業者による「自炊代行」が違法かどうかが争われた裁判で、最高裁判所が業者側の上告を棄却。
これによって代行業者に自炊を禁止する命令が確定しました。
まだまだ知られていない「自炊」について、カンタンに触れながら何が問題なのかおさらいしておきましょう。
「自炊」=電子書籍化すること
自分で買った紙の本をスキャナで読み取って電子書籍化する「自炊」。
かさばっていた本をスッキリと処分できることから、ここ数年で大きな広がりを見せています。
その需要に目をつけたのが、いわゆる「自炊代行業者」です。
業者は一般読者から「この本を電子書籍にして欲しい」という注文を受けて、実際にその本を裁断し、スキャナで読み込んで電子化します。
電子化したデータをお客さんに納品をして、その対価として費用をもらうという仕組みです。
個人使用のための自炊はOK。でもビジネスはNG
著作権でたびたび使われる「個人使用」という言葉があります。
これは文字通り、自分で個人的に楽しむために著作物を使うことをいいます。
今回の自炊代行業者の禁止命令確定にいたるまでの裁判は、この「個人使用」が争点でした。
業者としては「あくまでも本を個人使用で楽しむことに協力しているだけ」という主張をしていました。
一方、東野圭吾さんや浅田次郎さんら7人の作家は「著作権の侵害だ」と訴えていたのです。
結果的に、1審・2審の「業務として有料で行った行為で著作権の侵害にあたるおそれがある」という判決を最高裁が支持したかたちになり、結審しました。
「自炊代行の禁止」が与える影響とは?
自炊代行が最高裁によって禁止されたことで、代行業によって利益を得ていた業者が撤退することになります。
それに合わせて、自炊の代行依頼をしていた読者は何らかの選択が迫られます。
紙の本はそのまま放置するのか、あるいは処分するのか。
そして、今後は電子書籍で購入することを選ぶようになるのか。それとも紙の本に回帰するのか。
割合は決して多くはありませんが、自炊代行を利用していた読者の動向が多少なりとも本の売り上げに影響を与えるでしょう。