地理の授業って僕はわりと苦手だったんですが、みなさんはどうでしょうか。
正直、覚えても意味のない地層とかの知識が多くて、面白さを見いだせなかったんですよね。
でも、地理って地層だけじゃないし(当たり前だけど)、国際情勢とかを知るうえでも地理の知識って役に立つから、最近になって僕は少しずつ興味が持てるようになってきました。
と、そんな折に本屋で出会ったのが『人生が変わるすごい「地理」』という1冊。
なかなか大げさなタイトルですが、読み終えて本当に人生が変わったのか?読んだ感想をご紹介します。
内容は地理にまつわる雑学的な知識
この本は「人生が変わる」と銘打っているだけあって、とりあげるテーマが壮大です。
テーマを見る限り地理っていうより、哲学的な内容になっているんですが、あくまでも地理的なモノの見方で問題にアプローチするという手法をとっています。
- 【テーマの一例】
- ・日本人ってなんだろう?
- ・「働く」という価値はどう変化したか?
- ・組織って、なぜ必要なのだろう?
- ・難しい相手とうまくつきあう方法
ざっと見ただけでも、とても地理の本とは思えないですよね。
ただ、実際に読んで見ると、当たり前ながら地理にまつわる説明を絡めた解説が書かれています。
ひとことでいえば、「地理的に見て、歴史はどう変化してきたか?」というのが主題です。
テーマに対する内容がチグハグな部分がある
正直なところ、この本はテーマに対する内容がチグハグというか「それってテーマにどう関係あるの?」と言いたくなるような書き方が多いです。
たとえばチャプター2では「働くという価値はどう変化したか?」というテーマなのですが、そのなかで以下のような解説があります。
米は作付面積あたりの人口包容力が、ほかの穀物に比べて高いのです。米は日本だけでなく、アジアモンスーン地域で多く作られますが、この地域の人口密度は世界中を見渡しても、断然高いです。
ここでは、日本の人口が増えた理由を米に絡めて説明しているのですが、これ自体はすごくタメになるというか、面白いと思いました。
ただ、読み進めていくうちに「ん?このチャプターって、なにがテーマだっけ?」と見失います。
なぜなら、書かれている内容が「働くという価値はどう変化したか?」とは、どうも関係があるとは思えないからです。
書かれている内容は知識として面白いし、役に立つかもしれないけど、本全体を通して何を伝えたいのかわからないというのが正直な感想です。
そして、書かれている知識はマニアックなものも多いですね。「タモリさんが好きそうな雑学」といえばわかりやすいかもしれません。
見出しと内容が釣り合わない箇所も多い
もう一つ、読んでいて気になったのが「見出し」です。
具体例をあげると、「中目黒がオシャレスポットに変貌した理由」という見出しがP123にあります。
これを見て僕は「お、たしかに中目黒がオシャレな理由を知りたい!」と思ってワクワクしながら読み進めたんですね。
ただ、読んでも読んでも、中目黒がオシャレな理由が出てこない。書かれているのは以下の記述だけ。
東急東横線しか通っていなかった頃の中目黒は、いまほど栄えていませんでした。
それが変わったのが、1964年に東京メトロ日比谷線が中目黒駅まで乗り入れることになり、終着駅(ターミナル)になって以降のことです。
このような歴史をたどって、中目黒は人気スポットに変貌したのです。
これって、結局のところ「電車の便がよくなったから栄えた」という、誰もがわかることを言ってるだけですよね。これじゃ何も説明してないのと同じです。
日比谷線が通って中目黒が発展したという歴史はたしかに勉強になるけど、「中目黒がオシャレスポットに変貌した理由」なんていう見出しをつけるのはダメでしょう。
タイトルは大げさだが、雑学本として読むには良い
途中、チャプターのテーマや見出しと内容が噛み合ってないところが多々あります。
ただ、「へー、そんな理由があるんだ」という雑学知識を得たときの気持ちよさみたいなのは感じられる本です。
なので、「この本で人生を変わるのか…ワクワク」というモチベーションで読むのではなく、あくまでも雑学本として気軽に読むのがいいかもしれません。