さて、突然ですがクイズです。
それも出版業界クイズ。
出版業界ではたらく人なら最低限知っておきたい本の知識から、少しむずかしい問題まで全部で15問の出題です。
答えは3択になっていて、解答と解説は最後にまとめて行います。
みのもんたもライフラインもありません。自らの本の知識で乗り切ってください!
出版業界クイズ初級編
まずは出版業界の数字についての問題です。
業界の現状をどれくらい知っているか自分の知識を試してみましょう。
問1、2012年の新刊書籍の発行点数は?
- A、約4万点
- B、約6万点
- C、約8万点
問2、2012年現在、日本の出版社数は何社?
- A、4260社
- B、3676社
- C、3136社
問3、2013年に休刊した雑誌は合計で何点?
- A、34点
- B、64点
- C、124点
問4、2012年売上高ランキング第1位となった出版社は?
- A、集英社
- B、講談社
- C、角川書店
問5、2012年売上高ランキング第1位となった書店は?(古本のぞく)
- A、紀伊國屋書店
- B、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)
- C、未来屋書店
出版業界クイズ中級編
業界の現状について考えたところで、次は少し難易度を上げてみましょう。
出版業界ではたらく人なら知っておきたい問題です。
問6、音羽グループを形成する出版社は次のうちどれ?
- A、小学館と集英社
- B、講談社と光文社
- C、角川書店と岩波書店
問7、日本で最も発行部数の多い漫画はワンピースですが、2番目に多いのは次のうちどれ?
- A、ドラゴンボール
- B、ドラえもん
- C、ゴルゴ13
問8、次の出版社のうち設立されたのが最も古いのは?
- A、岩波書店
- B、文藝春秋
- C、講談社
問9、次の書店の中で設立されたのが最も古いのは?
- A、文教堂
- B、丸善
- C、紀伊國屋書店
問10、現在発行されている週刊誌の中で最も創刊が古いのは次のうちどれ?
- A、週刊新潮
- B、サンデー毎日
- C、週刊東洋経済
出版業界クイズ上級編
さて、いよいよ最後のステージです。
これを知っていれば鼻高々。出世の道が大きく開けるかもしれません。
問11、2014年現在の直木賞選考委員で直木賞を受賞したことがない作家は次のうちだれ?
- A、桐野夏生
- B、北方謙三
- C、阿刀田高
問12、次の3つの取次会社のうち2012年の売上高が最も高かったのは?
- A、太洋社
- B、図書館流通センター
- C、栗田出版販売
問13、2014年現在までに本屋大賞の候補作になったのが最も多い出版社は次のうちどれ?
- A、文藝春秋
- B、河出書房新社
- C、新潮社
問14、活版印刷を生み出したグーテンベルクが就いたことのある職業は次のうちどれ?
- A、靴職人
- B、宝石職人
- C、菓子職人
問15、作家の川端康成が「伊豆の踊子」を発表した同人雑誌は次のうちどれ?
- A、文藝時代
- B、新思潮
- C、文藝春秋
出版業界クイズ、こたえあわせの時間です
おつかれさまでした。
それでは早速、答え合わせにまいりましょう。
問1、2012年の新刊書籍の発行点数は?
- A、約4万点
- B、約6万点
- C、約8万点◎
正解は「C、約8万点」です。
正確には8万2201点で、前年の2011年の新刊点数が約7万8902点でしたので4.2%増となりました。
出版物の販売額が減少しているにも関わらず新刊の点数が増えています。
いまの出版業界がいかに新刊に依存しているかが読み取れますね。
問2、2012年現在、日本の出版社数は何社?
- A、4260社
- B、3676社◎
- C、3136社
正解は「B、3676社」。
「A、4260社」は2004年の出版社数です。
書店数の減少も著しいですが、同じように出版社の数も年々減少しているのがよく見て取れます。
問3、2013年に休刊した雑誌は合計で何点?
- A、34点
- B、64点
- C、124点◎
正解は「C、124点」。
2013年に休刊した主な雑誌は『Grazia(グラツィア)』(講談社)、『日経PCビギナーズ』(日経BP社)などがあります。
特に2005年に創刊した『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)の休刊は出版業界に衝撃を与えました。
問4、2012年売上高ランキング第1位となった出版社は?
- A、集英社◎
- B、講談社
- C、角川書店
正解は「A、集英社」。
講談社は第2位、小学館が第3位となりました。ちなみに角川書店は4位です。
上位3社とも減収となり前年度比割れを起こしておりますが、当期純利益はプラスとなっています。
これは、赤字部門のリストラや不動産売却による収益確保が要因とされています。
問5、2012年売上高ランキング第1位となった書店は?(古本のぞく)
- A、紀伊國屋書店
- B、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)◎
- C、未来屋書店
正解は「B、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)」。
出店攻勢を続ける蔦屋書店の勢いが止まりません。
日販との結びつきを強めるとともに、蔦屋書店のブランディング化の成功によって大きな集客を実現しています。
問6、音羽グループを形成する出版社は次のうちどれ?
