欲しい本を買うために書店へ行って、その本が在庫切れだと知った瞬間、絶望感に襲われます。
だったらインターネットで買えばいいんですが、すぐに読みたい本だったりすると、居ても立ってもいられなくなります。
【本屋に行って在庫切れ→がっかり】という悲劇をなくすための取り組みとして、ハイブリッド型総合書店「honto」のハイブリッド在庫表示機能を紹介したいと思います。
さらに、在庫検索機でお取り寄せができる機能についてもあわせてご紹介します。
ネットとリアル書店を連携させた総合書店「honto」の強み
そもそも「honto」とは、丸善とジュンク堂書店をはじめとした書店が運営している総合書店です。
「honto」は、ネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)と、丸善、ジュンク堂書店、文教堂、啓林堂などのリアル書店を連携させた総合書店です。「読みたい本を、読みたいときに、読みたい形で」提供するサービスで、本を愛する人をサポートします。(公式サイトより)
つまり、ネット書店とリアル書店で在庫の管理などをまとめて行うことで、より消費者のニーズにあった提案をしていこうという取り組みです。
会員になると、ひとつのIDで以下のようなさまざまなサービスが受けられます。
- ・提携先での共通ポイントサービス(Ponta、dポイントも)
- ・提携先で購入した書籍の一元管理
- ・プロが気分や関心などに合わせて本を提案してくれる「ブックツリー」
- ・来訪前に予め在庫検索ができるアプリ「honto with」
- ・ハイブリッド在庫表示機能
- ・在庫検索機でのお取り寄せ機能
あとで紹介する紀伊國屋書店や三省堂書店よりもhontoのほうがわかりやすいし、サイトのデザインもデザイナーがちゃんと入ってるなと思わせる作り込みがなされています。
本屋が運営するネット書店としては、1番よくできてるなと個人的には思います。
今回紹介するhontoの機能は、「ハイブリッド在庫表示機能」と「在庫検索機でのお取り寄せ機能」です。
「ハイブリッド在庫表示機能」でネットと電子書籍をまとめて提案
「ハイブリッド在庫表示機能」という名前だけではピンと来ないかもしれませんね。
何ができるのかというと、店頭の在庫検索機に、hontoのネットストアと電子書籍ストアの在庫情報を表示することです。
つまり、ほしい本が店舗になかった場合に「ネットか電子書籍でも買えますよ」と提案する機能ですね。
在庫がなくても、すぐ解決策を提示することでガッカリ感を軽減できますし、お店にとっては販売ロスをなくすこともできます。
検索機でQRコードを印刷→そのまま注文可
欲しい本が「honto」通販ストアに在庫があれば、在庫検索機のプリンタで印刷したQRコードを使って注文ができます。
電子書籍版がある本なら、同じように印刷したQRコードから注文が可能です。
ネット書店と電子書籍で買えたとしても注文までのハードルが高いとお客さんはアクションを起こしてくれません。
その点、QRコードですぐに注文ができる手軽さがあれば、買い手の心理的ハードルをグッと下げることができます。
書店員の仕事がなくなる?「在庫検索機でのお取り寄せ機能」
書店での在庫切れ、お客さんも”がっかり”ですが、書店員も”がっかり”することがあります。
書店員ならわかると思いますが、在庫を調べるのってけっこう体力使うし、精神的にも消耗するんですよね。
本が見つかったときは報われるんですが、在庫がないとお客さんを待たせてしまったという申し訳なさも相まってけっこういやな気分になります。
しかし、「在庫検索機でのお取り寄せ機能」があれば、書店員の”捜索”も減りますし、お客さんも待ち時間がなくなります。
在庫検索機で在庫なしということがわかった時点で「honto」カードをスキャナーにかざして依頼ができます。
取り寄せ依頼した本が店舗に届いたらアプリやメールでお知らせがくるというシステムです。
