面白すぎて思わず一気読み。世界中で起こる電気自動車争いの真実『世界「新」経済戦争』

5.0
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こんにちは、アユム [ @kot_book ] です。

街を爆音とともに走る車やバイクを目撃するたびに猛烈な嫌悪感を覚えます。

マフラーを改造する悪趣味な人のせいでもありますが、根本的にはガソリン車が原因でもあります。

ガソリン車が駆逐されて電気自動車が普及すれば、騒音問題は解消するでしょう。

ただ、電気自動車が普及するまでの道のりはまだまだ遠そうです。それは日本のみならず、海外でも同じ。

今回は世界各国の自動車の歴史と現状、電気自動車の未来がわかる1冊『世界「新」経済戦争』を紹介します。

この本、めちゃくちゃおもしろいです。

【結論】電気自動車の普及は各国で大きなバラつき

最初にこの本の要点をまとめてお伝えしたいと思います。

  • ・ドイツはVWの不正問題で電気自動車の機運が高まった
  • ・名だたるIT企業を持つアメリカが覇権争いでは優位
  • ・中国は最も電気自動車が普及しており、国内のルールも厳しい
  • ・日産リーフに強みがある日本。トヨタとソフトバンクの協業も鍵になりそう

本書ではガソリン車がどのように発明され、世界をどのように動かしてきたのかという歴史的な経緯からスタートします。

その過程で、ドイツのダイムラー・VW(フォルクスワーゲン)、アメリカのGM・フォード・クライスラー、日本のトヨタ・日産などの自動車メーカーがどのように車を作ってきたかが非常にわかりやすく書かれていて面白いです。

ひとまず、車好きであれば間違いなく興味を持って読めるはず。

また、ガソリン車から電気自動車にどのようにシフトしていくか、どのような利権が絡んでいるのかという裏側も解説されています。

日頃のニュースではあまり語られることのないディープな話題にも踏み込んでいるのでワクワクさせられます。

著者は日本人ですがドイツ在住歴が長いということもあって、ドイツに関する記述が多めです。ドイツはダイムラーやVWなどを擁する自動車大国ですから、ドイツ国内の事情にくわしい著者の強みが大いに生かされていると思います。

基本的にはドイツ、アメリカ、中国、日本についての話題が中心です。

フランスと日本(ルノーと日産)がどのように関わってきたかなど、各国の自動車メーカーの協力関係の歴史も読んでて面白いですね。

ひとまず、本書は以下のような人におすすめしたい本です。

  • ・今後の世界経済について学びたい人
  • ・車が好きな人
  • ・自動車業界に興味がある人
  • ・電気自動車の普及に関心がある人

名だたる高級車がドイツに存在する理由

名だたる高級車がドイツに存在する理由

ドイツには速度制限のない高速道路「アウトバーン」があります。

アウトバーンでは車がどんなに速く走っても違反にはなりません。本書によれば、時速120kmで走っていても余裕で追い抜かれるとのこと。ドイツ人は時速180kmとか平気で出すみたいです。

日本の高速道路の速度制限は時速100kmなので、比べると大きな差があります(日本でも時速制限を120kmに引き上げる話が出ていますが)。

ドイツといえばフォルクスワーゲンが有名ですが、それ以外にもメルセデスベンツ・ポルシェ・アウディ・BMWといった高級車メーカーが揃っています。こんな国はドイツ以外にありません。

なぜこれほど優れた車を開発できたのかというと、やはりアウトバーンが大きな要因のようです。

スピードの制限をつくらないということは、スピードを出すことが好きな国民がたくさんいるわけで、自動車メーカーは当然、俊足の車を作ることに重点を置く。高速で、長時間、快適に走り続ける車を作るためにドイツの車技術は発達したと言っても過言ではない。

日本の狭い道路事情が軽自動車を磨いたように、ドイツの道路事情に合わせて耐久性のある車が作られたというわけです。

ちなみに、ドイツの車が国内で本格的に普及したのは、奇しくもヒトラーの影響だと言われています。

世界で一番売れた車はフォルクスワーゲンのビートルですが、このビートルを作らせたのは紛れもなくヒトラーだったのです(ちなみにビートルの設計者はポルシェの創立者フェルディナント・ポルシェ)。

