王騎を「オネエ口調」にしたのはキングダム最大の発明だ【漫画『キングダム』を語る 第1巻】

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【漫画『キングダム』を語る 第1巻】王騎を「オネエ口調」にしたのはキングダム最大の発明だ キングダム

※この記事はネタバレを含みます

こんにちは、アユムです。

キングダムはかれこれ5回以上は読み通していますが、何度読んでも飽きません。

ストーリーを知っていると、ふつう読む気が起きないものなんですけどね。本当に不思議な魅力を持つ漫画だと思います。

あと、中国の歴史マンガって聞くと「むずかしそう…」という印象を持たれがちなんですが、全然読めちゃいます。

たしかに難しい人物名とか地名は多いですが、それ以上にストーリーが圧倒的に面白いので、全然気になりません。

さて、第1巻でまず衝撃なのが、いきなり漂が死んでしまうところです。

漫画に限らず、創作ものってたいていは序盤がつまらないものですが、キングダムはその対局にあります。

はじめて読んだときは、その急展開っぷりに心臓を掴まれるような思いをしました。

そして、描写がめちゃくちゃ過激なのもキングダムのすごいところなんですよね。

王弟・成蟜が竭氏と密談するシーン

『キングダム 1巻』原泰久、初版発行2006年、集英社

たとえば、王弟・成蟜が竭氏と密談するシーン。低い身分から這い上がった敦(とん)という人物をランカイが叩き潰す場面があるんですが、血やら内蔵やらがブチまけられる残酷な描写になっています。

ついさっきまで普通に生きていた人間が、目の前で殺されてしまう恐怖。

このへんは、低い身分の人間をいかに嫌悪しているかを表す描写として、成蟜の人間性を物語る重要なシーンだと思います。

悪党の表情の描写がわかりやすい

第1巻は、どんなストーリーで話が進んでいくのかをわかりやすく読者に提示する必要があります。

そういう意味において、キングダムは人物の描写がわかりやすいんですよね。

特に良いのが、悪党の画のタッチです。

わかりやすい例でいうと、成蟜や竭氏ですね。成蟜が「ニヤっ」としたときの顔は、まさに悪に染まりきった表情そのもの。これだけで成蟜 VS 嬴政の構図がわかりやすく伝わってきます。

漫画家の人にとっては基本中の基本なのかもしれませんが、「誰がどう見ても人相の悪い顔」を描けるのってスゴいですよね。

悪党の表情の描写がわかりやすい

『キングダム 1巻』原泰久、初版発行2006年、集英社

竭氏がデップリ太っているのも良いですよね。いかにも私腹を肥やしているのが目に見えてわかりやすい。

「良いやつそうに見えて、じつはとんでもない悪党だった」という逆の描き方もときには必要だとは思いますが、物語の序盤では、成蟜 VS 嬴政のようなわかりやすい描写があったほうが、ストーリーに入り込みやすいですよね。

1巻目ではこの対立構造がはっきり示されるので物語のなかに自然と入り込めるし、感情移入しやすくなる工夫がなされています。

王騎将軍の不気味な登場シーン

キングダムを語る上で欠かすことができない王騎は第1巻から登場します。

僕がはじめてキングダムを読んで王騎を見たときに感じたのは「なんだこいつ、不気味だな…」というものでした。

そして、登場の仕方からして完全に敵なんですよね。でも、なんだか完全な敵とは思えない感じもする。この不思議な感じが、読んでる最中ずーっと残るんですよ。

後のストーリーを知っているからそう感じるのかもしれないけど、王騎が登場したときの不気味さは多くの人が感じるところだと思います。

まず絵が不気味なんですよね、陰影の付け方とかが。

王騎をオネエ口調にしたのはキングダムにおける最大の発明の1つ

『キングダム 1巻』原泰久、初版発行2006年、集英社

そしてもうひとつ、王騎をオネエ口調にしたのはキングダムにおける最大の発明の1つと言っていいと思います。

王騎の喋り方が普通だったら、おそらくキングダムはもっと平坦でインパクトの弱い作品になっていたんじゃないかなと。あとで登場する副将・騰(とう)との掛け合いも、王騎がオネエ口調だからこそ面白さが増しています。

不気味な見た目に、不気味な口調。これが、キングダムの作中における王騎の存在の大きさを決定的なものにしています。

最後をどう締めるかが、次の巻を読むモチベに影響する

避暑地に、信・嬴政・河了貂の三人が到着するシーン

『キングダム 1巻』原泰久、初版発行2006年、集英社

1巻目は、秦王・嬴政と昌文君たちが集合する避暑地に、信・嬴政・河了貂の三人が到着するシーンで終わります。

僕は、キングダムを読むたびに「今回はどんな終わり方でこの巻を締めてくるかな」と予想しているんですが、毎回良い締め方をしてくれるんですよね。

どんな作品でもそうですが、「終わり方」ってめちゃくちゃ重要じゃないですか。やっぱり「早く次が読みたいと思わせる終わり方」をしないと、読者は次の巻を読んでくれないですから。

今回は「避暑地ってどんなところなんだろう?これからどんな展開になるんだろう?」と思わせる締め方をしていて、早く2巻目が読みたくなる良い終わり方をしています。

キングダムを誰かにすすめると「50巻以上あるからハードル高いなぁ」と言われるんですが、「1巻目さえ読んでくれれば、絶対に引き込まれるよ」と自信を持って言える作品です。

そういう意味で、キングダムの第1巻は”1巻目のお手本”といえるかもしれません。


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Ayumu Yuasa

ライター。書店と出版社での仕事を経験後、本と英語のWebマガジン「コトビー」を運営。2017年より株式会社ミシェルベース代表取締役。1988年、千葉県生まれ。読書量は年間200冊ほど。ビジネス書が好きです。

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