コーヒーや雑貨を売る新業態の本屋が、これからの業界に必要な理由

コーヒーや雑貨を売る新業態の本屋が、これからの業界に必要な理由 書店業界ニュース
画像:hibiya-central-market

有隣堂が業態複合施設”HIBIYA CENTRAL MARKET”を東京ミッドタウン日比谷にオープンさせてから半年弱が経過しました。

本屋のみならず、理容室や眼鏡屋までを運営することに、驚かされた人も多いと思います。

有隣堂のケースはかなり大規模ですが、最近は大小問わず、本屋が他の業態を取り入れるケースが増えています。

なぜ本屋が他業態とミックスするのか。その理由について考えてみましょう。

「本屋+α」のお店は年々増えている

最近は「本屋を続けるために、本屋以外の業態に力を入れる」という手法を見聞きする機会が増えました。

業界紙「新文化」の1面を飾る話題も、4月に有隣堂の記事が出て、6月7日号に西村書店、同28日号に天狼院書店の記事が掲載されています。

いわば”本屋を続ける”ために長期的な視点を持って動いている書店に関する情報が増えています。

”本屋が本屋以外のことをする”ということに対しては、本屋への愛からくる批判も少なくありません。

しかし、実際に増えているということは、ニーズがあるということ。そして、本屋にとって有益なビジネスであるという証左でもあります。

本が読まれなくなった本当の理由

少し話がそれますが、わたしは、スマホの普及によって人が本に求める価値のハードルが上がったと感じています。

スマホで自分の欲しい情報を素早く得られるようになりました。

一方の本はといえば、じっくり選んでじっくり読む必要があります。もし仮に、それで欲しい情報を得られなければ、単純に時間を失うだけに終わってしまいます。

つまり、【本を読む=時間を失うリスクがある】と考える人がいるのではないかと思います。

これが結果的に本の売り上げ、そして本屋の来店客数の減少につながっているという推察です。

本屋に行く必要がない人たち

本屋の来客数が減ったことは、SNSやAmazonなどの口コミが大きく関係していると考えることもできます。

SNSの登場によって、口コミの情報価値が非常に高まりました。

みんなが”いいね”といったものに対する信憑性が高まったことで、完全に自分の意思で本を選ぶことに抵抗を感じる人は確実に増えているはずです。

結果として、本屋には行かずネットの口コミだけで注文を出してしまう。仮に本屋へ行ったとしても、その場では買わず、家で口コミを調べてから買うという流れが生まれています。

こうした口コミの影響力が、本屋の来店客数と本の売上数を減少させているわけです。

本屋好きこそ、新業態の本屋を応援すべき

本を買う人、本屋に来る人の数が減っていることを考えると、わたしは本屋が他の業態を取り入れることには賛成です。

そもそも本屋とは、書物を売る店のことで、それ以外には決まりや定義はありません。

つまり、どんな業態とあわさっていようが、書物の取扱があれば、それは”本屋”なのです。

そのことだけでも、本屋が新業態を始めることへの批判は一蹴できます。

というより、それはもはや次元の低い話なのかもしれません。

本屋がカフェや雑貨・衣料品といった別の収益源を得る動きは、これからますます求められるはずです。

なぜなら、それをやらないと本屋が生き残れないから。

本屋が新業態をはじめることに批判的な人がいますが、それはあくまでも心情的な問題にすぎません。なんとなく気分が悪い、いわば不定愁訴のようなものです。

「本をおざなりにしておいて、なにが本屋だ!」という批判なのでしょうが、もうそんなことも言ってられないのです。

このまま本屋を放っておけば、どんどん潰れていきます。それはつまり、本屋好きが本屋を潰していることにほかなりません。自分を苦しめるだけです。

あたらしい本屋に足を運んで、魅力を感じてみるべき

これからますます増えていくだろう新業態の本屋を、受け入れていくべきだと思います。

そのためにはまず、実際に足を運んで見ることが必要です。そして、あたらしい本屋に慣れ、受け入れる必要があります。

実際に行ってみて「だめだこりゃ」と感じることもあるでしょうが、それを前向きな批判として生かし、お店に意見を伝えることもできるはずです。

行ってもないのに批判だけしていては、それこそ本屋の衰退に繋がるだけですから。

人も本屋も変化に強くならなければいけない

時代の変化についていくのは、ひとりの人間にとっても大変なことです。

それがビジネスともなると、その苦労は計り知れない大きさでしょう。

しかし、本好きにとっての本屋はかけがえのない場所です。

本屋があるから予期せぬ出会い、失敗、成功がある。だからこそ読書が楽しいと思えるのではないかと思います。

本屋を存続させていくためにも、これからは新業態の本屋を広い心で受け入れていきたいですね。

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