書店員にとって、最大の敵。
それは「本の中身をカメラで盗撮する客」です。
本屋で仕事をしていると、店内に「パシャ」という音が鳴り響くことがあります。
これはほぼ間違いなく「本の盗撮」。現場に行くと、カメラを慌ててバッグにしまう客もいたりします。
本屋にとっては万引きと同じように迷惑な客なのですが、「本の盗撮」は犯罪(窃盗罪)にならないのでしょうか?
弁護士ドットコムには本の中身を盗撮する行為について、以下のように述べられています。
「結論からいうと、書店で本を撮影する行為は、窃盗罪とはなりません」
「写真を撮影しているだけで、本を盗んだわけではないからです。『情報』を盗んでいるのは間違いありませんが、窃盗罪は原則として、『かたち』があるものを盗む場合にしか成立しません。例外的に、電気は窃盗罪の対象となりますが・・・」
あくまでも「モノ」を盗まない限りは、窃盗罪にはあたらないというのが弁護士の見解のようです。
では、本屋はどのように対策をとればいいのでしょうか?
同記事によれば、本屋が盗撮する客に注意したのにやめない場合には「建造物侵入罪」や「業務妨害罪」に該当する可能性があるとのこと。
あくまでも盗撮に付随する行為によって罪を追及するしかないようです。
「ちょっとくらいなら…」本の中身を盗撮する客の言い分とは?
私が本屋で働いていたころの話です。
売り場で本を並べていたところ、店内に「パシャ」という音が響きました。
私はすぐに「まちがいなく盗撮だ」と判断し、音のする方へ向かいます。
そのころはお店で客による万引きが横行していたこともあり、神経が過敏になっていたため、客に注意をしたのです。
すると盗撮をした客は「ちょっとくらい良いじゃないですか」と言い放ちました。
本来であれば罵倒してやりたいところですが、そうもいきません。
そこはやんわりと注意して終わりましたが、客に反省の色はまったく見えませんでした。
本はコンテンツが命の商品です。
それを盗撮されてしまえば、その分の売り上げが損なわれます。当然、本屋としては盗撮を容認できません。
しかし、盗撮する客にとって本屋は「タダ読みできる場所」に過ぎません。
盗撮客にとっては「タダで読める本を撮って何が悪いの?」という認識があるわけです。
立ち読みできる本屋が消滅する可能性も…
本の中身を盗撮する客に対して、一体どんな対策が取れるでしょうか?
まず考えられることは、貼り紙を徹底して「盗撮禁止」を訴えることです。
それでも盗撮が減らない場合には、立ち読みできる本を制限するしかなくなります。
具体的にはシュリンク(ビニールがけ)の本を増やすことになるでしょう。
一人よがりの盗撮客のせいで本屋の利便性が損なわれることになるわけです。
誰もがゆっくり本を選べる場を壊さないためにも、盗撮撲滅に向けた対策が急がれます。