VW ビートル

VW ビートル

アウトバーンがドイツの車を磨いてきたのは事実かもしれませんが、じつは電気自動車の普及という点においては足枷になっているようです。

というのも、電気自動車は航続可能距離が短いから。長距離ドライブが多いドイツ国民にとっては、まだまだ電気自動車は受け入れがたいのでしょう。

事実、ドイツでは電気自動車の普及率が非常に低いです。

登録されている全乗用車のうちの電気自動車の割合はどれくらいだったかというと、たったの0.09%だ。

ドイツの自動車メーカーが世界に与える影響は大きいはずなので、ドイツ国内で電気自動車が普及しないと車の性能や品質は磨かれないでしょう。

僕は車が好きなので、メルセデスベンツやポルシェの電気自動車に乗れる未来に期待してしまいます。

人に使われて、その意見が製品づくりに反映されなければ車の品質は向上しません。優れた電気自動車が生まれるためにも、ドイツ国内での普及が早まることを願うばかりです。

GAFAが自動車業界を制する日

GAFAが自動車業界を制する日

アメリカは長らく石油業界による産業支配が続いてきました。「アメ車 = 燃費が悪い」というイメージはそれが大きく影響していることでしょう。

肝心の電気自動車については、テスラを中心にアメリカでもたびたび話題になります。

ただ、車づくりという視点よりかは、車に搭載するデバイスという意味においてアメリカの影響が大きくなることが予想されます。

想像に難くないですが、それはGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の存在です。

車好きの人はご存知かと思いますが、最近の車は続々とIT技術を搭載しています。そして、今後は人工知能による車の制御が当たり前になってくるはずです。

そうなってくると、当然GAFAをはじめとするIT企業が幅を利かせてくるでしょう。

事実、日産はGoogleの関連企業であるWaymoと提携しているし、トヨタはAmazonのAI「アレクサ」を一部の車に搭載しています。

GAFAなどのIT企業が自動車業界に影響を持つようになると、既存の自動車メーカーはただ車を供給するだけの存在に成り下がってしまうでしょう。

裏を返せば、フォードやGMなどの世界的な自動車メーカーとGAFAというIT企業を擁するアメリカは、今後の電気自動車の覇権争いでも俄然有利ということです。

「地球にやさしい」とは断言できない電気自動車

「地球にやさしい」とは断言できない電気自動車

二酸化炭素(CO2)の排出がないから「電気自動車=地球にやさしい」というイメージがありますが、必ずしもそうは断言できません。

というのも、電気自動車が作られるまでの過程で二酸化炭素は排出されているからです。

「Tank to Wheel(タンク・トゥ・ホイール)」と「Well to Wheel(ウェル・トゥ・ホイール)」という言葉がある。「Tank to Wheel」とは、「給油から車輪」、つまり車の走っている間のエネルギー効率。反対に「Well to Wheel」とは、「油田から車輪」を意味し、車の製造や、発電の仕方もすべて考慮した総合的なエネルギー効率のことを言う。

僕も以前からずっと思っていたことなんですが、車を走るときに二酸化炭素が出ないとしても、電気自動車をつくる過程では確実に二酸化炭素が排出されます。

もし電気自動車を作る過程で相当量の二酸化炭素が排出されるのであれば、はっきりいって本末転倒なんですよね。

毎日車を使う僕たちにとって電気自動車は環境にやさしい乗り物でしかありません。なぜなら、二酸化炭素を排出する”感覚”が一切ないですから(ガソリン給油もないし、排気ガスを目にすることもない)。

でも、電気自動車を作る過程、特にバッテリー製造においては、二酸化炭素の排出は避けることができません。

一個人としては電気自動車を大歓迎したいところですが、本当に地球環境のことを思うのであれば、電気自動車の”負の側面”も見ないといけないのかもしれません。

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Profile
Ayumu Yuasa

ライター / 映像編集者
本と英語のブログ「コトビー」(月間10万PV)を運営。書店員および出版社での仕事を経験後、独立しました。2017年より株式会社ミシェルベース代表取締役。本と本屋が好きです。

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