- A、小学館と集英社
- B、講談社と光文社◎
- C、角川書店と岩波書店
正解は「B、講談社と光文社」。
出版業界は講談社と光文社で構成される「音羽グループ」、小学館と集英社で構成される「一ツ橋グループ」の2大派閥に分かれています。
細かい説明は意外と知らない「講談社と傘下の光文社の関係」とは?にゆずりますが、あまり表面化しない対立構造があるとされています。
ちなみに、それぞれのネーミングは各出版社の所在地である「音羽」と「一ツ橋」という住所に由来しています。
問7、日本で最も発行部数の多い漫画はワンピースですが、2番目に多いのは次のうちどれ?
- A、ドラゴンボール
- B、ドラえもん
- C、ゴルゴ13◎
正解は「C、ゴルゴ13」。
第1位「ワンピース(集英社)」は1997年に連載を開始し、累計発行部数は3億1000万部。
第2位「ゴルゴ13(リイド社)」は1968年に連載を開始し、2億8000万部となっています。
ちなみに第3位「ドラゴンボール(集英社)」は1985年に連載を開始し、1億5721万部発行されています。
問8、次の出版社のうち設立されたのが最も古いのは?
- A、岩波書店
- B、文藝春秋◎
- C、講談社
正解は「B、文藝春秋」。設立は1923年です。
岩波書店は1949年(創業は1913年)、講談社は1938年に設立されています。
問9、次の書店の中で設立されたのが最も古いのは?
- A、文教堂
- B、丸善◎
- C、紀伊國屋書店
正解は「B、丸善」。1894年に設立されました。
文教堂は1949年(2008年にホールディングス化)、紀伊國屋書店は1946年設立です。
問10、現在発行されている週刊誌の中で最も創刊が古いのは次のうちどれ?
- A、週刊新潮
- B、サンデー毎日
- C、週刊東洋経済◎
正解は「C、週刊東洋経済」。1895年に『東洋経済新報』として創刊。
週刊新潮は1956年創刊、サンデー毎日は1922年に創刊されました。
問11、2014年現在の直木賞選考委員で直木賞を受賞したことがない作家は次のうちだれ?
- A、桐野夏生
- B、北方謙三◎
- C、阿刀田高
正解は「B、北方謙三」。現在の直木賞選考委員で唯一、同賞を受賞していません。
桐野夏生は1999年に『柔らかな頬』で、阿刀田高は1979年に短編集『ナポレオン狂』でそれぞれ直木賞を受賞しています。
問12、次の3つの取次会社のうち2012年の売上高が最も高かったのは?
- A、太洋社
- B、図書館流通センター
- C、栗田出版販売◎
正解は「C、栗田出版販売」。売上高は4億893万円です。
日販とトーハンの2大取次と第3位の大阪屋はある程度の予測がつきますが、それ以下はかなりの混戦で難しい問題だったかもしれません。
「B、図書館流通センター」の売上高は3億9502万円、「A、太洋社」の売上高は3億5360万円です。
問13、2014年現在までに本屋大賞の候補作になったのが最も多い出版社は次のうちどれ?
- A、文藝春秋
- B、河出書房新社
- C、新潮社◎
正解は「C、新潮社」で過去に17作が候補にあがりました。
「A、文藝春秋」は14作が、「B、河出書房新社」は3作が候補にあがっています。
ちなみに本屋大賞受賞回数も新潮社が3回と最多になっています。
問14、活版印刷を生み出したグーテンベルクが就いたことのある職業は次のうちどれ?
- A、靴職人
- B、宝石職人◎
- C、菓子職人
正解は「B、宝石職人」です。
この経験とドイツ国内での金属産業の発展があいまって活版印刷の発明が促進されたといえます。詳しくは【本の歴史】グーテンベルクと活版印刷の発明にて。
問15、作家の川端康成が「伊豆の踊子」を発表した同人雑誌は次のうちどれ?
- A、文藝時代◎
- B、新思潮
- C、文藝春秋
正解は「A、文藝時代」です。
ちなみに「C、文藝春秋」は現在の文藝春秋社のもととなり、作家の菊池寛によって創刊・設立されました。
直木賞も菊池寛によって創設された文学賞であり、出版を語る上では欠かせない人物です。
出版業界クイズを振り返って
いかがでしたか。こうして出題してみると、思わぬボリュームになってしまいました。
こうして一部を切り出すだけでも、これだけの問題量になるのでまだまだ出題の余地はあるのかなと思います。
個人的に「書店員検定」という資格を創設することを企んでいるので、こういった知識をもっと広めて、より多くの人を出版業界の面白さの渦に引き込んでいきたいと思っています。
本の知識を習得すれば、出世の道が大きく開けるかもしれません(2回目)。
そんなこんなで出版業界クイズを締めくくりたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。