読書に関するアンケート調査を見るたびに、読書人口が減っていることを痛感させられます。
仕事や勉強で読みたいが時間が取れない人というのは、まだ救いようがあります。
読みたい意欲はあるわけなので、上手く時間を作れば解決するからです。
より深刻なのは、そもそも読書に興味がない人です。
読書人口を増やすには、興味がない層に振り向いてもらう必要があると思います。
どうしたら読書の魅力を伝えられるか
「なぜ読書が必要なのか?」という質問に対して、池上彰氏は以下のように答えています。
読書は、自分から本を手に取って、活字の文字を追っていきます。文字を追いながら、著者はここで何を言おうとしているのか、それを理解する力がついてきて、そのうえで自分から判断するようになっていきます。
小説であれば、泣いたり怒ったり、豊かな感受性を身につけることができるでしょう。また、説明的な文章であれば、物事を論理的に読み解く力や判断する力、表現する力が身につきます。そして大事なのは、そうした力を、とても安い値段と引き換えに手に入れることができる――それが読書の効用だと私は思います。(池上彰氏「僕はこうやって本を読んできた」より)
確かに、本を読んでいろいろな教養が得られると思えば、本の値段は決して高いものではありません。
セミナーで教養を身に着けようとすればもっとお金がかかるでしょうし、本を読み返すような感覚で自宅で繰り返して学ぶのは難しいでしょう。
また、読書は価格はもちろん、セミナーや習い事のように予約をして、決められた時間に決められた場所へ行くという面倒もないため、手が出しやすいものです。
問題はそのことをどう伝えていくか、そしてどう納得してもらうかです。
読書の良さは親以外から教わったほうが良いかもしれない
読書の良さを子どもに伝えようとするのは往々にして親ですが、じつは親以外から伝えるほうが効果があるのかもしれません。
池上氏は、本を読んで得た喜びなどを伝えることで興味を持ってもらうこと、さらに伝えるのは”父親ではなく叔父さん”や”直属の上司ではなく別部署の先輩”といった”斜めの関係の人”が伝えるとより良いとも語っています。
確かに、言われてみると腑に落ちる気がします。
わたしも両親の言うことは素直にきけないけど、親戚に教えてもらったことには納得できたという経験があります。
人間関係の真上にいる人に言われると、無意識に反発を覚えてしまうのかもしれません。
いずれにせよ、自分と近い人よりも少し遠い人に教わったほうが素直に頭へ入ってくるというのは一理あります。
斜めの関係の人と本の話をするのはハードルが高い
でも、現実問題として斜めの関係の人と本の話をするのはなかなかむずかしい。
本の話題はけっこうパーソナルな内容にふれることもあるので、それなりの関係性がないと敬遠されやすいでしょう。
わたしの経験からいうと、お互いについての情報をほとんど消化したあとでないと本の話題は出せません。というより、かなり仲が良い人じゃないと本については話せないと思います。
そう考えると、読書の良さを伝えるために斜めの関係の人に頼るのは現実的ではなくなってきます。
ではどうするか。わたしは本の紹介サイトを伝えるのが最善策だと思います。
客観的に良い本を教えることができる
本の紹介サイト(書評サイト)であれば知らない人の意見として頭にも入ってきます。「おすすめされた本だから読まなくちゃ」というプレッシャーもなくなりますね。
「このサイトが面白いんだよ〜」や「このサイトの人とは本の趣味が合う」といったことだけ伝えて興味をもってもらえば十分です。
有名なところだとHONZ、新刊JP、ダヴィンチなどがありますね。
ある程度の年齢になった子どもであれば紹介サイトも良いですが、部屋の目に見える場所に本を置いておくというやり方が有効でしょう。
大人であれ子どもであれ、やはり自発的に読書に興味を持ってもらうことが、読書人口の増加には必須といえそうです。