことで、リラックスしたいという欲求を手に入れたり、眠気という邪魔者を消し去ることができるわけです。
さて、ジョブ理論に話をもどしましょう。ジョブ理論は、商品やサービスがどのような理由で買われるのか(利用されるのか)に焦点を当てます。
つまり、商品やサービスを考えるまえに、「これでお客さんのなにが解決できるか?」を考えるということです。
当たり前のように思われるかもしれませんが、お客さんの動機を考えることはとても大切です。
さきほどのスタバの例を挙げてみましょう。たとえば、ある店舗のスタバに来店するお客さんの多くが「コーヒーを飲んで眠気を飛ばしたい」と思っているとしましょう。
眠気を飛ばすにはカフェインが有効ですから、コーヒーが充実していれば、お店の売り上げはアップできます。
しかし、「コーヒーを飲んで眠気を飛ばしたい」というお客さんが多いことにお店が気づいていないとどうなるでしょうか?
カフェインが入っていないフレペチーノや甘いコーヒーを全面に打ち出してしまう可能性がありますね。となると、カフェインが入ってないコーヒーを買いたいお客さんにとって、そのスタバは魅力的ではありませんから、販売の機会損失が生まれるでしょう。
スタバのようなチェーン店であっても、お店ごとの客層はちがうので、お客さんがなぜコーヒーを買いに来ているのか?を考えることは必要です。
そして、お客さんコーヒーを買う理由にあわせて、商品のラインナップを変えたり、看板で見せる商品を替える必要が出てきます。
このように、ジョブ理論では「お客さんが商品やサービスを買う理由」「その商品やサービスでどんな悩みを解決したいのか」に焦点を当てます。
もっと端的にいえば、「お客さんはコーヒーが欲しいから買うのではなく、なにかを解決したいからコーヒーを買う」というわけです。
個人的には、ジョブ理論についてはこれだけ知っていれば十分に役立つと思いますし、特にマーケティングや営業の仕事で大いに活用できると思います。
ジョブ理論が仕事で役に立つ場面はたくさんある
ジョブ理論は、お客さんの動機に沿って考えるので、どんな仕事であっても応用できます。
たとえば、ぱっと思いつく限りでは以下のような仕事の場面で使えますね。
- ・セールスパーソンが顧客に商品を売り込むとき
- → 自社の商品はお客さんのどんなジョブを解決できるか?
- ・書店員が本を陳列するとき
- → この本はお客さんのどんな「ジョブ」を解決できるか?
- ・飲食店やカフェの経営およびメニュー構成を考えるとき
- → お客さんはどんな目的を持って来店しているのか?
いずれにも共通していることは、「自分(売る側)の都合で商品を売らない」ということです。
ジョブ理論にもとづいて考えることができれば、必ず「お客さんはどうか?」という視点に立つからです。
ジョブ理論の発想で商売ができるようになると、売り上げが伸びるのはもちろんですが、在庫ロスや廃棄も減らすことができます。
売る人も買う人も、双方にメリットをもたらすのがジョブ理論というわけですね。
ジョブ理論がわかりにくいと言われる理由
ジョブ理論はとても良いことを言っているにもかかわらず、日本ではあまり浸透していません。
その理由は、説明のわかりづらさ、特に用語のわかりづらさがあると考えられます。
「ジョブ理論についてだいたいわかったよ」という人はここからは読まなくても大丈夫です。
そもそも、ジョブ理論の「ジョブ」ってなに?という疑問が湧きますよね。
ジョブ理論でいうところのジョブとは、「特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩」のことをいいます。
これだけ聞いただけでも、むずかしそうだし、やる気が削がれますよね(笑)
日本語でも「仕事」のことを job と言ったりしますから、慣れ親しんだ job と意味がちがうこともわかりにくさの原因と言えるかもしれません。
それと、ジョブ理論には厄介な用語がいくつかあります。
- ・片付ける(to be done)
- ・雇用する(hire)
まず「片付ける(to be done)」というのは、成し遂げたいことに近づくことを言います。
そして、「雇用する(hire)」とは、成し遂げるために商品やサービスを購入することです。
ジョブ理論についてくわしく掘り下げようとすると、これらの用語が理解のスピードを遅らせる可能性があります。
「ジョブ理論を実際の仕事や生活で実用的に使いたい」という人は、これらの用語を覚える必要はありません。
これだけ覚えればOK!ジョブ理論【まとめ】
- ・ジョブ理論は「お客さんが商品やサービスを買う理由」をもとに戦略を考える
- ・ジョブの意味は「お客さんが成し遂げたいと思っていること」
- ・ジョブ理論を仕事に生かせば機会損失が減り、売り上げ増につながる
- ・ジョブ理論のわかりにくい用語は覚える必要なし
ジョブ理論をはじめ「○○理論」って名前がついていると、難解そうで避けがちですよね。
でも、言っていることは意外とかんたんだったりするので、毛嫌いするのは絶対にもったいないです。
ジョブ理論のように、むずかしい部分はカットして覚えたとしても、実用性においては全く問題ありません。ビジネス書は”使えてナンボ”なので、かっこつけても仕方ないですからね(笑)