お客さんがそのシステムに慣れるまでは書店員の負担が一時的に増えるかもしれませんが、基本的には仕事量を減らすことに繋がるのではないでしょうか。
また、このシステムを使うためには「honto」会員でないといけないため、必然的に会員数の増加につながり販促の機会が得られることもメリットになるでしょう。
そして一度「honto」会員になってしまえば、さきほど示したサービスが受けられます。
「honto with」アプリを利用して来店前に在庫を調べる人も増えるはずなので、在庫検索機の利用者自体が減れば書店員の負担も減るでしょう。
さらに極論をいうと、お客さん全員がアプリを使えば店頭の検索機は不要になるので、設備投資にかかるコストも削減することができます。
参考 >> honto電子書籍ストアの使い方やメリットを徹底比較【口コミと評判】
紀伊國屋書店と三省堂書店を比較してみた
ここまでhontoについて説明してきましたが、他社のサービスはどうなっているのでしょうか。
ここでは紀伊國屋書店と三省堂書店のサービスを比較してみましょう。
紀伊國屋書店 「kinoppy」
- ・リアル書店と電子書籍アプリ「kinoppy」のポイント合算
- ・再購入なしでいろいろな端末で読める「マルチデバイス対応」
- ・紙の本と電子書籍の検索・注文・購入書籍の管理
- ・会員同士ならだれでも贈れる「電子書籍プレゼント」
- ・海外在住の人でもkinoppyで電子書籍が買える
- ・全国主15店舗に電子書籍コーナーの設置
- ・対象6店舗の店内限定、会員制無料無線LANサービス「紀伊國屋書店 Wi-Fi」
紀伊國屋書店の電子書籍サービスはシンプルでわかりやすく、一般的な機能のみといった印象です。
海外在住でも自社のシステムを使ってもらえるというのは、海外展開している紀伊國屋書店だからできることでしょう。
また、他の書店よりも紀伊國屋書店は電子書籍を「来店誘致」に活用している印象です。
電子書籍はもちろんですが、店舗に足を運んでくれる人を一人でも増やすことに重点をおいている姿勢は他書店の参考になるでしょう。
現状、電子書籍コーナーが設置されているのは15店舗、Wi-Fi設置は6店舗だけなので、今後の拡大が待たれるところです。
トーハンの加盟書店で使える「e-hon」のサービス
- ・登録条件にあった情報が届く「新刊・新譜パトロール」
- ・欲しい商品の入荷情報が届く「入荷パトロール」
- ・登録したMy書店の店頭キャンペーン情報などが届くメルマガ「e-hon news」
- ・気になる商品を登録可能「お気に入りリスト」
- ・宅配受け取りなどでお買い物ポイントがたまる「e-honポイント」
サービス内容はごく一般的で、特別なメリットは見当たりません。
電子書籍サービス「Digital e-hon」が終了してしまったため、電子書籍とのシナジーを生かせないのが痛いところ。
”選択と集中”が求められるのがビジネスなので仕方ないのですが、逃した電子書籍の販売損失は大きいと思います。
「BookLive!」と提携する三省堂書店- ・クラブ三省堂とBookLive!をID連携でポイントがたまる
- ・BookLive!で購入した電子書籍と三省堂書店で購入した本を一括管理できる「読むコレ」
- ・三省堂書店で対象書籍を購入した際にクーポンによりデジタル版がもらえる「デジプラス」
- ・三省堂書店店頭で電子書籍が買えるサービス「店頭決済サービス」
三省堂書店はe-honn加えて、凸版印刷グループの電子書店「BookLive!」との提携しています。
店頭でも電子書籍を買うことができて、検索機のレシートをレジに持っていけばすぐに決済ができます。
また、店頭にある電子書籍の販売カードをレジで決済することもできますし、アプリ経由で電子書籍を購入できます。
まだまだ利用者は多くない印象ですが、一つの書店モデルとして参考になります。