幻冬舎とCAMPFIREが新しい出版のモデルを始動

出版業界ニュース

今年、2018年に行われる安室奈美恵さんの引退コンサートはかなりの人気で、すべてのチケットが電子化されて発行することが決まりました。

転売などの不正を防止する目的ですが、いやおうなしに”電子化”という波が近づいてきているなと感じます。

そんな中、出版業界でもじわじわと電子化の流れが起きつつあります。

今回は幻冬舎とCAMPFIREが発表した新しい出版プラットフォームについて解説します。

なお、現段階では公開されている情報が少ないので、推察も含めた内容です。

出版業界のシステムを改善する

「株式会社幻冬舎(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:見城徹)と株式会社CAMPFIRE(本社:東京都渋谷区 / 代表取締役社長:家入一真 / 以下、CAMPFIRE)は、クラウドパブリッシング事業を行う共同出資会社、株式会社エクソダス(英語表記 EXODUS, Inc.)を2018年1月末に設立することで合意しました。

出版業界におけるリーディングカンパニーである幻冬舎と、国内最大のクラウドファンディングプラットフォームを運営するCAMPFIREが協業することで、新しい出版のモデルの確立を目指していきます。

わかりやすくいえば、プロアマ関係なく、面白い本のアイデアをクラウドファンディングで集めるという取り組みです。

そのアイデアに出資金が集まれば、幻冬舎が出版活動をサポートするという流れになってくるでしょう。

「出版不況とよばれる現代で、売れるだろうという本を出版社だけが決めていてはいけない」というメッセージを具現化する取り組みといえます。

最近はSNSをきっかけに人気になる作品もあります。その中には「え?これが?」というような作品も少なくありません。

しかし、それが結果的に大きなヒット作となることも多いのです。

出版社はどうしても商業的な成功を見込んだ本を出さざるを得ません。

だからこそ、幅広いアイデアが出版につながる、新しいプラットフォームに期待がかかります。

今までには誕生しえなかったような本が生まれる可能性を秘めているわけです。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、簡単に言うとネット上で資金調達する手段のことです。

「こんなものを作りたい」といったアイデアのある人が、専用のサイトで支援を呼びかけ、共感してくれた人々から資金援助をうけることができます。

分類についてはさまざまな分けかたがあますが、今回は「寄付型」「投資型」「購入型」の3種類を説明します。

見返りなしで「寄付」をするタイプ

お金や物といったリターンがないクラウドファンディング。

集めた資金をすべて寄付として、使うことができます。

寄付ということで、NPO団体などの社会的なプロジェクトで利用されるケースが多いものです。

見返りとして「お金」が返ってくる投資型

お金がリターンになる、投資の性質を持つクラウドファンディング。

支援者は、進んだプロジェクトから生まれる利益の一部をお金で受取ることが可能(受取れない場合もあります)。

もしエクソダスで、出資の見返りとしてお金をわたす場合には、これに該当し金商法の規制対象となります。

支援の見返りとしてモノやサービスを受け取る購入型

支援のリターンを権利・モノ・サービスといったかたちで受け取れるクラウドファンディングです。

エクソダスの提供するサービスもこの型だと考えられます。

購入型は「実行確約型」と「ALL or Noting型」に分けられます。

「実行確約型」は、目標金額に達成しない場合でも、調達した資金を手にできます。支援を募るときにプロジェクトの実施を確約している場合に利用可能となります。

「ALL or Noting型」は目標金額を達成した場合のみ資金を手にできます。目標未達成のときは、資金調達はキャンセルされ、リターンもありません。

出版の新プラットフォームで何が変わるのか?

電子書籍と紙書籍のどちらにも対応可能

株式会社エクソダスの取り組みについて、現段階では公式な情報がほとんどありません。

しかし、プレスリリースには「いまの出版業界は欲しいと思う本を、すぐに買えない」という問題提起をしている点からも、ネット上でそのまま購入可能な電子書籍での販売があることは想定できます。

また、多くの読者に最適なサービスを展開するということは、紙で本を欲しい場合にも対応できると考えられます。

スマホへの対応がすすむ

最近は、スマホでマンガを読むという行為が当たり前になっています。さらには、縦スクロールで読めるマンガも登場し、若者がスマホで本を読むことが定着しつつあります。

この新プラットフォーム誕生で、小説や他の書籍でも縦スクロール、スマホ対応が採用される可能性もあるでしょう。

スマホで読めるのであれば「通勤電車でも本を読もうかな」という人が増えるかもしれません。

今までにない本との出会いがある

何よりも期待したいのは、今までにはなかったまったく新しい本がうまれるという可能性です。

今までは出版社がビジネスとしては成り立たないと考えていたテーマの本などもあったでしょう。

もしかしたら、そこにビジネスチャンスがあったかもしれません。

今まで成功していなかったジャンルやコンセプトで、果たして売れる本が出てくるのか、と心配する声もあるでしょう。

しかし、エクソダスには通常のクラウドファンディングによる出版とはちがう強みがあります。それは、幻冬舎が出版を後押しするということです。

意外な、突拍子もないアイデアが完成度の高い本として流通すれば、十分に商機はあるはずです。

これまで本を読んでこなかった人の中には、読みたいと思える本がなかった人もいるのではないでしょうか。

そういった人々にも、読書をしてもらえるキッカケを生み出せるはずです。

作者や作品を応援できる喜びもある

冒頭にも書きましたが、クラウドファンディングには”出資する”という楽しみがあります。

ただ興味のある本を買うのではなく、その本が出版される過程を出資者として見守れるという体験ができるのです。

実際に本を手にすることができたときの喜びは、より大きなものになるでしょう。

また、作者の本にファンがつけば、本の需要が継続して発生する可能性もあります。そうすれば、通常の出版流通とはちがうかたちで出版業界の売り上げにつながるでしょう。

CCCのサービスに勝てるのか?

今回の出版プラットフォームに、ライバルはいないのでしょうか。

じつは、TSUTAYAや蔦屋書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)が「GREENFUNDING by T-SITE」というクラウドファンディングをすでに展開しています。

GREENFUNDING by T-SITE

このクラウドファンディングは、CCCと資本業務提携をしている、株式会社ワンモア(以下、ワンモア)が運営しています。

TSUTAYAでのイベントや販売サポートなど、CCC(TSUTAYA)グループの強力なネットワークを武器にしています。

GREENFUNDING by T-SITEは出版だけに限らず幅広いプロジェクトを扱っていますが、、すでに資金目標を達成しているような書籍も見受けられます。

Tポイントでプロジェクト支援することも可能で、気軽な出資ができるところに強みがあります。

向かうところ敵なしのCCCに対して、幻冬舎とCAMPFIREの新プラットフォームはどう差別化を図っていくのか。

2018年1月に設立する株式会社エクソダスに今後も注視したいところです。

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