取次大手の日販が2014年上半期ベストセラーを発表しました。
総合ランキング10位までを紹介し、気になった本を独自に分析してみたいと思います。
2014年上半期ベストセラー
それでは早速、ランキングを発表します。
なお期間は2013年12月1日〜2014年5月28日です(日販調べ)。

「元祖・ふくらはぎ本」がランクイン
堂々の第1位は『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム)です。発行部数は93万部。
タイトルの通り、ふくらはぎをもむことで健康になれる!がテーマの本。
体の血液の70%が下半身に集まっているとされ、血流を良くすることで、体が温まって免疫力がアップするという内容です。
書店でも圧倒的な展開を見せていて、この本を置いていない店は無いといっても過言ではありません。
ここまでの売れ行きを見せた理由の1つに「金スマ」で複数回とりあげられていることが挙げられます。
また、新聞広告を上手に使って、じわじわと認知度を広げていったことも要因の1つです。
切り離せるつくりと、カワイイ猫の写真が斬新!
第2位は『人生はニャンとかなる! ―明日に幸福をまねく68の方法
』(文響社)がランクイン。発行部数は70万部。
偉人の逸話や格言をカワイイ猫の写真とマッチさせているのが、非常に面白いのと同時に、人生に大切な教えも学ぶことができます。
「ニャンとかなる!」というタイトルも秀逸ですが、それ以上にいいなと思ったのが本のつくり。
この本は1ページ1ページを切り離すことができます。
好きな言葉を切り離して、大切な言葉を飾っておくこともできるし、プレゼントすることもできますね。
表紙のギャルと慶應大学のギャップが大きな話題を読んだ本
第5位にランクインしたのが『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)。
もともとは投稿サイトSTORYS.JPに書かれたストーリー。
全面書き下ろしで書籍化したものです。
表紙のインパクトがすごいです。
一目見て、「こんなギャルが慶應大学に入れるの?」と誰もが思ってしまうはず。
この段階で書店で本を手に取らせることに成功しています。
内容はかなりライトで、すごく簡単に読めるあたりが売り上げの大きな伸びにつながったといえそうです。
ちなみにカバーの女の子はモデルで、主人公の「さやか」はすでに大学を卒業し、大手ブライダル会社に就職し、すでに結婚もしています。
トップ10を振り返ってみて
総合ランキングなので、ジャンルはバラバラです。
しかし1つ言えるのは、新しい切り口でテーマ設定をするのがベストセラーの条件であるということ。
1日5分ふくらはぎをもむだけで腰痛や肩こりの解消、免疫力の向上を図れるなら誰だって食いつきます、
好きなページを切り離して自由に使え、カワイイ猫がたくさん載っていれば、誰だって手元に置いておきたいと思います。
学年ビリのギャルが慶應大学に合格する話なら誰だって気になります。
読者の潜在的な欲求をきちんと具現化していれば、ベストセラーはつくれるはずなんです。
しかし、出版社の経営というのは難しいもので、コンスタントに売れるテーマの本を持っていないと資金繰りが立ち行かなくなります。
だから、どうしても二番煎じ・三番煎じの本が必要になるのです。
今までにないテーマで本を出す場合、コケることが往々にあります。
コケるかもしれないけど、大きく化けるかもしれない本を出すにはきちんと資金を確保しておく必要があります。
すべての本が化けてくれればいいのですが、化けずに、陰でひっそりと裁断に追い込まれる本の方が圧倒的に多いのが現状です。
マーケティング力と企画力が顕著に表れるのが出版業界の面白いところなのかもしれません。